インフィニティ・プールのレビュー・感想・評価
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主人公に感情移入したら気が重くなってしまった
バリ島風のリゾートにやってきたフォスター夫妻。ホテルで知り合ったバウアー夫妻に誘われて、本来は禁止されているホテルの外へのドライブに行った結果、夫のジェームズがとんでもない目に遭うというホラー作品でした。
本作のキーとなるのは、自分のクローンが作れてしまう技術がある世界のお話であることで、島民を交通事故で殺してしまったジェームズが、自らのクローンが罪滅ぼしのために身代わりとなって死刑に処せられるのをはじめ、何度もクローンが殺されるシーンが印象的でした。
さらにもっと怖いのが、「Pearl パール」での演技が非常に印象的だったミア・ゴスが演じたガビ・バウアー。リゾートでの暇つぶしにジェームズに狙いを定め、気がある振りをして彼に近づき、徐々に肉体面、精神面両方で追い込みをかけて最後は廃人にしてしまいました。人間のクローンを作れるという設定は完全にSFですが、その部分を除けば金持ち女に弄ばれてポイっと捨てられてしまったジェームズの姿を見せられると、心胆寒からしめる恐ろしさを感じずにいられませんでした。
教訓としては、気が乗らないものには靡かず断ること、そして何よりも色仕掛けに気を付けろということでしょうか。
ただうだつが上がらないジェームズに自己投影してしまった私としては、最悪の物語であり、ちょっとゲンナリしてしまいました。ミア・ゴスの演技は相変わらず狂気に満ちており、その点は評価すべきところだと思うものの、どうも気が重くて・・・まあそれだけ観る者の心の隙間に入り込んでくる力のある作品だと言えるのかも知れませんが。
あと、リゾート地を舞台にした作品の割に、その景色の美しさが活かされていないように感じました。昼間の屋外でも全体的に暗い感じがあったのは、映画館の問題だったのか、作品自体がそういう味付けだったのか、いずれにしても映像は今ひとつでした。また音楽や効果音の方も、初っ端から大袈裟すぎてメリハリが感じられませんでした。
そんな訳で、本作の評価は★2とします。
そして私は途方にくれた
罪悪感という恐怖
まさに後味の悪い悪夢みたいな話。
真の恐怖というのは、それまで無自覚だった自分の量りしれない「罪」を自覚することではないか。夏目漱石の「夢十夜」では、自分の息子がかつて自分が殺した男の生まれ変わりだと悟る話がある。
発展途上国や物価の安いリゾート地に遊びに行くときに頭の片隅によぎる罪悪感。ホテルの中は観光客のために贅を凝らしている一方で、一歩外に出れば不衛生な街並みや物乞いがいる。
リゾート地に行かなくても、現在の先進国の富というのは、間接的に遠く離れた途上国の犠牲の上に成り立っている。
この映画は世界の富の残酷なまでの不公平さを極端につきつけたものではないか、という気がする。
主人公はズルズルと堕落の道にひきずられていく。はじめは過失での殺人、次は強制されての犯罪、そして最後は故意での暴力。
「人間らしさ」は、「他者に対する共感性」と言い換えられると思う。
誰でも、家族や友人に対しては強い共感性をもつ。その範囲を全人類にまで広げましょう、というのが現代的な人権の考え方だ。
しかしリゾート地においては、そんなことを考えては楽しめないので、あえて心にフタをする。無意識に「彼らと我々は同じ人間ではない」と考えている。
自分自身のクローンが殺される現場を見て主人公は、かすかに笑みを浮かべる。たぶん、それは彼が心の底で望んでいたことだったからだ。
「完全に共感性を持たない人間」とは、自分自身にすら共感を持たない人間のことだ。そのような人間はあらゆる罪に対して罪悪感を全く持たない、怪物になる。
主人公は結局、怪物になりきることはできなかった。
ラストの解釈はいろいろありうるのだと思うが、薄暗がりの無人の部屋で土砂降りの中うなだれる主人公の姿は、精神崩壊した廃人のようにも見えるが、どこか心安らぐものでもあるように思う。
この映画全体が主人公の悪夢なのだとしたら、次の再生も予感される。
240 確かマリネラ国も人を殺めたら例外なく死刑だった
何のためにこんな仕組みを作ったのか?
これで美味しいおもいをするのは誰なのか?
主人公はたまたま対象になったのか、それとも
はめられたのか?
