インフィニティ・プールのレビュー・感想・評価
全19件を表示
鑑賞動機:ミア・ゴス6割、監督3割、暑さにあてられて1割
この2年くらいでのミア・ゴスのえげつない変容を改めて実感する映画。『マローボーン家の掟』がすでに懐かしい。
ひねりはあるのかないのか正直どちらでもいいけど。ただ基本設定は、こじつけでもいいからもう少し説得力があるものにして欲しかったかな。中米かカリブ海の大人向けリゾートのイメージだけど、それこそリゾート会社が秘密のアクティビティとして…とか、技術の第一人者がタックスヘイブンとかで移住してきてるとか、ならまだ納得できたけど。
INSANITY FOOL
あり得ないながら興味深い設定に惹かれて鑑賞。
クローン技術はあの島の人間ならではの発想であり、貴重な収入源のため門外不出とのこと。
無理があるとはいえ、一応説明あるのね。
今まで自作を褒められたことがないであろうジェームスは、ファンを名乗るガビにアッサリ陥落。
それどころか、成されるがままに手コかれる。笑
すぐそこに自分の嫁と相手の旦那がいる中での倫理観や危機意識は理解不能です。
ガビの狙いからも外れたところで勝手に罪を犯してからが、さぁ本番。
司法取引ならぬ経済取引により、自らのクローンが処刑される様を見て、ジェームスの何かが目覚める。
エムに嘘をついてまで島に残り、ガビたちに合流するのだが、仲間あんなに要るかね?
キャラも立っておらず、一人も名前憶えてない…
自らの処刑は楽しめるが自分で手を下すのは耐えられない、という線引きは分かるような分からぬような。
基本的に悪趣味な金持ちの道楽なのだが、その費用が一切明かされないのはちょっとモヤモヤ。
自分は本物か問題も台詞で触れられたのみで、入れ替えがあったとしてもどうとでも取れるつくり。
最後も空港にいたジェームスとビーチにいた彼が同一とも言い切れず、麻薬の幻覚説も併せると何が真実やら。
法に裁かれずとも私刑がくだるオチを期待していたが、そんな真っ当なハズもなく。
だったら“犬”を前に自ら喉を掻き切る方が好み。
クローン作成中やトリップ中の映像は面白いが、長い。
最後のキャストクレジットの出し方や、徐々に背景色の変わるエンドロールは良かった。
ジェームスによる文字通りの“バブみ”は必見。
道徳心の欠片もない金持ちたちの道楽
ブランドン・クローネンバーグ監督の作品は初挑戦です。
今作は、アレクサンダー・スカルスガルド(ジェームズ)とミア・ゴス(ガビ)の出演が
鑑賞したいと思ったきっかけです。
リゾートエリアから主人公ジェームズが出てしまったことから、
彼の転落が加速していく話なのですが、
インパクトがあったのは最初のクローンがつくられるエピソードですね。
クローンを死刑の身代わりになってもらうことを目的にクローンをつくるわけですが、
この国ではどうもそれが当たり前になっていて、警察?の収入源にもなっているという
なんかとんでもない話です。
そして処刑シーンは緊迫感があって見応えあり、非常に痛々しい表現で
クローンの切なさをも感じてしまいました。
その後、ジェームズのクローンを勝手につくって、ジェームズのクローンで遊ぶ鼻持ちならない金持ちたち。
他人の家に押し入りそこの主人に頭から袋をかぶせ、文字通り袋叩きにしたはいいが、実はジェームズのクローンだったり、
ジェームズのクローンを犬に見立てて、ジェームズを襲わせたりと、まあ、とんでもない奴らなわけです。
その中でもミア・ゴスの演技の狂いっぷりは凄まじく、さすがホラー女王とも言える吹っ切れ方の演技でした。
もう圧巻でしたね。ミア・ゴスが一番恐ろしかったです(笑)
これだけでも見応えがある作品ですね。
それからラストのジェームズ。金持ちたちは自分の国に帰国するわけですが、
ジェームズだけは残って、プールサイドで雨に打たれるシーンで映画は終了です。
結局、彼は小説も書けないし(才能がないというのは本人も言っていて、おそらく他人にも言われて初めて自覚したのでしょう)
何も残っておらず、お金持ちの彼女エム(クレオパトラ・コールマン)のすねをかじり倒して生活していたわけですから
エムにも頼らずに生きていこう的な境地の終わり方なのかな?と何となく前向きに捉えました。
あとはやっぱりビジュアルのエッジが効いていて、圧倒されましたね。
気持ち悪い仮面とか、ドラッグ後のエロ・グロ表現とか、クローネンバーグ監督ならではなのでしょう。
