「「バービー」という偶像」バービー キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
「バービー」という偶像
公開直前にSNSで良くも悪くも話題になった割に、初日の客入りあまり芳しくない様子。
まあ、(特に日本人を相手にすると)宣伝も難しいタイプの映画だし、俳優はストライキ中だし。しょうがないのかな。
この監督の名前を見れば、予告編どおりのお人形実写化おバカムービーなワケもなく、やはりコメディながらかなり厳しくジェンダーに切り込む作品だった。
加えて、性別に関わらず「自分は何者か」というアイデンティティにまで問いかけてくる。
もちろん私はバービー文化に触れていないので、単純に日本の「リカちゃん」と置き換えるワケにもいかず、結局ここで描写された皮肉の半分も理解できたんだろうか。
(もちろんそんなモノは理解できなくても大丈夫。)
とにかく、現在まで男性社会が強要してきた女性像の呪縛を、皮肉と自虐たっぷりに、その偶像自身が解放していくという、一筋縄ではいかない作品。
それなのに、話運びが上手いのでずっと観ていられるのは、さすがの手腕。
メタ視点のレイヤーも複数あって、解釈や理解の仕方は当然一通りではないんだろうな。
残念ながら日本ってこういう映画があまりウケないけど、こういうエンタメからフェミニズムや差別に関する意識が広がらないと、結局一部のヒステリックな議論ばかりが印象に残って、誰も近付かくなっちゃうよ。
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