ミアゴスはなんでいつも凄いのか?
あーわからん(笑)
しかーし確かに見知らぬ国に行けば多かれ少なかれ
自分の立場が危うい状況になる恐怖が
常に存在すると思う。
自分が子供のころはトンでも本に香港の店で
着替えをしたらどこかに拉致されて
女性なら売られる、と書いてあり怯えましたよ。
で、本作のような状況になれば私なら
相当病むでしょうね。
ただ金持ちは刺激を求めて何度でも罪を犯す。
自分を何度も殺すだけでなく
あーあそこにいる一見さんをはめようぜ。
二回も三回もドッキリしかけようぜ。
結構理にかなったストーリーだと思います。
70点
MOVIX京都 20240413
シアトリカル体験型バッドトリップ
クローネンバーグ親子にも詳しくなければ、ホラー映画にも詳しくない。
親父さんのデヴィッドの作品も大昔に『ヴィデオドローム』を観ただけのような気がする。
それも、テレビでだったかも知れない。
それでも、ウヘっ、キモっと感じるには充分だった。
息子がブランドンといって、やはり映画監督であることも、寡聞にして初めて知った。
本作、最初に表示されるスタッフクレジットからして、全面パステルカラーのバックに、スタッフ名が反復する形で示され、異常感がある。
本編に入ると、どこやらの海に囲まれたリゾート地の島(リ・トルカ島という)らしい、それなりに美しい景観が次々と映し出されるが、わざと焦点を浅くして周囲をぼやかした上にピンボケを狙っているので、夢の中のような、ふわふわとした浮遊感に包まれる。
カラリングもパステル調が強調されているというか、この世ならざる色調だし、カメラの角度や構図の切り取り方も、普通ではない。
とまぁ、最初から狙ってるなぁ、と思うしかない。
ホテルスタッフは、民族的には、いったい何人なのだろうか。
昼パーティーの司会者は、一応、英語を話す白人のようだが、何やら土地の民族儀式を説明して、客にも友情の印として、フェイスペイントを施すなどという。
付き従う現地スタッフは、醜い仮面を着けていて、何人かはおろか、本当はどんな顔なのか分からない。
主人公は、6年もの間、一作も書けなかった作家のジェームズ・フォスター。
演ずるは、ちょうど絶賛大ヒット中の『DUNE2』で、マツコデラックスことハルコンネン男爵を演じている名優ステラン・スカルスガルドの長男アレクサンダー・スカルスガルド。
彼の弟のうち3人も俳優だという。
何だ、これ。
日本の歌舞伎界が、21世紀の今もって世襲制を金科玉条として俳優の再生産を行なっていることを評して、信じられない、まるで文明以前の未開人ではないか、と、よく言われるが、
本作では、監督も、主演俳優も、まごうかたなき世襲2世ではないか。
ここからして、何かが狂っているのかも知れない。
この島には、「街」と呼ばれる繁華街があるようだが、ジェームズは、
「あんなのが街なものか、信じられない」
と唾棄するように言い捨てる。
「街」には中華料理のレストランがあって、内装は赤を基調とした、いかにもな店内だが、フロアスタッフは、中華服に身を包み弁髪を垂らした、白人男性である。
今どき、スタッフの中華服まではあっても、弁髪垂らしてるヤツなんている店あるか、
相当に悪趣味だ。
文化の盗用、
アジア蔑視の極みだ。
屋外ステージでは、「インディアンダンス」と英語で看板を掲げてボリウッド系の群舞が上演中だ。
(順不同、時系列無視で記述する)
要所要所にあるプレートや説明文は、英語の部分は分かるが、何やら見慣れない文字のような、文様のような象形文字らしきものが記されている。
ここは、どこだ、、
何でも本作、『パラサイト』を配給した会社NEONの製作とか、、
もとい、いったい、どこのリゾートなのか。
アジアか、
オセアニアか、
それとも、製作に参加した、
カナダか、
ハンガリーか、
クロアチアか、
ストーリーの本体は、どこかに詳しく書いてあるだろうし、省略するが、
メインのキャストが白人男女と黒人女性だけで、アジア系が皆無というのも、今どき、わざとなのか。
作品全体に漂う、嫌ぁな感じのアジア蔑視感も、わざとなのか。
