バービーのレビュー・感想・評価
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社会風刺系だったとは
ラジオパーソナリティーがお薦めしていたので観に行ってきました(その2)。
なるほど、どんなストーリー展開になるのかと思いきや、そういう事でしたか…、改めて考えさせられました。
男性社会なのは諦めて生きてますから、21世紀になってからの(歳とったなぁ〜)様々な社会ムーヴメントには大まかなところで賛成ですが、確かに色んな意味で色んな方向でどんどん生きにくい世の中になっていってますね。
アメリカ・フェラーラ(どこかで見た事あると思っていたら…、すっかり大人の女性!)演じるグロリア・ママのクライマックスでの長セリフ、うなづき通しでした。
ともすれば重くなりがちなテーマを軽いタッチで観た者の心に植え付けていく手法、いいと思います。
こうして、もっと世の中が素敵に公平になっていくんじゃないかなぁ〜(だといいなぁ〜)
ケン達の良い意味でのバカバカしい苦悩のダンスも嫌いじゃないです。
『アランは一種類』もウケたなぁ〜
段々真面目な展開に
タイトルなし
伝えたいテーマがかなり直接的に主張されてたけど、それが結構刺さってよかった…
冒頭の"赤ちゃんの子守をする遊びをさせられる女児なんてクソくらえ"って表現が強すぎて笑ったけど、これは縛られない女性の象徴なのかと思ったら納得した
序盤のバービーランドはかなりかわいくてときめいた!
ピンクでふわふわキラキラ、水は出なくてごっこ遊びの世界観が詰まってる
私はバービー派じゃなかったけど、バービーで遊んでた子はよりネタがわかって楽しいだろうな
グロリアが訴えかける女性の強いられる"完璧な女性像"がいかに無理ゲーかを突きつけられて、それらが全然誇張でもなんでもなくて、わかるって思えてしまうこの世のおかしさ
無意識に受け入れてしまってる違和感をこれでもかとわかりやすく表現してて、ここまでお膳立てされないと気づけないんだと気づく
バービーを作る会議をおじさんだけでしてる気持ち悪さとか(おじさんが少女の夢とか語ってるのもまじ…)
さらにバービーランドでは女性が中心、男性はオマケという現実世界とは真逆だからこそ気づけることがある
バービーは現実では男性ポジ、ケンは女性ポジなのだ
そうやって見ると、そりゃ男性優位の世界最高!って思ってそれに染めたいと思うし、権利も主張したい
逆に女性社会だったのに男に牛耳られるのはたしかに不快だ
だから男性社会は"自分達の立場を脅かさない程度に女性の自立を許容するけど、主導権は握らせたくない"んだ
その気持ちが、ラストのバービーランドでケンが大統領補佐?になりたいって言って来た時、バービーが「もう少し下の役職ならいいよ」って言う所に現れてる
不思議だ…逆転されたらバービーに共感してしまったんだから…そりゃ男性は女性が出しゃばるのを良く思わないよ、今が最高なんだもの
これが、現時点での現状なんだ
「ここからケンはどんどん力をこの先つけてくだろう」っていうセリフは、現実世界の女性の地位のことを示唆してる、むしろそうなってほしい
あとケンがあえてめちゃくちゃバカに描かれてる(ケンを惑わすのに映画語らせたり、スポーツや技術をわかんないフリして教えさせるのめちゃくちゃ風刺効いてるよねー)けど、あれにイラっとした男性陣に気づいてほしい、女性もこれまであれくらいバカ(教養や思慮が足りなくて男の力がないと何もできなくて従順)に描かれていたことを
ラストで恋をせずに、誰かのオマケでもなく、特別な能力を持ち合わせてなくても自分でいていいんだって言葉がぐっときて泣いちゃった…
"自分らしく"って言葉にもなかなか理想が押しつけられて苦しくなるけど、本当の自分らしさは完璧じゃなくていいし落ちこんでもへこたれてもいいってことなんだよね
バービーっていう人形の世界を使ってものすごく女性の自立についてが描かれてて、すごくいい映画だったな
現実を生きるバービー
人間界の素晴らしさと、そこに住む自分の存在とは
自分が何者なのか悩んでいる心境だからこそより刺さった作品。
人形界と人間界を対比させて描かれていて、
改めていまいるこの世界が有限であり、素晴らしいかを教えてくれた。
人間だからこそ、
苦労もあって、喜びもあって、いろんな感情がある。
また、性社会についても問われる描写があり、
バービーワールドは完全女社会で、男性権力はない。
人間社会はどちらかといえば逆だ。
でも、そもそものその場所の権力者が絶対という考えににとらわれてしまうと、その国や属するコミュニティのルールに洗脳され、気づいたらみんな自分じゃなくなってしまう。
誰かの友達、家族、国民である前に、
みな一人の人間である。私は私。その上で自分とは何かを考えるきっかけをつくってくれる作品でした。
あとは単純にMargot Robbieが可愛すぎた♡
途中、睡魔が襲う
ラストは、もうツルピタでなくなった、ということですか?
