ミッキー17のレビュー・感想・評価
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人は様々な困難に出会う
「可哀想な主人公」「優しい周りの人々」「悪」とベタな設定なはずなのに新しい感じがした。特に悪が時代劇の悪代官を思わせ面白い。
やはり言わなくてはならないのが、謎の生物がまるでナウシカの「オーム」でした。
時代が進んだら進んで色々と悩みも変わってくるのだろうな…。
面白くは観たのですが‥
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
(レビューが溜まっていたので短く)
ポン・ジュノ監督の今作の映画『ミッキー17』を結論から言うと面白く観ました。
主人公・ミッキー・バーンズ(ロバート・パティンソンさん)が、借金に追われ、何度でも蘇って命の危険に晒される底辺中の底辺の仕事に従事し続ける様は、現実社会のメタファーにもなっていて、大変共感するところはあったと思われます。
ただ、時折挿入される、主人公・ミッキー・バーンズとナーシャ(ナオミ・アッキーさん)との性的なシーンや、宇宙船の中で独裁的に振舞う政治家・ケネス・マーシャル(マーク・ラファロさん)や妻・イルファ(トニ・コレットさん)の露悪的な描写は好みでないなとは思われました。
ポン・ジュノ監督の韓国での作品は、コミカルさや誇張はあっても、自国の文化に根差したリアリティある描写から外れていない印象を持っています。
しかし一方で、今作の主人公・ミッキー・バーンズの性描写や、独裁的政治家・ケネス・マーシャルの露悪描写は、リアリティあるアメリカ文化からも遊離して、どこか上滑っている印象は持ちました。
とりわけ独裁的政治家・ケネス・マーシャルは、トランプ大統領を意識した印象は持ちましたが、であるならばこの露悪さは、トランプ大統領への批評性のリアリティを逆に奪っているように思われました。
惑星での、どこか『風の谷のナウシカ』の王蟲を想起させるクリーパーのイメージも、『ナウシカ』を超える深さがない分、今作の深みを奪っている感想は若干持ちました。
しかし、それらの弱点は感じながら、作品で描かれている最底辺の現実社会で見えなくなっている人々に光を当てようとする作品の根幹には同意共感する想いもあり、最終的には面白く今作を観ました。
ディズニーによるエンタメ支配に〃抗え〃!
「ミッキー」と聞いて誰を思い浮かべる?
ミッキー・カーチス?
ミッキー・ローク?
ミッキー・ゴールドミル?
世界中、誰に聞いてもミッキーマウスだよね。
冒頭、切断された手首が宇宙を彷徨うシーン、
あれ、ミッキーマウスの手そのもの。
ミッキーが「使い捨てクローン」として何度もコピー(生産)されるのは、ディズニーがエンタメ業界を支配し、そこから生まれる「ディズニー的」な型にはまった映画やキャラクターの量産体制へのメタファー。
(量産型)ザクとは違うのだよ!
ザクとは!
というポンジュノ監督の声が聞こえてきそうな、
ブラック・シニカルSFコメディ。
格差社会を描いてるのは誰でも分かる。
問題はどこにあるのか?
深刻な社会問題や不快な現実を避けるディズニー的(善悪二元論/個より家族やコミュニティ重視/再生と贖罪/奇跡と祝福など〃某宗教的価値観〃が物語の根幹をなし多様性は表面的)な作品が蔓延することは、社会に深刻な影響を及ぼすという問題提起があると思う。
宗教は貧困や弱者に寄り添うものであったけど、歴史を振り返ってみても、また現在も、権力と結びついて格差を肯定している。特に某宗教は、貧しい者は幸いだと言い、この世で抗う気持ちを削ぎ、天国での救済を説く。
天国を夢の国と読み替えたらいい。
GANTZ、ナウシカなど……特に駿さんの影響を強く感じた。駿さんは「楽しませるのだけがエンタメではない」という考えがあり「答え」より「問い」を重視する、ディズニー的な価値観に抗う人。物語の構造的に、ポンジュノ監督と近しいものを感じる。
めっちゃ好き!
支配と服従という関係、力による支配しか理解出来ない人たちは、他者の自由を侵略してはならないという当たり前の倫理観も無ければ、そうした議論をする能力も無い。ファシズムは宗教団体と一緒になって最終的に人々を不幸にする。
そうした普遍的なことをまっすぐ伝えるセリフと、エッジの効いた演出がすごい。生ぬるいところがまるで無かった。
ラスト。「18ならどうする?」隠れた自分の本心の存在に気づいたミッキー。そして、これまで母に対する罪悪感の象徴だった赤いボタンは、マシーンを破壊する赤いボタンに上書きされる。個人の小さな変化は私たちの大きな希望だ。
もう一つの大きなテーマは包括的な愛。ナーシャはミッキーが生まれ変わるたびに、全てのミッキーを力強く抱きしめる。
カイが「17は私に譲って」と言ったとき、ざけんな!両方私のもんだ!と怒鳴った。
うんうん。私にも感じの良い時の自分と、ネガティブモンスターになった自分がいるけど、そんな私を「両方オレのもんだ!」って怒鳴っほしいわ、脳内彼氏に。だって全部自分だもんね。
うっとりするようなラブストーリーでした。
SF仕立てのブラック・コメディでありながらも「人間らしさ」とは何な...