ジェームズを、ダークサイドに堕とす、メフィストフェレスにして、グレートヒェンというかファムファタールを兼ねたガビ・バウアーを演じた、終始粘着的な気味悪い表情で見つめて来るミア・ゴスの怪演がいちばんの見どころ。
あとは、セックス、クローン処刑という形での殺人、ドラッグ、イジメ、、
と悪行、悪徳、悪趣味の限りを尽くして、バッドトリップを体験させる手練手管。
悪徳を娯楽としてし放題、やりたい放題、
ということでは、ピエル・パオロ・パゾリーニの『ソドムの市』を想起させ、同性愛を指す「ソドミー」も行われているとセリフにはある。
そもそもストーリーなど、あってないようなもの。
ジェームズの内心が分からないから、共感も、反感も持ちようがない。
そもそも、バッドテイストが持ち味だからと言って、アジア蔑視をエンタメとして消費してもらっちゃあ、かなわん、、
だから、大幅に減点して、、
とは思うものの、やはり作りあがりは、そこそこの水準だし、一定の気味悪さ、気持ち悪さは味わってしまったので、スコアは平均点でいいかなぁ、
とか、ついつい日和ってしまう私も、もはや召喚、もとい、狂わされてしまったのだろうか。
他の方も指摘されているが、
開始前にはなかった配給、製作会社のロゴクレジットが、エンドロールが終わったあとに次々と流されたので、なかなか席を立てなかった。
終わりのあとにも、何か期待して、、
これも狙ってやったんだろうなぁ、、
そうそう、『ボーはおそれている』で子ども時代のボウを演じた子役が、本作にも出ていたと思うが、彼で良かったんですよね。
子どもに、あんなことやらすなんて、倫理的に許されるのか、、
これも、減点対象ではないか、、
でも、作りあがりは、、
(遠い目をしながら、、
過激で面白くて、良かったです!
主人公がどんどん深みにハマっていくのがとても面白く、時々笑えるところもあり、楽しく観ました。ミア・ゴスがますます好きになりました。
クローンを作る技術があるのに、液体に浸かって型取りって楽しいですね!
お父さんと比べられることも多いでしょうが、監督の今後の作品に期待したいです。
罪悪感を負ける者には大金持ちにはなれない
ママでちゅよー
遅ればせながら鑑賞。
昨秋の親父のど変態映画がど変態すぎて
ヒマはしなかったけど、
フツーの範疇で食い足りなさを覚えた。
トリップシーンもまあそんな感じなんだろうけど
2024年のいまコレか⁉︎ ってちょっとなった。長いし。
クローンによる倫理うんぬんは
カズオイシグロや
ネットに転がっている外されたほうのアンパンマンの頭で
語られている以上のものでなく。
先に観た友人が言っていた、
「ミア・ゴスが楽しそうだった」という感想が
いちばんしっくりくる。
それが目当てでもあったので
掲題シーンなどが観られたのは満足。
ラストも共感させるような流れではなく、
あ、そういう方向?
だったら直前の描きかたとかあるのでは?
となったり。
なんだかんだ言ったが、
払ったぶんは楽しんだ。
若いお客さんが多かった
ひとりで来ている女性客もチラホラ。
まぁ、これにデートや友人とは来ないわな。
自分は変態なので痛いシーンも楽しんで観れました。
が、クローンがらみのオチがあるのかと思いきや、そこは放ったらかしなのね。
そのままリゾート地に居座れるなら生きてるのバレるんだから、だったら金だけで釈放でいいじゃん。
富裕層が行き着いた恐怖の遊び
ブランドン・クローネンバーグの長編3作目は架空のリゾート地を舞台に売れない作家が倒錯した世界に巻き込まれていく、SFサスペンススリラー。
妻と共に孤島の高級リゾートにバカンスで訪れている作家のジェームズ(アレクサンダー・スカルスガルド)は偶然知り合ったファンだというガビ(ミア・ゴス)に誘われて、観光客には禁止されているリゾートの敷地外のビーチに誘われる。
その帰り道、車を運転していたジェームズは現地の人を轢き殺してしまう。
この国では殺人は即死刑という法律なのだが、観光客は大金を払えばクローンを作成し、クローンに死刑を身代わりしてもらえるという制度だった。
ジェームズは妻と一緒に自分のクローンの死刑を見学する・・
ガビは作家の売れないコンプレックスに付け込み、クローン処刑を経験する富裕層仲間に引き込み、ドラッグや愛欲の世界に溺れさせる。