これは好き嫌いがはっきりするところだと思います。
映画的深みは感じられませんでしたが、娯楽映画としてはなかなか楽しめる作品でした。
※クローンネタはもっと国家の陰謀とかに繋げられると思うのですが、まあ、そういう監督じゃないんでしょうね(笑)
スランプから抜け出したい作家の顛末
売れない作家がリゾート地で恐怖体験するスリラー映画とあるが、ホラーかもしれない内容だ。
監督は"クラッシュ"や"ビデオドローム"等の名作を生み出した鬼才デビッド・クローネンバーグ氏の息子であるブランドン・クローネンバーグ氏の作品だがこの作品でぶっ飛んでいたのはクローネンバーグ監督のセンスではない。
ミア・ゴスのためのミア・ゴス劇場(笑)
ミア・ゴスがとにかくぶっ飛んでる。
Xやパールで強烈なキャラクターを演じたことですっかりホラー業界では御馴染みになっただろうが、ミア・ゴスはまたやってくれたなあという印象。
スランプから抜け出したい作家がお嬢様育ちの妻とリゾート地で気晴らしのための旅行をしていた際に自身の作品のファンであるというガビが出てくる。
ガビ役をミア・ゴスが演じているのだが、ガビ夫妻と意気投合しともに行動をするようになってから主人公の作家が悪い方向へと走ってしまう。リゾートの掟でリゾート外には出てはいけないのに出てしまった末に借りた車を運転する羽目になった主人公が車のライトの故障により不具合が起きると、歩いていた島民を誤って撥ねてしまい死なせてしまう。
逮捕され人の命を殺めた罪に問われた主人公は死刑を宣告されるが、この島には死刑を免れるためのあるルールがあり、それが島にお金を払う事で自身のクローンを作り出すことにより死刑を受けずに済むというのだが、作り出した自らのクローンに死刑を受けさせるシーンを見る光景はリゾートスリラーじゃなくリゾートホラーになっている。
ガビの紹介により同じクローンを作り出したことにより自らの死刑を逃れた人達とも繫がり犯罪に手を染めると続けて犯行を犯す度にクローンを作り出し死刑を免れることがクセになったのだろうか、やがてスリルを味わいたいがために悪の道へ堕ちてしまう主人公はガビの思うままと言ってもいい。
最終的には味わったスリルが忘れられること無く雨季のリゾート地のプールサイドでただ一人過ごすのだが、その光景が物悲しくも一度味わったスリルが忘れられず負のスパイラルに陥った主人公の顛末を物語っているようにも見えた。
本人に代わって、クローンの私が評価します
冒頭からの撮影手法(天地が回る、超接写等)や重低音で観客を不安にさせる。ホテルでは不気味なマスクの面々でこの島の異常性を垣間見ることが出来る。しかし情報公開されている「クローンを身代わりにする」は30分過ぎには行われた。(早かった印象)
以降ネタバレあります
前半と後半では内容が全く違うし、後半は私は想像していなかった。。私は島の異常性を深く掘り下げたり、クローンにする理由を追求したりしていくと思っていた。
島の警察や有力者はたいして重要ではなく、主にガビ(ミア・ゴス)中心に話が進む。エロティックというよりは変態、そして薬物によるサイケデリックな演出(この場面異様に長く感じ、イラッとした)。ジェームズは一度ならず(勝手に)二度もまでもクローンに。こうなると何が本物の人間か分からなくなる。その後もガビのやりたい放題。でも飽きたのかガビ一行は帰国。ジェームズはおかしくなったのか閉鎖された島に残る。
この映画は何を描きたかったのか?実質ガビが主役で、彼女のやりたい放題を描こうとしたのか。ただ不気味さや不安やエロを描きたかったのか。監督の意図が読めない以上(異常)高評価はできない。
…………
ミア・ゴスは良かったが、(A24のXシリーズ等もあり)ホラー女優のイメージが定着しすぎないか不安です。
エログロミアゴススゴ
肢体を弄ったアート、とでも言うのかな、
綺麗な整った人なのに醜い部分があり、敢えてそれを汚す(穢す)作品がたまにある
ある性癖の人には引っかかるだろうなーと思い、鑑賞
仮面は内部の人間の暴力的な部分
血を見て喜ぶ層がいるのは紀元前から変わらないか
最後は雨の中に…
虐められる事が快楽になってない事を祈りたい
お父さんの作品を見た方はぜひ
Nuts
監督の前作「ポゼッサー」はエグそうで鑑賞は見送ってしまったんですが、今作はミア・ゴスが出るってだけで観にいく気になってR18+とか関係ねぇ!のテンションで鑑賞。
