インフィニティ・プールのレビュー・感想・評価
全69件中、1~20件目を表示
無限に沈み続ける悪夢の沼
普通名詞のインフィニティ・プールは、高級ホテルの屋上などにある外縁がないように見える設計のプールのこと。ブランドン・クローネンバーグ監督は、ドミニカ共和国のインクルーシブリゾート(施設内での飲食や娯楽のすべてが料金に含まれている高級リゾート)で休暇を過ごした体験に、以前に書いていた身代わりのクローンが処刑される短編小説を組み合わせ、本作の脚本を書いたという。
父親のデビッド・クローネンバーグ監督から受け継いだボディホラー要素はこの長編第3作でも健在で、直接的な暴力がもたらす人体破壊のほか、ドラッグの影響下における幻想的な乱交シーンでのデフォルメされた性器の描写、奇形を思わせるグロテスクな伝統的マスクなどにも表れている。
アレクサンダー・スカルスガルドが演じる主人公ジェームズがかつて貧乏作家で出版社社長の娘と結婚して逆玉の輿に乗ったという設定もうまい。妻とその親のおかげでリッチな余暇を過ごしているという引け目があるからこそ、金持ちたちの悪い遊びにずるずると引きずりこまれていく不安とおそれが幅広い観客層に共有されるのだろう。
ミア・ゴスのファムファタールっぷりも見事だ。彼女が主演する「X エックス」「Pearl パール」に続く米7月公開予定の第3作の日本公開(邦題の法則性に従えば「MaXXXine マキシーン」になりそう)も今から待ち遠しい。
【”罪を犯しても償うのは、もう一人の自分。”今作は或るリゾート地に集う人達の密やかなる倒錯の愉しみをエロティック&グロテスクに描いたクローネンバーグ親子のDNAの強さを感じる作品である。】
■高級リゾート地として知られる孤島”パ・クルカ”を妻・エム(クレオパトラ・コールマン)と共に訪れた六年間も新作が書けないスランプ中の作家、ジェームズ・フォスター(アレキサンダー・スカルスガルド:名優であるステファン・スカルスガルドも「ニンフォマニアックVol.2」にミア・ゴスと共に出演していたので、似た者親子であろう。)。
ある日、彼の唯一冊の小説の大ファンだというガビ(ミア・ゴス)に話しかけられたジェームズは、彼女とその夫に誘われ一緒に食事をする。意気投合した彼らは、出てはイケナイと言われていたリゾート地からドライブにジェームズの運転で出かけるが、途中で彼は地元民を轢き殺してしまうのである・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・アレキサンダー・スカルスガルドがエロティックシーンでも、グロテスクシーンでも奮闘しているが、名優である父、ステラン・スカルスガルドも「ニンフォマニアック」にミア・ゴスと共に出演しているので、似た者親子であろう。
・観ていれば分かるが、今作のタイトル「インフィニティ・プール」の意味は”一度知ってしまった倒錯の快感は、尽きる事無く溢れるばかり・・。”という事であろう。
・現地民を凄惨な方法で殺しても、大金を積み自分ソックリのクローンを作り、それに対して遺族に復讐させれば、何をしても良し!と言う、高級リゾート地として知られる孤島”パ・クルカ”の掟に魅入られて行くジェームズ・フォスターの姿。
そして、彼を執拗に追い込んで行く超ドSのガビを演じるミア・ゴスの姿が堪りません。シャイア・ラブーフ君が一度は別れても、よりを戻した事が良く分かるのである。君はきっとドMなんだろうね・・。
・ガビが、倒錯の世界からバスで逃げ出したジェームズ・フォスターを、夫やお仲間と車で追いかけて”アンタの小説なんて、最初から屑なんだよ!”と言って酷評の書評を読み上げる姿や、打ちひしがれる彼に対し、乳首を吸わせるシーンなどは子供に対し、厳しい躾を行う母親の様である・・。
・妻・エムからは”貴方の眼、ゴミ捨て場の蟹の眼のよう・・。”と吐き捨てられ、捨てられるも倒錯の世界に染まったジェームズは、ガビたちと狂乱の行為を繰り返すが、帰国の日が来てガビたちが普通の顔をして”又、来年!”と言って国に帰って行く中、彼だけはチケットを持ったまま、呆けた顔で空港のロビーに一人座っているのである・・。
<今作は或るリゾート地に集う人達の密やかなる倒錯の愉しみを、エロティック且つグロテスクに描いたクローネンバーグ親子のDNAの強さを感じる作品なのである。>
醜悪さと美しさの境界
イカレポンチ
何を見せたいのか分からない
過去作全て観ねンばーグ。
深い悪夢に引きずり込まれる!
クローン
暇な金持ちってろくなことしないな。
「マザー!」を観た後のような嫌な後味
これは…なかなかマニアックな作品。
冒頭の朝ごはんのシーンで店員がつけているお面の気味の悪さから、もうこの映画のヤバさをプンプン匂わせているのになんだか目が離せない。
しかも小説のファンだとか言って近寄ってくる怪しい夫婦とか、ホラーとかミステリーでは典型的な悪人パターン!笑
結局、厄介なことに巻き込まれるけれどその厄介なことが“自分のクローンを作り処刑させる」という、訳のわからない話でいよいよヤバさ爆発。
それからどうなるかと思ったら、自分のクローンは一体だけじゃなく、迎え入れてくれた仲間たちが自分のクローンをゲームのようにいたぶり、殺していく。
逃げようとしても追ってくるし、自分の意識もハッキリとせず、もう訳わからない状況。
結局、あの悪夢のような日々は終わって皆んな何事もなかったかのように帰路に着くけれど…結局、主人公だけはあの世界から抜け切れなかったのか誰もいないホテルに戻り…魂が抜けたように雨に打たれてそのまま終わり、、
めちゃくちゃ後味悪いし、なんか「マザー!」を観た後のようなもうすごくモヤモヤするし、関わってくる人間みんなを嫌いになりそうなあの妙な感覚になった。
でもこういう作品ってなぜか観たくなっちゃう。
余談ですが、主人公を演じていたアレキサンダー・スカルスガルド、めちゃくちゃジョエル・キナマンに似てる‼︎って思ったら、出身地が一緒でした。
このお二人は泣き顔とか困った顔の表情がとても良いので、スウェーデンの役者さんはこういう演技はハマるのかな、と思いました!
ピントの鬼
ここまで観せてくれるの!?
全69件中、1~20件目を表示