荒唐無稽な悪趣味な設定で、クローン処刑の設定をまあSFだから、と容認しない人にとっては最悪の映画だ。
むしろ、ホラーはコメディと紙一重なので笑えるくらいの寛容さが必要かも。
低予算のB級感が満載で、クローンは不思議な機械で瞬時に生成され、科学的な根拠はない。(そこは主題ではないので受け流さないといけない)
クローン生成やドラッグの錯乱状態のシーンはVFXというよりも照明や映像表現で工夫しており、ヴィジュアルアートの表現で、前作「ポゼッサー」から採用し監督が気に入っている表現だという。
大金を持て余し、なんでも金で解決できると思う富裕層の堕落を風刺しているのだろう。
しかし、この作品の見どころは今やホラーアイコンともいえるミア・ゴスのタガが外れたキレキレの演技に他ならない。
ミア・ゴスが画面に映るだけで、ああ、もう滅茶苦茶にされるんだろうな、と思わせる存在感だ。
低予算とはいえ、クローン生成のこじつけなどをすっ飛ばすところなどは、作品の深みがなく、B級スリラー映画に感じてしまう要因。
リアリティを追求することでB級感を払拭すれば偉大な父に追いつける可能性はある。
才能はある監督である。
次回作も楽しみ。
けっこうよかった
売れない小説家が車の前を歩かされて、自作小説をクソみそに書かれた書評を朗読される場面がつらい。あの女、色っぽいけど本当に意地が悪くて最悪だ。やたらと強さを見せろとか勝手なことを言う。うるせえバカって言って刺し殺してやれ。
変な連中とかかわるとろくなことがない。危険な場所と危険な時間からは距離を置くべきだと常々考えているが、危険な人物からも距離を置くべきだと肝に銘じたい。
借りた車で人を撥ねるなんてリアルすぎる悪夢、もし任意保険が運転する人だれでもなのでなかったら最悪だ。それにひき逃げなんて絶対ダメだし、救護措置を全力でやるべきだ。
おじさんたちが羽目を外しているのはちょっと見ていられない。変な麻薬でトリップする場面は映像がすごくて眠くなる。
クローンに罪をつぐなってもらうって、なんだそれ? 自分がクローンか本体かで葛藤するのかと思ったらそうでもない。あんまりいいアイデアではない。遺灰をもって帰れと言われるし意味が分からない。けっこうな荷物だし海にまけばいい。
全体的にけっこう面白かった。
倫理を超えるほどの格差
懐かしきエログロスリラー
子供の頃、ホラー映画というと、エログロが主流だった(特にスプラッタやスラッシャー)。
まさにその流れを汲んだ作品。現在のコンプライアンスなんて何のその。
旅行中に交通事故で人を殺してしまった主人公。死刑を宣告されるが、他国の観光客特権として、大金をはたいてクローンを作り、身代わりにする事も出来る。
クローンとは言え、記憶もあれば感情もあり、勿論痛みも感じる。そんな自分自身が殺される所を見なくてはいけないという、何とも胸糞悪い展開。いや、スリラーとして面白い。😁
そうか、監督はあのデビット・クローネンバーグ監督の息子さんか。そう思うと、引き継いでいるとも言えるけど、お父さんはその中に倒錯した深い愛情が見えて、切なさがあったけど、この映画にはそれはなかったなぁ。
#インフィニティプール
インフィニティ・プールの境界が見えて、その手前で身体だけ残せるものがあの島で楽しめる
2024.4.10 字幕 MOVIX京都
2023年のカナダ&クロアチア&ハンガリー合作の映画(118分、R18+)
リゾート地に訪れたスランプ中の作家が奇妙な出来事に巻き込まれる様子を描いたホラー&スリラー映画
監督&脚本はブランドン・クローネンバーグ
原題の『Infinity Pool』とは、「淵がなく海と繋がっているように見えるプール」のこと
物語の舞台は、架空の島「リ・トルカ島」
6年間新作を発表できていない作家のジェームズ(アレクサンダー・スカルスガルド)は、資産家の娘である妻エム(クレオパトラ・コールマン)とともに、そのリゾート地を訪れることになった
作品のヒントを得たいと思っていたものの、ジェームズには何も降りては来なかった
その日、レストランエリアに出向いた夫婦は、常連のガビ(ミア・ゴス)とアルバン(ジャリル・レスペール)の夫婦と出会った
ガビはジェームズの作品を読んでいて、ファンに会えたジェームズは誘いを断ることができずに一緒に食事をすることになった