入プレが仮面ってのが最高にイカしてます。
人を故意ではないとはいえ殺してしまった観光客が、自分のクローンを変わり処刑させて自分は生き延びるという超独特な設定にまず惹かれ、そのクローン要素がどう活きていくのかと思ったら、それと並行するように何度でも生き延びれるのを良いことにセレブが暴走していくヤバさ全開の作品になっていてドン引きながら観ていました。
クローンを作る際、作った後の処刑にもしっかりルールがあって、そこまでしっかり作り込んでて変態の度が過ぎてるな〜とニヤニヤしていました。
自分と全く同じの人間がそこにいて、しかも罪の自覚を持って怯えているとことかなかなか怖かったです。
被害者の親族にクローンを殺させるってのは不思議な感覚で、自分が殺される様子を見るのもルールとはいえ悍ましいもんだなと思いました。この殺されるシーン、グロいっちゃグロいんですが、R18+にしては弱いなと思いましたが、R18+の正体は完全に交わり合いの方だったのか〜とびっくりさせられました。
まぁ序盤にガビがジェームズのチン○ンをシ○シコさせて精液飛び散らせてましたし、いきなり飛ばすなーと思っていたら、まぁ交わること交わること。
しかも理性とかどこかに捨ててきてしまったのか、場所も時間も人も問わず、ヤリたい時にヤッて、ふた○りってやつもあって、死姦みたいなのもあってゾクゾクさせられっぱなしでした。
金持ちだから犯罪しまくって死刑になっても、クローンを作ればいいや精神で生きているし、自分のクローンが死ぬ様をエンタメとして消化してるところとか、貧富の差を極端に描いているのはかなり好みでした。
映像的表現も変わったもので、ポケモンショックの如く光飛ばしまくって視覚的にもおかしくなりそうなのが最高です。
ドラッグを決め込んでいる時の感覚の共有とか、絶頂した時の快感とかを映像のみで伝えてくるのは狂気的ですごかったです。
島を脱出するまでは面白さとエグさを持続させられていた印象だったんですが、ラストの方はちょっとダレたかなーって感じです。もちろん終わり方に意味はあったんだと思うんですが、あっさりしたラストだったので、ぶっ飛んでいた中盤を思い返すとこういう終わり方でいいのか?と思ってしまいました。
ここまでの手腕を考えると勿体無いなーとは思いましたが、こういうのも監督の考えの中なんだろうなと咀嚼することにしました。
ミア・ゴスは今作でも文字通り体を張ってました。
全力で歪みまくる表情は「Pearl パール」の笑顔の口角が解放されて口を開きまくって高笑いという狂気じみたものになっていましたし、こんなに大女優なのにおっぱい曝け出して暴れ回ってるもんですからリスペクトしかありません。
アレクサンダー・スカルスガルドもめっちゃ全裸で、主に痛い目に遭うのはこの人なので、撮影中頭おかしくならなかったのかな〜と心配してしまいました笑
今作は性癖には刺さらなかったので、まだ常人側にいれているのかなという安心感と同時に、こういう尖りまくった世界を眺めていたいという好奇心はより強くなったので、変態に片足突っ込んでしまってるなーと自覚しました。変態で結構!
鑑賞日 4/16
鑑賞時間 13:30〜15:35
座席 E-12
パスポートと骨壺
スランプ脱出のためのバカンスがとんでもないことに!農夫を撥ねてしまい死なせてしまった作家のジェームズ・フォスター(スカルスガルド)。逮捕され、過失致死でも死刑になるというリ・トルカ島の法を聞かされるが、大金を支払いクローンを死刑に処すことで罪を免れるという誘いに乗ってしまった。
エログロサスペンスの巨匠デビッド・クローネンバーグの遺伝子を感じるブランドン・クローネンバーグの3作目。いや、主人公ジェームズを演ずるアレクサンダー・スカルスガルドだって名優ステラン・スカルスガルドの息子だぞ!と、ステランもクローネンバーグの作品に出ているのかと調べてみると、彼はラース・フォン・トリアー作品の常連でもあったとわかる。顔立ちはあまり似てないけど・・・
サスペンススリラーからSFものへと変化する中、本物とクローンの区別がつかなくなるという展開。貧困国なのにクローン技術?という疑問はさておいて、富裕層の倫理観と狂気とが錯綜する奇抜な内容に驚きました。何しろ麻薬をやっても死刑なのに、彼らは平気でラリって乱痴気騒ぎを起こし、自分たちのクローンを死刑にさせる。自分とそっくりな人間を殺させて楽しんでいるわけだ。