想像してたより、かなり教条的というか、直球勝負でした。
それでもさほど説教くさくなく、楽しめたのは、主役2人のプロ度の高さのおかげですね。
人形としての説得力を持たせるために、生身の身体を隙なく鍛え上げたふたり。
特にマーゴット・ロビーは筋トレだけだとムキムキ💪になってしまうし、バランスの良い体にしなければならないわけで、この映画のための準備期間の努力を思うとそれだけで感動します。
ライアン・ゴスリングは、『ラ・ラ・ランド』の時もピアノを猛訓練で弾けるようにしたはずで、今回の歌とギターもきっと吹き替えなどはなかったのでは。
うーむ、腹筋だけではない‼️
私の部屋には、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のムビチケ特典ポスター(マーゴット・ロビー版)が貼ってあるのですが、あらためて見直すと、本当に人形のように整った顔でびっくりします。
人形のように整った女優さん、ではなく、マーゴット・ロビーのように整ったお人形。
この映画、かなりテーマ性(主張)の高い作品だと思うのですが、誰にとっても人生は楽ではないし、誰でもいつかは死ぬ。
そして、自分の頭で何かを考えること、どんなに理想的に見える社会であっても変えなければいけない何かがあることに気付くこと、そのために行動を起こすこと。
人形から人間になるというのは、そのような気付きについてのメタファーなのだと思います。
ラストに婦人科と言ったのは、もう〝ツルピタ〟ではなくなった?ということなのでしょうか。
予想を遥かに上回るストーリー。
人形のバービーが人間世界に来る話なので、楽しいラブコメを想像しながら着席。
まず、バービーランドに住む女はバービーばかり、男はケンばかり。ほんの少しだけ別の名前の奴もいるけどね。人間社会でも同姓同名の他人はいるけど、知り合い全てが同名なんて、会話だけ聞いたら誰の事だか分かんないよな。ヘェ〜、バービーのバリエーションってファッションだけでなく、職業の設定も沢山あったんだ。全く知らなかった。
で、主人公の定番バービーが調子悪くなって、人間世界に行くことになり、オープンカーに乗って旅立つ。そこに突然現れるケン。あら、ロードムービーかなって想像したら、一瞬で人間社会へ到着。そこで実社会とバービーランドの違いを見せられる。そりゃそうだ、バービーの世界じゃ女がメインだよね。男なんてオマケに過ぎないよな。そこからケンが地元に戻って男社会を作ろうとする。それが気に食わないバービーは、女社会に戻そうとする。この対立がジェンダーレス社会の重要性を考えさせられて、とても楽しかった。何より驚いたのはバービーのメーカーの社長さん。バービーランドが存在するのを知ってた。人もそっちに行けるとは!とにかく先が読めない展開で、まじ楽しめた。
ストーリーと全く関係ないんだけど、日本人の自分としてはバービーランドのライバルにリカちゃんランドが存在して欲しかったな。
バービーランドを満喫
アメリカのファッションドール「バービー」を実写映画化したドリームファンタジー。ストーリーはさておき、バービーランドを満喫できるレアな一本。そして何と言っても主演を演じたマーゴット・ロビーの魅力が満載でファンは必見です。
2023-120
BFF
本国の運営が直前にやらかしたせいで、日本の興行は成功は見えない感じになってしまいましたが、それは向こうが悪いですし、作品には多分関係無いと思うので、偏見は取っ払って鑑賞。
超ハイテンションなコメディですが、男女それぞれが抱える価値観や平等性を訴えるメッセージ性、説教くさくなく、楽しく明るくそれでいてキチンとしている、バランスよく面白い作品でした。
バービーランドで過ごしているバービーがふと"死"を連想させるワードが口から溢れた翌日から口臭は気になる、シャワーは熱い、踵が地面に着くなどなど、体の変化に自信の劣化を疑うも、現実世界でのバービー人形になんらかの異変が起こっているという始まり方はなんだかこの手の作品では新鮮だなと思いました。
