「残念ながら後半がもたもた重い。」ミッキー17 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
残念ながら後半がもたもた重い。
エドワード・アシュトンの原作は「ミッキー7」。
つまり映画は原作よりエクスペンダブルであるミッキーの数が10人多い。ポン・ジュノによると、観客を喜ばせるため設定を膨らませたのこと。この狙いはあたっていて、前半にミッキーが人体実験用にどんどん使い捨てされるところはスピート感があって実に面白い。
ところがミッキー17が無事帰還、ミッキー18と鉢合わせして「マルティプル」の状態になってからが何だか急にもたもたし始める。
要するに17と18とナーシャの関係、ティモとの経緯、マーシャル司令官とその妻イルファの企み、クリーチャーの謎、と盛り沢山過ぎて、一つずつ解決するために説明的になりすぎるのですね。途中から帰着点は見えてしまっているのでなにを長々と、ってイライラしてしまいました。
ポン・ジュノは「スノーピアサー」でも感じたのだけどSF的空間ではキャラクターづくりが意外と上手でなく、筋を頼りすぎてしまうところがある。もっと土着的な題材の方が向いている気がする。
あと思いついたことをいくつか。
クリーチャーのくだりですがこれは「風の谷のナウシカ」へのオマージュでしょうね。子どもを届けに行くところやクリーチャーたちの暴走は王蟲を思い起こさせます。
それと科学班所属の上白石萌音さん似のドロシーですが、あれは「帰らない日曜日」のパッツィ・ファラン。おそらくレズビアンの設定だと思われるカイ役のアナマリア・バルトロメイや、もちろんマーク・ラファロも、実に脇役が華やかでした。サスガ、アカデミー賞をとった監督はキャスティングで贅沢できるんですね。