楽しいひと時を過ごし、ガビは「明日、一緒に島を散策しよう」と誘う
リゾート地のルールとして、敷地外に出てはいけないというものがあったが、ホテルの従業員ドロ・スラッシュ(Zajad Gračić)から車を借りて、人知れぬビーチにいくことになった
未曾有の体験をしたジェームズはほろ酔い気分のままハンドルを握るものの、車のヘッドライトの不調によって前が見えなくなり、そこで現地の農民を轢いてしまう
警察に連絡しようとするものの、この島の治安は最悪で、捕まれば生きて帰れないと脅されてしまう
そして、アルバンに言われるままに被害者を残してホテルへと帰ってしまったのである
物語は、ホテルに戻ったジェームズが地元の警察イラル・スラッシュ(トーマス・クレッチマン)のところに連行されるところから動き出す
イラルは車を貸したドロの甥っ子で、彼が車を貸したことは内密にしてほしいという
そして、言われるがままに、「車を盗んで人を轢き殺した」という犯人に仕立て上げられてしまう
この島では「殺人=死刑」というルールになっていて、ジェームズは被害者家族によって処刑されることになった
だが、イラルは「この国では金を払えば自分のクローンを作り、そのクローンが身代わりとなって処刑してもらうことができる」と言い出す
ジェームズは金を出し、奇妙なプールに入って、自分のクローンを作り出し、そして、被害者の長男が刑を執行する場面を見ることになったのである
映画は、この国のルールを知った富裕層が好き勝手しては、クローンに刑を代行させる遊びを描き、ジェームズたちは戸惑いながらも、それに巻き込まれていく様子を描いていく
ガビと同じように、このルールを熟知している友人たちも参戦し、ホテルのオーナーGergely Trócsányi)の邸宅からメダルを強奪したり、イラルの家に侵入して拉致し、罰を与えたりしていく
そして、その度にクローンが罰を代行し、ついにはジェームズ自身が自分のクローンに刑を執行するという悪ふざけまで始まってしまうのであった
映画は、かなり悪趣味な内容になっていて、安全地帯にいる人々がハメを外す様子を描いていく
それでも、この奈落には適性があって、平常時にいかに普通に戻れるか、というものがあった
エムは早々に脱落して帰国し、ジェームズはガビたちに巻き込まれ続けるのだが、彼は帰国途上でそれを取りやめて島に残ってしまう
それは、日常に戻って、平常でいられるかがわからなかったからだろう
帰りのバスでは普通に戻っている6人を見て、ジェームズだけはいまだに夢の中にいて茫然自失の状態だったので、その懸念が彼を迷わせ、帰国するタイミングを失ったように思えた
いずれにせよ、かなり悪趣味な映画で、エログロ満載の内容になっている
その世界にもどっぷりと浸かれず、日常に戻っても不毛なのはわかっているし、おそらくは結婚生活も終わりを告げる
それゆえに、どこにも行けなくなったジェームズが途方に暮れるという感じになっていた
彼には、インフィニティ・プールの境界が見えない人物で、その行き来というものが器用にはできない
それゆえに、間違って海に落ちたまま、戻れなくなっているように見える
彼にとって、それが幸せなことなのかはわからないが、元の世界に戻る地獄の方が彼には見えてしまっているので、あの選択になるのはやむを得ないのかなと思った
売れない作家のネタ探しが…
駅の入り口
音響が最も印象的でした
予想していた通り、エロくてグロくて、謎に満ちた作品でした。画質はあまり満足がいくものではありませんでしたが、オシャレで凝った絵づくりのための質だったかなと・・・それをカバーするかのように音響は結構なもので、音が作品へと誘うような印象でした。内容・展開、ロケーションや装飾物等々、独特の演出や複雑な構成ではありましたが、全体のストーリーはしっかりと把握できた気がします。まぁ細かな疑問は満載なんですけどねー。結局どうなの?っていうふうに思っちゃいましたし・・・。
なかなか興味深くて、カルト的な雰囲気も感じましたが、いくら音が良くてオシャレな作品だといえ、ハマりづらいじゃないかなー、などと思った次第です。
全81件中、41~60件目を表示