バービーの世界が女性優位というか、女性がメインで過ごしている世界、大統領もノーベル賞も全て女性、それが当たり前なバービーランド、それに対して現実は大統領もノーベル賞も全て男性、そんな男社会に触発されたケンがその知識を持って女性を支配する欲に駆られるというのは、なんだか現実味を帯びていました。
無意識にバービーたちがしていた支配、意識を持って支配をしたケン、両者間違ったことは何もしていないのですが、自身の価値観はどうなのかと疑問に思い行動するシーンは人間と同じ悩みだなと思いました。
現実から来た親子に諭され、自分の在り方を突き詰めていく決意をしたバービーが報復という形ではなく、やんわりとした手段で洗脳されたバービーたちを戻していくのがコミカルに映っていて面白かったです。ケンも根は素直なキャラなので、翻弄されつつもこれまたコミカルに映っていました。
現実世界に一歩踏み出し、人形から女性への変化というアプローチをこういう作品で体感するとは思いませんでした。かつての少女たちの憧れも成長する、企業努力というものをうまく投影していたなと思いました。
バービー人形やケン人形の色んな種類がある事は知っていましたが、結構バリエーション豊富なんだなとエンドロールで再確認しました。
マーゴット・ロビーが超ハマり役!リアルなバービーっぽさはありつつも、表情がコロコロ変わる人間っぽさ、慌てふためく人形っぽさ、それぞれの特性をこれでもかと演じ切っており最高でした。こんなにスタンダードなバービー人形とソックリになる人なんているのか…。改めてすごい女優さんだと思いました。
ライアン・ゴズリングも絶妙なラインを突いてくるケンっぷりで、イケメンだし筋肉ムキムキマンなのに、どこか憎めない抜けた感じが良い具合に表現されていました。野太いミュージカルもこれまた良くて楽しかったです。
シム・リウが良い役所で出ていたのが嬉しくて、「シャン・チー」で魅せたアクションではなく、シンクロで魅せる動きが物語をピシッと締めてくれてる感じがして良かったです。
ケイト・マッキノンの味のある変てこバービーが中々かっこよかったです。ビジュアルもかなり好みでした。
興味深いテーマを扱いつつも、コメディの様相は見失わない、楽しくありつつも考えさせられる、バランスの良い作品でした。セットのピンクっぷりも今考えたら大変な作業量だなと思いました。製作陣・俳優陣お疲れ様でした。
鑑賞日 8/11
鑑賞時間 9:40〜11:45
座席 D-4
海外との反響を比較するのもおもしろい
公開前から飛び火がきて、少しケチがついた状態で発進。鳴り物入りの、バービー。
まずメッセージ性は強いことは置いておいて、美術全般のクオリティの高さに対しては拍手でしょう。あのピンクに彩られた世界にクラクラはしてしまいました。塗装業界からピンクの塗料が足りなくなったそうで。衣装も素晴らしく観てて飽きない。これだけビジュアルの艶やかさを堪能できることが楽しい。
ジェンダーをとりあげてコメディに仕立て上げ、空虚な存在としてのケンが持っている男性性に目配せをする難行をやってのけたグレタガーウィングとマーゴット・ロビーの力量でしょうね。ギャグが合わないな、と思うところは多々ありましたが、総じてこの映画を話す高はとれるのでおもしろかったです。
Netflixのボクらをつくったオモチャたちというドキュメンタリーがあります。それを観るとバービーはアメリカ史の1ページなのでより理解が深まるし、日本の文化、社会史とも比較するものおもしろいかと
完璧ではない現実
バービー人形に関してまったく知識はなかったが十分に楽しめる内容だった。
観る前からグレタ・ガーウィグ監督で主演がマーゴット・ロビーとくれば、単なる女子向けのキラキラ映画ではないことは予想していた。
