劇場公開日 2025年3月28日

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「ポン・ジュノらしさはあるが……」ミッキー17 ぽてちさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ポン・ジュノらしさはあるが……

2025年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『パラサイト 半地下の家族』で各国映画賞を総なめにしたポン・ジュノ監督が、ハリウッドで撮った作品。原作はエドワード・アシュトンの『ミッキー7』で読了済み。基本的な設定は原作を踏襲している。
ただ、映画冒頭でいきなり(誰、こいつ?)と思わせてしまったのはまずい。そこから先も、原作には出てこなかったり、名前が変えられたり、役割が違った登場人物が多数登場する。
キャラクターだけでなくストーリーも改変されている。ミッキーの悲惨な任務ばかり強調されているが、原作はそこまでひどくはなかったし、もっとユーモラスだった。
本と映画は別物であることは承知しているが、原作ファンの思いを踏みにじるようなことがあってはならない。その意味で、ポン・ジュノは(やっちまった……)感が強く残った。原作を読んでいない方には逆に、特段の目新しさも感じられない映画だったのではなかろうか。
原作から離れて(難しいが)映画単体として考えると、グロテスクさをユーモアで包んだポン・ジュノ監督らしい作品ではある。だが、使い捨て人間(エクスペンダブル)の使われ方が異様すぎて、ギャグとして捉えるには無理があった。恋人との奇妙な関係も笑えなかった。独裁者然とした司令官がひたすら不快で、どこかの国の大統領を見ているようだった。
原作(の翻訳版)ではムカデと訳されていたクリーチャーは、宮崎アニメのアレにしか見えず、クライマックスもまた同様だった。ここだけなぜかマイルドになっていた。
全体に消化不良な印象で、期待した出来にはほど遠かった。

ぽてち
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