SF仕立てのブラック・コメディでありながらも「人間らしさ」とは何なのかを真っ向から描いている作品でした。
「人間」を描くにあたり、アメリカ人とは違う監督の持ち味も存分に発揮されており、卑劣な友人、自己中な統治者、美食のために他を顧みないファースト・レディ、すぐ感情的になる彼女など、アメリカ映画では中々お目にかかれない魅力的な人々がしっかりと描かれておりました。
そんな中にあって1番目を引いたのが主役であるミッキーを演じたパディンソン。
イケメン枠の役者であるはずの彼が、白目を剥いたり、ゲロを吐いたりとメチャクチャな扱いを受けてます。
パディンソンはイケメンである事を忘れてしまったかのような姿を連発して、観客にもすぐにそれと分かる程の「情けない人物」をきちんと表現しておりました。
同時に彼は「気の荒い人物」も演じており表情の違いだけでそれと分かる演技を披露していました。
凄い方ですね。
ただSF映画としてはやり尽くされた感じが否めなかったのも正直なところ。
芋虫のような異生物が可愛らしく見えてくるのも宮崎アニメで味わい尽くしてますもんね。
個人的にはSFに仕立てた必然性とオリジナリティが欲しいと感じました。
リプリント装置に対する結末に異議有り!
映画のラストの方で、宇宙船の乗組員全員の一致により、リプリント装置は破壊される。
それには理由があって、事故により、この宇宙移動計画遂行者のオーナーが死んでしまい、厄介な奴が居なくなって、みんな清々したと思っていたのに、リプリント装置で蘇ってしまったから、こんな奴を蘇らせる装置は破壊しちゃえーってノリでそうなったんだよね。
初めから、このリプリント装置の存在について、作者はとても否定的なんだなぁ。
しかし、地球外の宇宙に飛び出すなら、この様なリプリント装置やクローンマシンは必然なのです。目的地や宇宙船内での生活は、未知の要素が膨大で、人間が順応できるかは未確定で、ましてや懐妊し、体内で成長させ、無事に生み出す事ができるなんて事が地球に居る時の様に当たり前できると考えているとしたら、それは、甘いんだなぁー
地球を飛び出す前に、既にクローンを数体作り、凍結して宇宙船に装備して置くぐらいでないとね。
まあ、この地球の人類は、遠い宇宙に飛び出す前に、月面で色々調査、研究するだろうから、クローンの必要性も大いに学ぶだろう。
こんなリプリント装置が発明されたら、きっと破壊はしないと思うよ。
底辺の先の未来
主人公が陥る底辺の先の未来。
その死を受け入れつつ転生する人生により人間がもつ澱んだ欲望が削ぎ落とされる点は周りの欲望だらけの人間との振れ幅があり笑える。
また進んだ先で出逢う未知の惑星の生物も、何処となくモフモフ感が感じられ愛らしい。
ただアクション要素は物足りなさを感じた。
この監督は人間たちの陰湿な欲望を描き、それを上手くコメディへと昇華させる手腕は素晴らしい。
金太郎飴ではない
◉前世も現世もない
宇宙の果て、希望は幻で絶望は現実だが、希望を現実っぽく重たく見せてくれるマーシャルとイルファの宗教家のカップルが話の一方を仕切る。マーシャルが次第に悲壮な雰囲気さえ醸し出していくのが愉しく、お構いなしで創作ソースに熱中する妻の異常ぶりからも、目が離せない。
もう一方は借金取りから逃れるために複写人生を送る青年。マルティプルは汎用性の高い危険な技術として禁じられたが、エクスペンダブルと言う隙間産業的な手法を限定的に認めさせる。ミッキーはそのコピー人間のエースになって、必死に前世を振り切り、現世を死をもって全うする訳だ。
◉見た目ではない
三つ目の仕切りは、もちろんクリーピー。最初のシーンでは人に襲いかかるが、やがて不気味な生き物が、生命の尊厳を象徴する愛の存在だと理解される。しかし吊るされた子どもは、ナウシカでない物語ならば惨殺されることもあろうかと、ハラハラした。
物語の中でクリーピーがエイリアンではなく、優しく柔らかな生き物であることが分かったこと、血を流しゲロを吐くミッキーの苦悩を感じる恋人や仲間が現れたことで、まず上にのし掛かろうとするものを取り除かねば! と皆が気持ちを一つに出来た。
◉生きてはいない
ポスターにズラリと並んだミッキーたち。どれもこれも全く同じ顔したダメ野郎。身勝手優先の人類にすれば、どこをとっても、便利な金太郎飴の一個に過ぎない。飴も観念しているのだ。
しかしミッキーの往生際を悪くさせるナーシャが現れる。ナーシャは彼を真底愛して、体位の工夫までしてくれる、夢のようなパートナーだ。彼女が現れたことで、ミッキーは唯の血塗れの形而下野郎から、(ミッキー18と共に)色々なテーゼに揉みくちゃにされつつ形而上男になって、話は長引くことになる。