まず冒頭の『2001年宇宙の旅』のパロディで笑わせてもらった。
類人猿にとってのモノリスのように、少女たちにとってのバービーは革命的なものだったのだろう。
骨を叩いて破壊する猿のように、少女たちが赤ん坊の人形を壊す場面は狂気に満ちている。
そこからバービーの暮らす誰しもがハッピーで完璧な夢のような世界「バービーランド」の描写が始まる。
主人公は数あるバービー人形の中でも定番タイプのバービー。
彼女はふとある時に死について考えてしまう。
完璧な世界ではもちろん死も存在しない。
その瞬間から彼女の完璧な世界は綻びを見せる。
つま先立ちの足はベタ足になり、太もものセルロイドは劣化してしまう。
現実世界の持ち主の悩みを解決すれば、また完璧な自分に戻れるかもしれない。
そうアドバイスを受けた彼女は、彼女に想いを寄せるケンと共に現実世界へと向かう。
少女たちの憧れの的であると信じていたバービーだが、その完璧なプロポーション故に女性たちから自信を奪った悪しき存在であると持ち主のサーシャから罵られてしまう。
彼女の生みの親であるマテル社の重役たちは彼女を捕らえようとするが、サーシャと彼女の母親グロリアがバービーの逃走の手助けをする。
そしてバービーが完璧さを失った原因が、現実に不満を抱くグロリアにあることが発覚する。
一方、同行したケンはバービーランドとは対称的な男社会に魅了される。
しかし人間の住む現実世界では何の資格も技術もない彼に生きる場所はない。
そこで彼はバービーランドに戻ってバービーたちを洗脳し、男性優位の社会を築こうとする。
とにかくクレイジーでナンセンスな展開に笑わされる作品だが、社会での女性の役割について苦言を呈する社会派な部分も併せ持っている。
このあたりがとても微妙なところでもある。
バービーランドはそのまま現実社会の裏返しでもあるようだ。
バービーランドでは男は添え物で、毎日のようにガールズナイトが催される。
現実では完璧などあり得ないのだが、人は誰かにとっての理想と完璧を求められて生きているのかもしれない。
そしてこの現実世界ではどうしても男性・女性とそれぞれに役割をあてがわれてしまい、その折り合いがつかないことが多い。
バービーはグロリアとサーシャに助けられながら元のバービーランドを取り戻そうとするが、それはケンたちにとっては女性優位の社会が戻ることを意味する。
物語が女性対男性の構造になっていくのは観ていて複雑な気持ちにさせられるものがあった。
ただバービーは完全に元の世界を取り戻そうとした訳ではない。
彼女にはケンの気持ちを蔑ろにしてしまったことに対する後ろめたさはあったのだ。
それでも二人が恋人同士になるという単純な結末にならなかったのは面白い。
完璧な世界ではすべての役割が完結してしまっているが、現実世界では人間は何者にでもなれる可能性を秘めている。
完璧ではないからこそ面白いのが人生でもある。
細部まで良く練られた作品だと思ったが、個人的にはもっとコメディに振り切っても良かったのではないかと思った。
ライアン・ゴズリングは芸達者だし、マーゴット・ロビーは表情豊かでクレイジーな役が本当に似合っているので、少し物足りない部分があった。
想像してたのと違った
“何にもなれない”になれる
っていう結論がすーーーーーーごい良かった。
バービーが夢を押し付けすぎてしまっているって、その過ちを映画にすることを許した本社すごいし、
「じゃあこれからのバービーはどうなの?
何にもなれなくたって、あなたは人生を歩んで良いということを、この映画に込めるね。」
ってメッセージがとてつもなく心に刺さった。
ケンはケンで本当に苦しそうで、
男女関係なく、生きづらさを感じている全ての人に観てもらいたい作品。
ところどころに差し込まれるファンタジーが、物語を重くしすぎてなくて、
最高にハッピーな映画。好き。
最後なんで産婦人科?
