「久しぶりのSF大作の大当たり」ミッキー17 くまくまさんの映画レビュー(感想・評価)
久しぶりのSF大作の大当たり
ポン・ジュノ作品&ロバート・パティンソンという大好きな2人のタッグなので、大変楽しみにしてました。
見る前の評価が今ひとつだったので心配しましたが杞憂!久しぶりのSF大作の当たりでした。
何故評価がイマイチなのか?
科学者たちの感覚はどんどん麻痺していき、Expendable(代用可能)である究極の使い捨てワーカー=人工肉と同じ扱いという、とんでもない状況。
でも、当然人だよ?心があるよ、生まれ変わるとしたって死ぬのは何度だって怖いよ? そんな当たり前のことが当たり前とされない世の中の恐ろしさを、コメディタッチの中にも強く訴えてくる作品でした。
後半、クリーピーや、その中に佇むミッキーの出立ち含め、ナウシカ!というのは、ナウシカ見た人なら誰でも思うでしょうが、これは、もはやナウシカへのリスペクトと感じます。
ミッキーを心から愛していて非常に人道的なナーシャが、ミッキーが2人になっても気にしないのは薬でぶっ飛んでるから?とか、ゲイのカイがミッキーに近づくのは寂しすぎて?とか、ちょいちょいツッコミどころもあるのですが、メインテーマの芯が通っていて、エンターテイメント性の高い本作は非常に楽しめました。ブラックユーモアというか、あまりに非道で自分大好きな植民指導者夫婦とか、実験動物扱いのミッキーのお約束の顛末に、不謹慎ながらも笑う場面が多かったのですが、私の見た回では笑っている人はほとんどおらず…
ロバート・パティンソンは、見た目が同じな17と18を表情や視線だけで完璧に演じ分けていて、これどっち?ってなることがなく、素晴らしかったです。18が自ら犠牲になるんだろうなと、2人並んだキービジュアルを見た時から思ってはいたけれど、その点だけが悲しかった。