こうしてジェームズも彼ら富裕層の遊びにのめり込んでしまい、抜けられなくなっていく。そして犬と化した自分に襲われ、とうとう自分殺しも経験するのだ。
個人的にちょっとキモだったのがパスポートと骨壺。ジェームズはパスポートを無くしてしまったから妻エムを先に帰してしまうのだが、実は自分で洗面台の下に隠してあった描写がある。自ら狂気の仲間入りをしてしまうほど魅力的だったに違いない。そして骨壺をしっかりとバッグに詰め込むシーンも興味深い。自戒の念?それとも生き残ったのがコピー?と観る者に想像させるところも素晴らしい。
境目のないプールといった意味のタイトルと無限に作れるクローン。プールそのものの映像がないのが残念なところですが、色んなメタファーも感じる奥深さもあったかな。
罪悪感という恐怖
まさに後味の悪い悪夢みたいな話。
真の恐怖というのは、それまで無自覚だった自分の量りしれない「罪」を自覚することではないか。夏目漱石の「夢十夜」では、自分の息子がかつて自分が殺した男の生まれ変わりだと悟る話がある。
発展途上国や物価の安いリゾート地に遊びに行くときに頭の片隅によぎる罪悪感。ホテルの中は観光客のために贅を凝らしている一方で、一歩外に出れば不衛生な街並みや物乞いがいる。
リゾート地に行かなくても、現在の先進国の富というのは、間接的に遠く離れた途上国の犠牲の上に成り立っている。
この映画は世界の富の残酷なまでの不公平さを極端につきつけたものではないか、という気がする。
主人公はズルズルと堕落の道にひきずられていく。はじめは過失での殺人、次は強制されての犯罪、そして最後は故意での暴力。
「人間らしさ」は、「他者に対する共感性」と言い換えられると思う。
誰でも、家族や友人に対しては強い共感性をもつ。その範囲を全人類にまで広げましょう、というのが現代的な人権の考え方だ。
しかしリゾート地においては、そんなことを考えては楽しめないので、あえて心にフタをする。無意識に「彼らと我々は同じ人間ではない」と考えている。
自分自身のクローンが殺される現場を見て主人公は、かすかに笑みを浮かべる。たぶん、それは彼が心の底で望んでいたことだったからだ。
「完全に共感性を持たない人間」とは、自分自身にすら共感を持たない人間のことだ。そのような人間はあらゆる罪に対して罪悪感を全く持たない、怪物になる。
主人公は結局、怪物になりきることはできなかった。
ラストの解釈はいろいろありうるのだと思うが、薄暗がりの無人の部屋で土砂降りの中うなだれる主人公の姿は、精神崩壊した廃人のようにも見えるが、どこか心安らぐものでもあるように思う。
この映画全体が主人公の悪夢なのだとしたら、次の再生も予感される。
シアトリカル体験型バッドトリップ
クローネンバーグ親子にも詳しくなければ、ホラー映画にも詳しくない。
親父さんのデヴィッドの作品も大昔に『ヴィデオドローム』を観ただけのような気がする。
それも、テレビでだったかも知れない。
それでも、ウヘっ、キモっと感じるには充分だった。
息子がブランドンといって、やはり映画監督であることも、寡聞にして初めて知った。
本作、最初に表示されるスタッフクレジットからして、全面パステルカラーのバックに、スタッフ名が反復する形で示され、異常感がある。
本編に入ると、どこやらの海に囲まれたリゾート地の島(リ・トルカ島という)らしい、それなりに美しい景観が次々と映し出されるが、わざと焦点を浅くして周囲をぼやかした上にピンボケを狙っているので、夢の中のような、ふわふわとした浮遊感に包まれる。
カラリングもパステル調が強調されているというか、この世ならざる色調だし、カメラの角度や構図の切り取り方も、普通ではない。
とまぁ、最初から狙ってるなぁ、と思うしかない。
ホテルスタッフは、民族的には、いったい何人なのだろうか。
昼パーティーの司会者は、一応、英語を話す白人のようだが、何やら土地の民族儀式を説明して、客にも友情の印として、フェイスペイントを施すなどという。
付き従う現地スタッフは、醜い仮面を着けていて、何人かはおろか、本当はどんな顔なのか分からない。
主人公は、6年もの間、一作も書けなかった作家のジェームズ・フォスター。
