「結局、人間の世界は何も変わっていない」バービー tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
結局、人間の世界は何も変わっていない
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バービーの世界を具現化したバービーランドのビジュアルは面白いし、随所に散りばめられたバービーにまつわるネタも楽しめる。
その一方で、ストーリーとしては、人間の世界にやって来たバービーが、「男性優位の社会にクサビを打ち込む」みたいな話になるのかと期待していたら、案外早く舞台がバービーランドに戻ってしまい、ある意味、予想外の展開に驚いた。
そもそも、バービーが人間の世界に来たのは、自分の持ち主からの影響を改めるためだったのに、結局、持ち主の母娘をバービーランドに連れて帰っただけで、問題が解決したようには思えない。
それどころか、「死を考えてしまう」というバービーの個人的な問題が、「男性優位になってしまった社会を元に戻す」というバービーランド全体の問題にすり替わることで、作品のテーマが不明確になってしまったようにも思う。
バービーの売上げは上がったのだし、人間の世界に危機が訪れるわけでもないのに、マテル社の重役たちが慌ててバービーランドに行こうとする理由もよく分からない。
極めつけは、最後のバービーの選択で、永遠に続くハッピーな生活を捨ててまで、彼女が人間になりたいと願った理由が、どうにも腑に落ちないのである。
そして、観終わった後に残る疑問は、バービーランドは男女平等の社会になったのに、人間の世界の方は、何も変わらなくて良かったのかということ。
それとも、この後、人間になったバービーが、人間の世界も、バービーランドのように改めて行くということなのだろうか?
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