未知との遭遇
借金取りから逃げるため、宇宙へ逃亡した男(ミッキー)の物語。宇宙船は火星への移住を目論んで進む。その中での実験にミッキーは使われる。そして、死亡してしまった場合は、身体を複製され、記憶はその身体へ転送される。何度も危険な実験をして、何度も死ぬミッキー。火星では、クリーチャーが平和に暮らしていたが、人間はこのクリーチャーを退治しようとする。人間対クリーチャーの対決はどうなるのか…。
セリフが最小限になっていて、字幕を追うのに疲れなくて良い。ストーリーもシンプルなため頭を使わずに観ていられる。
ポンジュノ作品は、パラサイトやグエムルを鑑賞したが、近いものを感じる。生々しい人間の生活と独特なクリーチャーの描写など。
物語序盤の人体複製や宇宙船内の先進的な雰囲気から、火星での原始的な虫のようなクリーチャーの登場まで時間的な振れ幅を大きく感じる。
結果的には、進み過ぎた科学技術が古代からの生物に悪影響を与えて、それらから反逆を食らって、反省して元に戻るパターンで終了する。
設定としては複製され続ける男という点で奇抜であったが、ストーリーとしては、よくあるパターンに落ち着いてしまったなという印象。バッドエンドを期待したわけではないが、後半にもう一捻りが欲しかった。
本作は、パラサイトのような最後まで何が起こるかわからない人間味あふれるホラーではなく、未知の生物と対決するアクション映画の要素が強くなっている。
イマイチハマらなかった
ポン・ジュノ監督ってことで期待しすぎたW
それでいいんか、とは思う
「TENET」でロバート・パティンソン氏を知り、過去も含め出演作を観てきましたが、やっぱりすごい!
17と18は全く同じ容姿なのに、見分けるのが全然苦じゃないくらい顔が違う。
生い立ちから考えると、17のようなちょっと気弱で、人生に疲れてて、常に周りの顔色を窺っているような性格が基本のミッキーだと思うけど、18のハバネロミッキーはどういう変異だったんだろうか。
ちょっとうざい個体もいたようなので、せっかく複製(リプリント)という設定があるならそういうとこも観たかったな。
18は最後自爆しますが、「TENET」のニールといい、こういう役が似合う!
もう少し18の心境の変化を描いてほしかったところでもあるけど、これ以上長くなったら逆に無理かもしれないなと思いました。
最終的には教祖たる夫婦をやっつけて、リプリントは禁止され、先住民とも仲良くなってハッピーエンド!なわけですが、個人的にはそれでいいんか?っていう。
というのも、教祖様に従っていたとはいえひたすらリプリントを繰り返して、ミッキーを酷使していたわけですが、そのへんの科学者や職員たちには何もなく。
「何分後に皮膚が焼け爛れ、
何分後に失明し、何分後に死ぬのか知りたい」
ミッキーの手がちぎれても、笑いながら「おいおい見たか?」なんて話してるシーンもあったけど、これも相当、気持ち悪い。
誰もが「死ぬってどういう感じ?」とミッキーに聞く。
それが気になるのは分かる。
でも自分ではやらない。だって怖いから。
それが何故、ミッキーに当てはまらないと思うのか。
リプリント装置をミッキーに爆破させて、よかったね、なんて周りが笑っている気持ち悪さ。
それを使ってミッキーを量産していた人たちが何を言ってるんだ。
少なくとも劇中では何の葛藤もしてなかったくせに。
気になるならリプリントされてみたら、と言わないミッキーは優しいですね。
どうせ悪がやっつけられるなら、船員ともども船自体の爆破くらいまでやってほしかったな〜なんて思う自分もいますが、ミッキーの性格からしてもそれはしなさそうなので、これはこれで良かったのかも。
予告編→封切後の低評価レビューからの鑑賞
半地下とエイリアンとナウシカとダンスウィズウルブズとマーズアタックとスターシップトルーパーズとE.T.をミックスしてソースにした感じの映画、ボナペティ。
ここのレビューでの評価が今ひとつなこともあり、随分とハードルを下げての鑑賞、ところがどっこい自分好みのオタク的映画でした。
劇中終始漂うブラックユーモアのテイストが自分好みで終始ニヤニヤしっ放し。
敵役がアホ過ぎて萎えるといった指摘もレビューにはあるけど、主人公含め、そもそも登場人物全員何かしら欠落した人たちばかりなので、そこはそんなに気にはならず、お笑い要素として素直に受け入れられた。
主人公の役者さん、今まで仏頂面の男前ばかり演じてきた印象があったけど、今回は平凡な優男をとてもリアルに演じており、彼に対する印象が大きく変わりました。勿論良い意味で。
クリーパーのぬいぐるみがあったら欲しい🤭
半地下の空
パティンソンの芸域拡張。
地獄に落ちると「ミッキー∞」になる?
