「溜飲はそれほど下がらない」ミッキー17 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
溜飲はそれほど下がらない
虐げられた者による痛快な逆転劇で溜飲を下げたい!
そんなイメージの期待で鑑賞しにいったのに、意外なほど重くて深かった。
取りようによっては、人間の傲慢さとか命の重さとか自分の選択に対する責任、という一個人では抱えきれないようなテーマばかりなので、スッキリどころかモヤモヤのほうが多く残る。
科学の発展で手に入れた力の使い方。
倫理的にもルールや運用方法においても整理できないまま、制御しきれない事態が発生するかもしれない。これは『オッペンハイマー』にも通じるテーマ。
その他にも、自分という人間の二面性とどう向き合うのか、傲慢と無知から生まれる偏見の愚かしさなど、〝笑い〟の要素では簡単に相殺できないほど、ソチラ側のテーマに気持ちが入ってしまい、エンタメとしては当初期待(もちろん、私の勝手な思い込みの期待値)の60%、といったところでした。
※そういえば、24時間グツグツ煮立ってる煉獄?(鬼滅の刃とは関係ありません)は、サウロンの指輪を溶かしたアレのようでもあり、いつでも誰でも落ちることはあるんだよー、ということの象徴のようでもありました。
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