「面白くは観たのですが‥」ミッキー17 komagire23さんの映画レビュー(感想・評価)
面白くは観たのですが‥
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
(レビューが溜まっていたので短く)
ポン・ジュノ監督の今作の映画『ミッキー17』を結論から言うと面白く観ました。
主人公・ミッキー・バーンズ(ロバート・パティンソンさん)が、借金に追われ、何度でも蘇って命の危険に晒される底辺中の底辺の仕事に従事し続ける様は、現実社会のメタファーにもなっていて、大変共感するところはあったと思われます。
ただ、時折挿入される、主人公・ミッキー・バーンズとナーシャ(ナオミ・アッキーさん)との性的なシーンや、宇宙船の中で独裁的に振舞う政治家・ケネス・マーシャル(マーク・ラファロさん)や妻・イルファ(トニ・コレットさん)の露悪的な描写は好みでないなとは思われました。
ポン・ジュノ監督の韓国での作品は、コミカルさや誇張はあっても、自国の文化に根差したリアリティある描写から外れていない印象を持っています。
しかし一方で、今作の主人公・ミッキー・バーンズの性描写や、独裁的政治家・ケネス・マーシャルの露悪描写は、リアリティあるアメリカ文化からも遊離して、どこか上滑っている印象は持ちました。
とりわけ独裁的政治家・ケネス・マーシャルは、トランプ大統領を意識した印象は持ちましたが、であるならばこの露悪さは、トランプ大統領への批評性のリアリティを逆に奪っているように思われました。
惑星での、どこか『風の谷のナウシカ』の王蟲を想起させるクリーパーのイメージも、『ナウシカ』を超える深さがない分、今作の深みを奪っている感想は若干持ちました。
しかし、それらの弱点は感じながら、作品で描かれている最底辺の現実社会で見えなくなっている人々に光を当てようとする作品の根幹には同意共感する想いもあり、最終的には面白く今作を観ました。