何度でも再生することを条件に、危険な仕事をさせられて死に、そして蘇る、を繰り返す男を主人公としたSF映画です。
最初は何かの不条理映画かと思っていたら、後半になるに従ってドキドキハラハラし、ラスト間近では思わぬどんでん返しも待ち構えています。
「スノーピアサー」や「パラサイト 半地下の家族」に比べたら、最も後味良く終わります。
ふと思ったのは、子供時代には誰でも「悪いことしたら死んだ後に地獄に落ちる」と言い聞かせられることでしょうが、自分は後になって「死んでいるんだからどんなにひどい目や苦しみに遭っても、死ぬことは無い」とも思うようになったものでした。
この映画を見て、「本当に地獄があってそこに落ちたら、主人公のような経験をするんだろうか?だとしたら、やっぱり地獄に行くのはまっぴらごめんだ」と思いました。
王蟲
社会風刺、格差社会を強烈に描く
皮肉たっぷりで。
登場人物が癖がありとても変。
ダークなコメディでシニカルな作品。
クリーパーは王蟲にしか見えなかった。
使い捨てワーカー、そしてトラウマから
の脱却。周りの友人に助けられ
解放されていくお話。
犬みたいに可愛い「あったかいんだから」
正直、長いなぁという印象。
ドラッグ、人体実験、格差差別とかなんかいっぱい盛りだくさんだった。混乱する訳ではないけど、長いなぁ…と…。
ナーシャは自分が有能過ぎてダメ男を愛しちゃうタイプなのかな、と自己納得した。なぜ惚れるのか分からん。17は弱いながらも良い奴の印象だったけど、各ミッキー達がそれぞれちょっと違うなら、1に惚れる要素ってそこかな…と。
ナーシャ、マーシャルに正論ぶちかましててそうだそうだ〜!と思ったけど、ドラッグやってた人が言う正論か…とスンとなった。
カイがまともか?親友っていうか、恋人みたいな空気を感じてたので、あ、君もミッキーにいくの?あ、眼鏡っ娘も?と思った。
モテ期か?
クマムシみたいな先住民(クリーパー)が、ユーモアがあって笑った。ゾコ、お前かわいいな。
18ならどうする、って自分の恐怖心に打ち勝つラストは良かった。
気持ち良いラストでした。
面白いが死ぬって怖いことなの的な問いと格差社会、侵略などのテーマの...
星新一ワールド?時々ナウシカ?
賛否両論、感想が分かれそうな作品。
使い捨てワーカーと称される、過酷な業務で死んではコピーとなって生き返る主人公ミッキー。
18番目製造のタイミングで、17番目がまだ生きているのに複製されてしまい、同時期に2体生存してしまうミスが起こり、事態は一気に急展開。
ちなみに復活する際の、3Dプリンターのような機械からウィーンウィーンと出てくる様は、星新一がお得意であったようなシュールなワールド。爽やかさゼロ(笑)
誰もが彼を過酷に扱い、不要になったら当たり前のように溶鉱炉のようなダストシュートに放り込み、何度も生死を繰り返す場面をコメディと笑えるか、気持ち悪いと感じるか。今回鑑賞したのはショッピングモール内のシネコンだったが、これはミニシアター系のストーリーかと。血が出るわ吐くわ食事は不味そうだわで、まかり間違って子供が観たら泣くだろう。
ちなみに自分はミニシアター好きなのでOK。
クリーパーと名付けられた怪異生物達は、もうどう見てもナウシカのオーム。フォルムも、口から出る触覚も、子供を守るために集団で襲ってくる様も、もうナウシカでしょこれは。
最終上映で鑑賞し、夜中に1人で帰宅途中、運転しながら思い出して、なんちゅーストーリーだwwwwと爆笑しながら帰りました。
全445件中、21~40件目を表示