結局、バービーも母親という定番の型にハマるのか…
ってちょっと残念になりかけたけど、
別に子供ができたと明言されたわけではないし、
妊娠してなくても産婦人科は行くし。
人形と人間の一つの違いは性器だと、物語内でも少し触れられてたので、
その検診をしたい=バービーは本当に人間になった
っていう明確な表現のために必要だったのかなと考え直した。
産婦人科は病院の中でも数少ない「前向きな理由で受診できる」病院なので、
彼女が明るく人生を歩めてる表現の最適解な気がする。
あと別に子供できても良いじゃんね。嬉しいことじゃんね。
なんで私はちょっと残念になりかけたんだろうね。
コメディのようでテーマは重い
バービー人形でここまで面白く描けるとは
実際の幼少期女子向け人形のバービーをまさかの実写化。ハーレークイーンで注目を浴びたマーゴットロビー、もはやキャラクター作品を演じるに勝手に安心感を得ている。物語はバービー人形が暮らす世界とバービー人形の製造会社がある現実の世界の2世界がフィールド。バービーの世界の住人の基準は、製造されたことがある人形が人して存在しており、もちろんケンもいるし、複数人の亜種バービーや亜種ケンなど同名がいる世界。建物などもバービー人形のハウスをそのままなため、主に液体が無く、基本夢の世界といった感じ。ある日、主人公バービーが心身の不調から現実世界での自身の存在を確認しにいくも、現実はバービー離れを感じ、存在価値を見失う。一方バービーについてきた、金髪ケンは現実社会の男の価値観に触れ、元々バービー主体の女性世界観を男性主体の世界に変えようと動く。現実世界の元バービーのファンである親子の助けをもらい、無事ケン率いる男たちからバービーランド奪還。主人公バービーの新たな門出で本作が終わる。若干の過度な描写、男女格差にも焦点を当てているが面白く描かれているので問題はないと思います。男である私の推しシーンは複数人のケン達によるダンス、体操シーン。ライバルケンの1人にはシャンチーがつとめ、男ならではの焦点のあてかたが面白かったです。
ノリは軽いが、メッセージは重め
楽しそうな予告と主演のマーゴット・ロビーに惹かれて、公開2日目に鑑賞してきました。お盆を迎える週末のわりには客入りはイマイチでしたが、内容は悪くなかったです。
ストーリーは、世界中で愛される人形・バービーたちが暮らす国・バービーランドで、幸せな日々を過ごしていた“定番バービー”が、心や体に起きた異変に気づき、その原因を求めてボーイフレンドのケンとともに訪れた現実の人間世界で大きな衝撃を受け、自身を見つめ直し変容していく姿を描くというもの。
バービー人形に詳しくないのですが、ネットの情報によれば60年以上の歴史があり、かなり多くのバリエーションが存在しているようです。そして、その世界観を広げる存在としてケンを始めとする他のキャラクターも生み出されてきたのでしょう。言い換えれば、多くの夢や希望を与える存在として親しまれてきたバービーの容姿や職業は、女の子の憧れの象徴であったのかもしれません。しかし、発売時とは社会も大きく変わりました。かつての憧れの象徴は、現代では価値観や理想の押しつけ、型へのはめ込みと捉えられかねません。
変化のないバービーランドでハッピーな日々を過ごしたバービーは、初めての人間世界で、その社会変化に大きな衝撃を受けたことでしょう。そんなバービーの悩みや葛藤を通して、誰かの敷いたレールを走ったり、誰かに期待された自分を演じたりすることなく、自分で考え、感じて、限りない可能性に目を向けようというメッセージを本作から受け取った気がします。
一方で、バービーのおまけとして存在していたケンが、自身のアイデンティティに悩む姿や、「ケンはケンであればいい」という言葉で自分を取り戻す様子もなかなかよかったです。人間社会の男女を逆転させたアンチテーゼのようなケンの存在が、作品に深みを与えていたように思います。
終盤で描かれる、バービーの生みの親ルース・ハンドラーとの対話のシーンもじんわりと沁みました。彼女の「自分の道を選ぶのに親の許可は要らない」「親は、子どもが振り返った時にその道のりを確認できるように出発点にいる」という言葉にジーンときました。ラストで、シックな装いに身を包み、ヒールのない履物でしっかりとかかとをつけて立つバービーの姿が描かれます。まさに地に足がついた瞬間です。彼女が名乗る名前からも、力強く新たな一歩を踏み出したことが伝わってきます。序盤との対比による見事な締めくくりです。
そんなメッセージ性のある作品なのですが、表面的には軽いノリで展開していきます。ギャグやジョークと思われるシーンも多いのですが、ほぼ意味不明で笑えませんでした。が、隣席の外国人3人組は何度も笑っていたので、英語圏の人には楽しめたのでしょう。あと、ケンが周囲を洗脳し、それをバービーたちが解いて世界を取り戻すくだりもよくわかりませんでしたが、バカバカしい展開なのでどうでもよく感じました。でも、バービーランドの世界観そのものは、かなりおもしろかったです。
主演はマーゴット・ロビーで、キュートな魅力はまさにリアルバービー。感情表現も豊かで、バービーの心情の変化がよく伝わってきます。共演のライアン・ゴズリングは、イメージとはちょっと異なりますが、コミカルにケンを演じています。脇を固めるのは、アメリカ・フェレーラ、ケイト・マッキノン、シム・リウらで、他にもバービーとケンがうじゃうじゃ登場します。
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