演ずるは、ちょうど絶賛大ヒット中の『DUNE2』で、マツコデラックスことハルコンネン男爵を演じている名優ステラン・スカルスガルドの長男アレクサンダー・スカルスガルド。
彼の弟のうち3人も俳優だという。
何だ、これ。
日本の歌舞伎界が、21世紀の今もって世襲制を金科玉条として俳優の再生産を行なっていることを評して、信じられない、まるで文明以前の未開人ではないか、と、よく言われるが、
本作では、監督も、主演俳優も、まごうかたなき世襲2世ではないか。
ここからして、何かが狂っているのかも知れない。
この島には、「街」と呼ばれる繁華街があるようだが、ジェームズは、
「あんなのが街なものか、信じられない」
と唾棄するように言い捨てる。
「街」には中華料理のレストランがあって、内装は赤を基調とした、いかにもな店内だが、フロアスタッフは、中華服に身を包み弁髪を垂らした、白人男性である。
今どき、スタッフの中華服まではあっても、弁髪垂らしてるヤツなんている店あるか、
相当に悪趣味だ。
文化の盗用、
アジア蔑視の極みだ。
屋外ステージでは、「インディアンダンス」と英語で看板を掲げてボリウッド系の群舞が上演中だ。
(順不同、時系列無視で記述する)
要所要所にあるプレートや説明文は、英語の部分は分かるが、何やら見慣れない文字のような、文様のような象形文字らしきものが記されている。
ここは、どこだ、、
何でも本作、『パラサイト』を配給した会社NEONの製作とか、、
もとい、いったい、どこのリゾートなのか。
アジアか、
オセアニアか、
それとも、製作に参加した、
カナダか、
ハンガリーか、
クロアチアか、
ストーリーの本体は、どこかに詳しく書いてあるだろうし、省略するが、
メインのキャストが白人男女と黒人女性だけで、アジア系が皆無というのも、今どき、わざとなのか。
作品全体に漂う、嫌ぁな感じのアジア蔑視感も、わざとなのか。
ジェームズを、ダークサイドに堕とす、メフィストフェレスにして、グレートヒェンというかファムファタールを兼ねたガビ・バウアーを演じた、終始粘着的な気味悪い表情で見つめて来るミア・ゴスの怪演がいちばんの見どころ。
あとは、セックス、クローン処刑という形での殺人、ドラッグ、イジメ、、
と悪行、悪徳、悪趣味の限りを尽くして、バッドトリップを体験させる手練手管。
悪徳を娯楽としてし放題、やりたい放題、
ということでは、ピエル・パオロ・パゾリーニの『ソドムの市』を想起させ、同性愛を指す「ソドミー」も行われているとセリフにはある。
そもそもストーリーなど、あってないようなもの。
ジェームズの内心が分からないから、共感も、反感も持ちようがない。
そもそも、バッドテイストが持ち味だからと言って、アジア蔑視をエンタメとして消費してもらっちゃあ、かなわん、、
だから、大幅に減点して、、
とは思うものの、やはり作りあがりは、そこそこの水準だし、一定の気味悪さ、気持ち悪さは味わってしまったので、スコアは平均点でいいかなぁ、
とか、ついつい日和ってしまう私も、もはや召喚、もとい、狂わされてしまったのだろうか。
他の方も指摘されているが、
開始前にはなかった配給、製作会社のロゴクレジットが、エンドロールが終わったあとに次々と流されたので、なかなか席を立てなかった。
終わりのあとにも、何か期待して、、
これも狙ってやったんだろうなぁ、、
そうそう、『ボーはおそれている』で子ども時代のボウを演じた子役が、本作にも出ていたと思うが、彼で良かったんですよね。
子どもに、あんなことやらすなんて、倫理的に許されるのか、、
これも、減点対象ではないか、、
でも、作りあがりは、、
(遠い目をしながら、、
ママでちゅよー
遅ればせながら鑑賞。
昨秋の親父のど変態映画がど変態すぎて
ヒマはしなかったけど、
フツーの範疇で食い足りなさを覚えた。
トリップシーンもまあそんな感じなんだろうけど
2024年のいまコレか⁉︎ ってちょっとなった。長いし。
クローンによる倫理うんぬんは
カズオイシグロや
ネットに転がっている外されたほうのアンパンマンの頭で
語られている以上のものでなく。
先に観た友人が言っていた、
「ミア・ゴスが楽しそうだった」という感想が
いちばんしっくりくる。
それが目当てでもあったので
掲題シーンなどが観られたのは満足。
ラストも共感させるような流れではなく、
あ、そういう方向?
だったら直前の描きかたとかあるのでは?
