劇場公開日 2023年8月11日

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「トンデモ映画ではなく、笑えてメッセージを伝える映画」バービー kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5トンデモ映画ではなく、笑えてメッセージを伝える映画

2023年8月14日
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鑑賞方法:映画館

人形のバービーを実写映画化するって随分イカれた発想だなと思っていたが、グレタ・ガーウィグが監督するとなると話が違ってくる。普通じゃない話にするんだろうなとは思っていた。
実際、「2001年宇宙の旅」のパロディで始まるところから笑ってしまった。こんなの若い世代の人はわかんないだろうに。たしかに人形の歴史からすると画期的な出来事だったのかも。
完璧なバービーランドで暮らす定番系バービーが死を意識し人間の世界を見に行くという流れ。「トイ・ストーリー」のようでいて、ピノキオのような話。そこに男社会への痛烈な批判を込め、すべての女性にエールを送る内容だった。
もちろん私は男だから、批判される側として受け止める必要がある。マテル社の役員は男性だけだし、ケンダムランドは女性を飾りや給仕役としてしか扱っていない。でも、中盤の「男ってこういうもの」的な描写には笑ってしまった。たしかにスポーツを教えたがり、「ゴッドファーザー」(今は「ダーク・ナイト」もそんな映画かも)を語りたがりと、女性の上に立ちたがるよな。バービーが好きな層にこういう内容がハマるのかは正直微妙かもしれないが、個人的には結構笑ってしまった。そういう意味でかなり攻めた内容だ。
でも男社会をひっくり返して女性中心の世界を築こうとするみたいな話にしないところも絶妙にバランスをとっている感じがする。伝えたいのは、あなたはあなた、それを誇りなさいというメッセージなんだと。
正直、トンデモ映画になるんじゃないかと思いながら観に来たが、こちらのイメージを相当超えて、キチンと笑えるコメディとして、でもメッセージ性のある映画に仕上がっていた。グレタ・ガーウィグすげーな!

kenshuchu