「栗田科学」夜明けのすべて まこやんさんの映画レビュー(感想・評価)
栗田科学
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前回のケイコ目を澄ませてが良かったので
三宅唱監督の作品を視聴。
CGを使わず自然光や日常の音を上手に
入れる手法は好みで柔らかい。
役者さんのセリフの無い静かな間が心地良かった。
原作者の瀬尾まいこさんは他人との関り合い
と距離感を大切にしてるから表現出来る
のかもしれない。
パニック障害やPMSの症状が、そのように
なってしまう事を学ばされた。
現代における社会問題、介護や自死に対しての
シーンはライトに描かれていたが色々な意味で
脳内を彷徨いズキッとくる。
誰もが一つや二つ、人には言えない言いにくい
事はあるよね。特に家族の事は。
栗田科学の職場の人々は年上の方も多く理解が
あって良かった。茶化す人が独りでもいたら
山添君や藤沢さんも働きずらかったはず。
他人の生き方や生活を理解するのは難しい。
苦しみを抱えながら、時には周りも傷つけ
それでも優しくあろうとする真っ直ぐな二人。
恋愛とかではなく、時間をかけて丁寧に分かって
いこうとするプロセスが丁寧に表現されていた。
藤沢さんが山添君の髪を切るシーンは印象的。
ポケットに隠そうとしたり、山添君の吹き出しかも最高。あれで距離も縮まったんだね。
あと社長の弟さんのカセットテープを聞いた後は
不思議な息吹きが彼に漲った感じがした。
移動プラネタリウムから出てきた友人のご一行は楽しんだ表情もあり、安堵した一つの社会の
パズルが組み合った瞬間で涙腺が緩んだ。
元上司の渋川清彦さんのずっと優しく
見守る表情が良かった。
最後は山添君も軽快に自転車に乗る姿が
みんなの気持ちを現してたね。
夜があるから朝が来る。人生はそういう
物だが心の歩み寄りがあるから、優しい
朝が迎えられるのでは。
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