となったり。
なんだかんだ言ったが、
払ったぶんは楽しんだ。
若いお客さんが多かった
ひとりで来ている女性客もチラホラ。
まぁ、これにデートや友人とは来ないわな。
自分は変態なので痛いシーンも楽しんで観れました。
が、クローンがらみのオチがあるのかと思いきや、そこは放ったらかしなのね。
そのままリゾート地に居座れるなら生きてるのバレるんだから、だったら金だけで釈放でいいじゃん。
けっこうよかった
売れない小説家が車の前を歩かされて、自作小説をクソみそに書かれた書評を朗読される場面がつらい。あの女、色っぽいけど本当に意地が悪くて最悪だ。やたらと強さを見せろとか勝手なことを言う。うるせえバカって言って刺し殺してやれ。
変な連中とかかわるとろくなことがない。危険な場所と危険な時間からは距離を置くべきだと常々考えているが、危険な人物からも距離を置くべきだと肝に銘じたい。
借りた車で人を撥ねるなんてリアルすぎる悪夢、もし任意保険が運転する人だれでもなのでなかったら最悪だ。それにひき逃げなんて絶対ダメだし、救護措置を全力でやるべきだ。
おじさんたちが羽目を外しているのはちょっと見ていられない。変な麻薬でトリップする場面は映像がすごくて眠くなる。
クローンに罪をつぐなってもらうって、なんだそれ? 自分がクローンか本体かで葛藤するのかと思ったらそうでもない。あんまりいいアイデアではない。遺灰をもって帰れと言われるし意味が分からない。けっこうな荷物だし海にまけばいい。
全体的にけっこう面白かった。
インフィニティ・プールの境界が見えて、その手前で身体だけ残せるものがあの島で楽しめる
2024.4.10 字幕 MOVIX京都
2023年のカナダ&クロアチア&ハンガリー合作の映画(118分、R18+)
リゾート地に訪れたスランプ中の作家が奇妙な出来事に巻き込まれる様子を描いたホラー&スリラー映画
監督&脚本はブランドン・クローネンバーグ
原題の『Infinity Pool』とは、「淵がなく海と繋がっているように見えるプール」のこと
物語の舞台は、架空の島「リ・トルカ島」
6年間新作を発表できていない作家のジェームズ(アレクサンダー・スカルスガルド)は、資産家の娘である妻エム(クレオパトラ・コールマン)とともに、そのリゾート地を訪れることになった
作品のヒントを得たいと思っていたものの、ジェームズには何も降りては来なかった
その日、レストランエリアに出向いた夫婦は、常連のガビ(ミア・ゴス)とアルバン(ジャリル・レスペール)の夫婦と出会った
ガビはジェームズの作品を読んでいて、ファンに会えたジェームズは誘いを断ることができずに一緒に食事をすることになった
楽しいひと時を過ごし、ガビは「明日、一緒に島を散策しよう」と誘う
リゾート地のルールとして、敷地外に出てはいけないというものがあったが、ホテルの従業員ドロ・スラッシュ(Zajad Gračić)から車を借りて、人知れぬビーチにいくことになった
未曾有の体験をしたジェームズはほろ酔い気分のままハンドルを握るものの、車のヘッドライトの不調によって前が見えなくなり、そこで現地の農民を轢いてしまう
警察に連絡しようとするものの、この島の治安は最悪で、捕まれば生きて帰れないと脅されてしまう
そして、アルバンに言われるままに被害者を残してホテルへと帰ってしまったのである
物語は、ホテルに戻ったジェームズが地元の警察イラル・スラッシュ(トーマス・クレッチマン)のところに連行されるところから動き出す
イラルは車を貸したドロの甥っ子で、彼が車を貸したことは内密にしてほしいという
そして、言われるがままに、「車を盗んで人を轢き殺した」という犯人に仕立て上げられてしまう
この島では「殺人=死刑」というルールになっていて、ジェームズは被害者家族によって処刑されることになった
だが、イラルは「この国では金を払えば自分のクローンを作り、そのクローンが身代わりとなって処刑してもらうことができる」と言い出す
ジェームズは金を出し、奇妙なプールに入って、自分のクローンを作り出し、そして、被害者の長男が刑を執行する場面を見ることになったのである
映画は、この国のルールを知った富裕層が好き勝手しては、クローンに刑を代行させる遊びを描き、ジェームズたちは戸惑いながらも、それに巻き込まれていく様子を描いていく
ガビと同じように、このルールを熟知している友人たちも参戦し、ホテルのオーナーGergely Trócsányi)の邸宅からメダルを強奪したり、イラルの家に侵入して拉致し、罰を与えたりしていく
そして、その度にクローンが罰を代行し、ついにはジェームズ自身が自分のクローンに刑を執行するという悪ふざけまで始まってしまうのであった
映画は、かなり悪趣味な内容になっていて、安全地帯にいる人々がハメを外す様子を描いていく
それでも、この奈落には適性があって、平常時にいかに普通に戻れるか、というものがあった
エムは早々に脱落して帰国し、ジェームズはガビたちに巻き込まれ続けるのだが、彼は帰国途上でそれを取りやめて島に残ってしまう
それは、日常に戻って、平常でいられるかがわからなかったからだろう
帰りのバスでは普通に戻っている6人を見て、ジェームズだけはいまだに夢の中にいて茫然自失の状態だったので、その懸念が彼を迷わせ、帰国するタイミングを失ったように思えた
いずれにせよ、かなり悪趣味な映画で、エログロ満載の内容になっている
その世界にもどっぷりと浸かれず、日常に戻っても不毛なのはわかっているし、おそらくは結婚生活も終わりを告げる
それゆえに、どこにも行けなくなったジェームズが途方に暮れるという感じになっていた
彼には、インフィニティ・プールの境界が見えない人物で、その行き来というものが器用にはできない
それゆえに、間違って海に落ちたまま、戻れなくなっているように見える
彼にとって、それが幸せなことなのかはわからないが、元の世界に戻る地獄の方が彼には見えてしまっているので、あの選択になるのはやむを得ないのかなと思った
自己破壊の美学
責任感や罪の意識、モラルから解き放たれた人間は、最後に何を娯楽とするのか。
テーマは深く、表現はキテレツです。この辺はさすがクローネンバーグ御大の息子だなと、しみじみします。
主人公は自分のことが超大切なナルシストでありながら、どこか内面では徹底的にそれを破壊されることを望むドMな面も見えます。特に、最初のクローンが処刑される様子を見ているときのスカルスガルドはいい顔をしていました。(長いので、以下はスカ_nと呼びます)
クローンの経緯は、一回観ただけは追い切れませんでした。
覚えている限りでは、こんな感じでしょうか。
スカ_org
スカ_1 → 轢き逃げの罪 → 処刑された
スカ_2 → 屋敷襲撃の罪 → 処刑された
スカ_3 → 警官コス → ボコボコにされた後はどうなった?
