「「イノベーションが重要」は伝わります。」バービー TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
「イノベーションが重要」は伝わります。
観る前から「これは評しにくそう」と思っておりましたが、やはり。。。
序盤こそ、Lizzo、Dua Lipaの音楽にのってミュージックビデオさながらの映像で案内されるバービーとバービーランドの面々、そしてその暮らしぶりは「おバカハッピー」。
そもそもバービーの世界観を知らない私(50代日本人男性)にとってはこれがファースト・インプレッションなのですが、実際に初めて「自分のバービー」を手にした子供にとって、メーカーが考えるコンセプトを気にする子がどれだけいるのでしょう?おそらく、大半の子がバービーで遊ぶ際に想像するバックストーリーは千差万別で、また(その子たちの)バービーがしゃべる言葉の多くは「母親の影響」が強く出る、なんて考えるのは野暮と言うものでしょうか?
ただ、そんなこと言っていると作品が成立しないため、ここは素直に受け入れることとして、、、
あるきっかけでバービーランドを飛び出し、人間の棲む(実)世界にやってくるバービーとケンですが、ここで(実)世界の描き方に違和感を感じかけて、なるほど、序盤の「おバカハッピー」はこの(実)世界とバービーランドとの「両極の対比」が目的なのだと理解します。
双方の世界観をメタ的に見せながら語られることは道徳的で「良いことを言っている」のにも関わらず、その計算されたファンタジーによってむしろ欺瞞に見えかねない危なっかしさを感じたり。途中「それをマーゴット・ロビーが言っても」など自虐を入れたり、最後まで真面目腐らない演出は悪くないのですが、正直、少々冷めた気持ちで観終えました。
グレタ・ガーウィグ&マーゴット・ロビーと言うコンビで非常に楽しみにしていましたし、また、この手の作品性にケチをつけること自体を如何なものかと思いつつも、素直に絶賛する材料が見つからなかった私。「イノベーション(革新)が重要」なことは伝わりますが、バービーと言う「キャラクター」で語ることで反って無理を感じてしまったわけですが、それこそ、感じ方は人それぞれ。単に私向きではなかったのだと諦めることで、ようやく納得できるような気がします。悪しからず。