劇場公開日 2023年8月11日

  • 予告編を見る

「現実の素晴らしさ」バービー サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5現実の素晴らしさ

2023年8月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

単純

女性監督史上最大と言われるほど、本国で大ヒットを記録している本作。ロッテン・トマトの評価も高く、世はバービー旋風。しかし、日本では公開前にOppenheimerとのミームで大炎上。私自身も憤りを感じながらも、作品に罪は無い。映画自体はそんな古臭いものじゃないはずだ!そう思っていたのですが...。

今更取り上げるテーマでしょうか。
時代はもっと先に行っている。そもそも、バービーの世界に一切の憧れを感じない。こんなところで一生を過ごすとなれば、気が狂いそうになる。女性差別をここまでド直球に描くなんて、20年前でもこんな雑なことはしない。しかも、被害妄想のようにしか思えないバービー達の身勝手さがイライラして、なんのメッセージも感じられず、終いには必死に裏テーマを探ろうとする自分。結局、考えても考えても、私はこの映画で何も得られなかった。

バービー世界の構築は目を疑うほど完璧なのに、何故ここまで安っぽいのだろうか。バービー愛があるのか無いのかさっぱり分からん。仕事を選ばなくなった庵野秀明映画って感じ。そんなところまで再現しなくていいのにやっちゃうから、お遊戯会・おままごと感がスゴすぎる。音楽も映像も大したことないし、ド派手な演出もない。いつか盛り上がるだろう!と期待して待っているとエンドロール。いつまで経っても、上滑り。ブラックジョークやメタ発言入れればいいとでも思うなよ!?

バービーとケンの関係生も理解できない。
影で相手を貶したり、自分のことで精一杯で存在を忘れたり。なのに、思い出したかのように嫌われたんじゃないかと不安になったり、仮面を被っていたかのように人が変わる。本物の愛とは一切思えない。これまでもおままごと。というかそもそも、結局なんのアンチテーゼにもなっておらず、ましてや現実より酷い。男社会を批判し、女社会を正当化するのは過去の現実と何も変わってないし、始まりと終わりとでの成長ぶりが一切感じられない。冒険ものとしてゼロ点。ただ、現実がいかに素晴らしいものか伝える映画なのであれば、満点。この映画の世界に、なんの魅力も感じません。

人種差別、LGBTQ差別、障がい者差別が問題視され、それらのテーマを余儀なく組み込まれるようになった昨今の映画業界。そんな中で、こんな古臭くて勇気づけられない映画、あってたまるか。まだまだ世界は変わっていないかもしれないが、時代遅れがすぎる。女性はこんなに大変なんだ!だから、全ては男性よりも優位に立つべきだ!そう言っているようにしか聞こえない。男性主義とされてきた、これまでの社会と何も変わらない。「映画クレヨンしんちゃん ロボとーちゃん」でテーマ性を、「フリー・ガイ」でエンタメ性を学んでから出直してください。

お盆初日、無かったことにしたい。

サプライズ