スカ_4 → 犬 → どのスカに殺されたかよく分からない
観終わって残った違和感は、「骨壺の数」と「顔の傷」。
お土産の骨壺は3つで、生成されたクローンの数よりも1個少ないので、2人のスカが生きていることになります。
それを前提とすると、賢者モードに切り替わった金持ち軍団と一緒に空港に辿り着くスカには傷があって、足も引きずっていないのでスカ_3っぽい。
※スカ_3の記憶は警官コスでのボコが最後であり、著作をけなされたり、犬スカを殺す羽目にはなっていないと思われます。
場面が飛んで、帰らなかったのかなと思いきや、雨に打たれているスカには顔の傷がないので、だとすれば、スカ_3が彼女のもとに帰って、スカ_orgは実は残っている。
シーズンオフにいても怒られないのか? とか、もしかしてスカ_orgはずっとリゾートにいて、クローンのスカ_nを毎年呼んでたりする? とか、この辺は妄想が膨らみます。
そうなると、なぜか旦那より文学的な表現に長けているリッチな彼女のエムにしても、LAではいつまでも新作が書けない旦那のクローンで遊んでいるのかな? という風にも見えてきました。
というのも、海外のブログで指摘されていましたが、空港でスカが提示する搭乗パスは2018年のものです。
となると、スカは新作を6年書いていないと言っていたので、初年度でドハマりし、金持ち軍団とは違った目的で自己破壊されに来ているという風にも見えるので、この映画は穿った見方をするとキリがないです。
色々考えると眠れず、もう1カ所ぐらい風呂敷を閉じてから終わってくれと思ったので、☆は4つです。
色々と結論に至らない点が多いですが、面白い映画でした。
どれだけぶっ飛んだ設定でもついて行けるのは、甲高い囁き声でイギリス英語をヒソヒソ話すミアゴスの怪物的な演技があってこそ。
私が気に入ったのは、悩みながら増えていくスカよりも、「もがき苦しむ自分の死」だけがエンタメとして残った、悪趣味な金持ち軍団の方でした。
彼らがマンソンファミリーのように屋敷を襲撃する姿や、他の観光客に食べ物を投げて遊ぶ場面には(投げていたのはスカでしたが)、バラードのテクノロジー三部作にも通じるような、退廃的な美しさがあると思います。
ちなみに、劇中でスカの著作として出てくる『変わりゆく鞘』=『The Variable Sheath』は、ブランドンクローネンバーグが実際に書いた未発表の小説だそうです。
それを映画の中でミアゴスに徹底的にけなしてもらっているわけで、もしかしたらクローネンバーグ自身が、劇中のスカ_orgを超えるドMなのかもしれません。
先進国とセレブの傲慢さと地元のしたたかさ。結果、やっぱりミア・ゴスの存在感が際立つ「リゾート地闇堕ちスリラー」
いわゆる「リゾート地闇堕ちもの」?
義父のコネで1作だけ出版できた小説家の男と妻は、とある国家の観光地らしい目玉が全く無い治安が極めて悪い名ばかりリゾート地にアイディア探しのため数日滞在する。
しかしそこでは、観光客が殺人を犯した場合、大金を払えばクローンを作ってくれて、代わりに死刑にすることができるという裏ルールが存在していた。
平凡な私だったら、まず普通に主人公が処刑されてしまい、いたんブラック・アウト。
フェード・インして、それを見ていたもう一人の主人公が、過去を回想するか、
処刑前のシーンから始まって、どこかおかしいと気づいた彼が、捜査して驚愕の真実を発見!
