「BFF」バービー ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
BFF
本国の運営が直前にやらかしたせいで、日本の興行は成功は見えない感じになってしまいましたが、それは向こうが悪いですし、作品には多分関係無いと思うので、偏見は取っ払って鑑賞。
超ハイテンションなコメディですが、男女それぞれが抱える価値観や平等性を訴えるメッセージ性、説教くさくなく、楽しく明るくそれでいてキチンとしている、バランスよく面白い作品でした。
バービーランドで過ごしているバービーがふと"死"を連想させるワードが口から溢れた翌日から口臭は気になる、シャワーは熱い、踵が地面に着くなどなど、体の変化に自信の劣化を疑うも、現実世界でのバービー人形になんらかの異変が起こっているという始まり方はなんだかこの手の作品では新鮮だなと思いました。
バービーの世界が女性優位というか、女性がメインで過ごしている世界、大統領もノーベル賞も全て女性、それが当たり前なバービーランド、それに対して現実は大統領もノーベル賞も全て男性、そんな男社会に触発されたケンがその知識を持って女性を支配する欲に駆られるというのは、なんだか現実味を帯びていました。
無意識にバービーたちがしていた支配、意識を持って支配をしたケン、両者間違ったことは何もしていないのですが、自身の価値観はどうなのかと疑問に思い行動するシーンは人間と同じ悩みだなと思いました。
現実から来た親子に諭され、自分の在り方を突き詰めていく決意をしたバービーが報復という形ではなく、やんわりとした手段で洗脳されたバービーたちを戻していくのがコミカルに映っていて面白かったです。ケンも根は素直なキャラなので、翻弄されつつもこれまたコミカルに映っていました。
現実世界に一歩踏み出し、人形から女性への変化というアプローチをこういう作品で体感するとは思いませんでした。かつての少女たちの憧れも成長する、企業努力というものをうまく投影していたなと思いました。
バービー人形やケン人形の色んな種類がある事は知っていましたが、結構バリエーション豊富なんだなとエンドロールで再確認しました。
マーゴット・ロビーが超ハマり役!リアルなバービーっぽさはありつつも、表情がコロコロ変わる人間っぽさ、慌てふためく人形っぽさ、それぞれの特性をこれでもかと演じ切っており最高でした。こんなにスタンダードなバービー人形とソックリになる人なんているのか…。改めてすごい女優さんだと思いました。
ライアン・ゴズリングも絶妙なラインを突いてくるケンっぷりで、イケメンだし筋肉ムキムキマンなのに、どこか憎めない抜けた感じが良い具合に表現されていました。野太いミュージカルもこれまた良くて楽しかったです。
シム・リウが良い役所で出ていたのが嬉しくて、「シャン・チー」で魅せたアクションではなく、シンクロで魅せる動きが物語をピシッと締めてくれてる感じがして良かったです。
ケイト・マッキノンの味のある変てこバービーが中々かっこよかったです。ビジュアルもかなり好みでした。
興味深いテーマを扱いつつも、コメディの様相は見失わない、楽しくありつつも考えさせられる、バランスの良い作品でした。セットのピンクっぷりも今考えたら大変な作業量だなと思いました。製作陣・俳優陣お疲れ様でした。
鑑賞日 8/11
鑑賞時間 9:40〜11:45
座席 D-4