「女性への新しいテーマ」バービー スクリュさんの映画レビュー(感想・評価)
女性への新しいテーマ
この映画はとても新しく深い。一回見ただけでは、わからないかもしれない。それほど、現代は女性が男性に負けないように、いや、男どもより上になるよう頑張れるように仕組まれ、既に洗脳されているからだ。
マーゴットがあまりにも美しくアイドル映画だろうと思って見てはいけない。(マーゴットは当時30歳ぐらいだろうが、パーティーで踊る髪の毛ゴージャスなバービーは本当に綺麗で目を奪われる。)
バービーの頭をきのこ雲にするという不埒な宣伝をしなければ、もっとこの映画は良い映画だと認識されたであろうに、宣伝会社があまりにも愚かだった。
映画の冒頭、赤ちゃん人形で遊ぶ女の子達が、突如めざめて、遊んでいた人形の両足をつかみ、頭から粉々に割るというシーンは衝撃的だ。それほど、【女を家事育児要員にするな】という意思の表れなのだろうが、女が敵意をもって子供人形をぶっこわす、ってことをどう捉えるか。赤ちゃん人形の代わりに出てきたのがバービー人形だ。バービー人形は職業をもち、白人だけではなく黒人もおりアメリカで誰もが自分を投影できた。権威の象徴の大統領にもなれ、最高裁判所判事にもなれる女性の夢だ。
しかし、中盤、その何にでもなれるという夢物語が、逆に現代の高校生の登場人物女子にプレッシャーを与え、ストレスにもなったことが明かされる。
そして、バービー自体も【死】を意識した時、人間の女性はどうしたらいいのか、問われることになるのだ。死ぬということは、どうやって生きるかになり、もちろん、時間が決められているからだ。いつまでもパーティー三昧で終わっていいのか、男を引きずり下ろし一人でも女が優位になることが誇れる目的なのか、子供をもつかもたないか。
最後に人間になったバービーが、婦人科にいって自分の女性としての機能を見てもらうことで終わる。それまではケンもバービーもお股のところはツルツルで何もなく人間どころか、本当は男でも女でもなかったわけだ。再度、女性は女としてどう人生を終えるかを問われている。人形だったバービーが、自分の内臓を初めて見た時、生殖器をみたとき、きっとそれを使って子供を産んでみたいという衝動に、私は、かられるとおもう。
この映画は、キャリアをもち独身で死ぬも良しだが、自分の人生だけで終わる人が増えた事への疑問なのであろうか?
「ただの人でもいい、お母さんになってもいい、ならなくてもいい」、と登場人物のヒスパニック系のママが言うのは、キャリア系バービー人形からの揺り戻しも垣間見える。
実際、自分の時代にはバービーもあったが【りかちゃん人形】を選んだ。自分の頭の中で何にでもなれるのは、もちろん、りかちゃんだったからだ。なんか、女性の権利のために、最近は【ままごと】さえ女性差別とされ、出来なくなっていることを憂慮する。
最後のビリー・アイリッシュの歌も素晴らしい。what was I made for?が心にひびく。