みたいになると思うのですが…(ハリウッド低予算C級作の見過ぎ)
そこは焦点ではないらしく、
殺人もクローンもバカンスのお祭り騒ぎと割り切って楽しんで、金で解決、帰国時は普通に戻る、というのが本物のセレブの考え方。
殺人すらも利用して生きる現地人のしたたかさ。(クローン出来るならもっと儲ける方法はいくらでもありそうだが。)
その周りを、物珍しさと興奮で、ただただおろおろする、にわかセレブ、しかもそのクローン(だろう)という男の情けなさが満載でした。
デヴィッド・クローネンバーグの息子というレッテルを常に貼られる、ブランドンの監督・脚本作です。
監督の、他人の意識を乗っ取る殺し屋システムを描いた「ポゼッション」は観ました。
仮面のイメージや幻想と現実が錯綜し、観た後、ざらついた感覚が残るところが本作と共通の感想です。
が、でも、結局、とにかく、セレブ夫人を演じたミア・ゴスの存在感に尽きる。
さすがです。
予告で印象に残っていたのは、マウスピースをはめた「ウォレスとグルミット」のウォレス似の顔のみでしたし。
題名の『インフィニティ・プール』は、ミア・ゴス演じるセレブ夫人の夫が現地で設計していた施設で、「プールのふちに手すりなどの視界を遮るものがなく、目の前に広がる海や湖と繋がっている様に見えるプールのこと」。
自分が本物かクローンか、現実か幻想か、管理地内か柵の外か…など様々な境界のあいまいさを象徴して言うのでしょう。
チラシが作品の雰囲気を上手く出せてるように思うw
監督のブランドン・クローネンバーグは「ポゼッサー」を観て父親デビッドのDNAの片鱗をほんの少しだけ感じたこともあり、次作を待ち望んでいた監督。
本作も現代科学ではあり得ないトンデモ設定がベースにあるが、それ以上にダイレクトな性描写とゲスな富裕層達の遊びのインパクトの方に目が行ってしまう作品だった、
特にタチの悪いアバズレを演じさせると右に出るものはいない女優魂の塊みたいなミア・ゴスが本作でもNG無しの体当たり演技で大きなインパクトを残した。
主演のアレクサンダー・スカルスガルドは年を取りこちらも父親にかなり似てきたが、今までは北欧出身の恵まれた体躯を活かしたワイルドな役が多かったが、本作はかなりだらしのないダメ男を演じそのギャップが良かった思う。
売れない作家で奥さんにリゾート地に連れて来てもらったのにホテル外の中華料理さえ食べたがらないつまらない男だったが、結局自分自身が何も変われないことがわかっているので、元の生活に戻らず居残ってしまうといったクズさは良かった。
玉を握られた男は女の言いなりになっちゃうというのも洋の東西を問わず同じなのも面白かった。
期待度◎鑑賞後の満足度△ 今の自分は本来の自分なのかクローンなのかわからない怖さと、でもそれに悩むことって意味あるの?みたいな実存主義的なホラーを期待してたんだけど…
①今の映画界でブッ飛んだ危ない女をやらせたら一番かもしれないミア・ゴスの怪演だけが目玉で、あとは60年代のサイケ・トリップ映画の2020年代版焼き直しみたいな感じ。
②血を塗りたくったガビの乳首を赤子の様にジェームズ吸うところシーンは結構面白い絵だと思うのでもっと上手く演出して欲しかったし…
③途中から突然”私たちも同じ体験者なんですよ”とオッサン・オバサン達が登場するも“はァ?”という感じだし…
金持ちの悪い遊び。
スランプ中の作家ジェームズと資産家の娘の妻エムが遊びに行った高級リゾート地の孤島で起こる話。
その孤島でジェームズの書いた小説の愛読者と名乗る女性ガビとその旦那、意気投合で禁止だった敷地外へ飲みへ行くもその帰り道に車で1人の男性を跳ねてしまい死なせてしまったジェームズ、その場から去る2組夫婦だったが、翌日その孤島の警察に連行される事になったが…。
~その孤島で事件、事故等は基本死刑、死刑を受けるか、その身代わりで金を払いクローン作り、そのクローンに身代わりになってもらうかが選べる~
飲み過ぎで外で立ちションのジェームズ、出会ったガビに後ろからあんな事されちゃったけど、それを機に手の平で転がされちゃった感じのジェームズだったけど…、結局単純よね男なんてと、パスポート紛失とか言ってたけど…、島に残っていい思いしたかったのかな?(笑)
下描写の時、アーティスティックな感じで色が入るのと光点滅はちょっと眩しすぎて観づらかったかな、ラストの終わり方と雨に濡れながら座るジェームズの心情は全く分かりませんでした。
島で出会った連中かなりイッちゃった奴なんて思ったけど島を出たら嘘の様に普通(笑)
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