インフィニティ・プールのレビュー・感想・評価
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無限に沈み続ける悪夢の沼
普通名詞のインフィニティ・プールは、高級ホテルの屋上などにある外縁がないように見える設計のプールのこと。ブランドン・クローネンバーグ監督は、ドミニカ共和国のインクルーシブリゾート(施設内での飲食や娯楽のすべてが料金に含まれている高級リゾート)で休暇を過ごした体験に、以前に書いていた身代わりのクローンが処刑される短編小説を組み合わせ、本作の脚本を書いたという。
父親のデビッド・クローネンバーグ監督から受け継いだボディホラー要素はこの長編第3作でも健在で、直接的な暴力がもたらす人体破壊のほか、ドラッグの影響下における幻想的な乱交シーンでのデフォルメされた性器の描写、奇形を思わせるグロテスクな伝統的マスクなどにも表れている。
アレクサンダー・スカルスガルドが演じる主人公ジェームズがかつて貧乏作家で出版社社長の娘と結婚して逆玉の輿に乗ったという設定もうまい。妻とその親のおかげでリッチな余暇を過ごしているという引け目があるからこそ、金持ちたちの悪い遊びにずるずると引きずりこまれていく不安とおそれが幅広い観客層に共有されるのだろう。
ミア・ゴスのファムファタールっぷりも見事だ。彼女が主演する「X エックス」「Pearl パール」に続く米7月公開予定の第3作の日本公開(邦題の法則性に従えば「MaXXXine マキシーン」になりそう)も今から待ち遠しい。
暇な金持ちってろくなことしないな。
「マザー!」を観た後のような嫌な後味
これは…なかなかマニアックな作品。
冒頭の朝ごはんのシーンで店員がつけているお面の気味の悪さから、もうこの映画のヤバさをプンプン匂わせているのになんだか目が離せない。
しかも小説のファンだとか言って近寄ってくる怪しい夫婦とか、ホラーとかミステリーでは典型的な悪人パターン!笑
結局、厄介なことに巻き込まれるけれどその厄介なことが“自分のクローンを作り処刑させる」という、訳のわからない話でいよいよヤバさ爆発。
それからどうなるかと思ったら、自分のクローンは一体だけじゃなく、迎え入れてくれた仲間たちが自分のクローンをゲームのようにいたぶり、殺していく。
逃げようとしても追ってくるし、自分の意識もハッキリとせず、もう訳わからない状況。
結局、あの悪夢のような日々は終わって皆んな何事もなかったかのように帰路に着くけれど…結局、主人公だけはあの世界から抜け切れなかったのか誰もいないホテルに戻り…魂が抜けたように雨に打たれてそのまま終わり、、
めちゃくちゃ後味悪いし、なんか「マザー!」を観た後のようなもうすごくモヤモヤするし、関わってくる人間みんなを嫌いになりそうなあの妙な感覚になった。
でもこういう作品ってなぜか観たくなっちゃう。
余談ですが、主人公を演じていたアレキサンダー・スカルスガルド、めちゃくちゃジョエル・キナマンに似てる‼︎って思ったら、出身地が一緒でした。
このお二人は泣き顔とか困った顔の表情がとても良いので、スウェーデンの役者さんはこういう演技はハマるのかな、と思いました!
ピントの鬼
途中までよかったのに
リゾートで訪れた島で誤って人を殺してしまい、死罪を言い渡されるが、金さえ出せばクローンを作ってそれを代わりに死罪にできる。
これを知った一部の金持ち達はゲーム感覚で島でやりたい放題するー。
ここまではよかった!
え、ほんまにこの人本人?クローン?みたいな感じも。
ただここから謎のエロス+グロ登場。
ただエロいならいいけど、普通にキモい🤮
そんで一夏を楽しんだ金持ち達は現実へと帰ってく。
ただ主人公は何故かこの島に1人残っておしまい。
んー、スッキリない💦
ただ、ミアゴスの演技は最高!
ほんまホラー向き!
ここまで観せてくれるの!?
ミア・ゴス!
だんだんつまらなくなってきた
「アンチヴァイラル」が最高に面白く、流石は息子さんだと思っていましたが、「ポゼッサー」で???となってきて、今回はイマイチ感が増してしまいました。
わたしが悪いんですがストーリーもよくわからなくて、昔の洋ピンみたいなエロシーンがやたらと長くて、少々退屈しました。
グロの方は中々パンチが効いてましたが、結局は殴ったり刺したりで血がドバドバしたり、肉体が崩れたり、それだけと言えばそれ以上はありませんでした。
お父さんの「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」も賛否あったようですが、わたしは好きです。イマジネーションが洗練されているというか、オシャレな世界で、スリリングな盛り上げがあったと思います。「インフィニティプール」は、着想はいいと思うんですが、なんというか田舎臭い展開になってしまったと思い残念でした。
この親子の食卓って・・
罪を犯して死刑の判決を受けたとしても、お金を払って自分のクローンを作ればそれを身代わりに執行させる事が出来るリゾート島のお話です。そのクローンは外見は勿論、意識も記憶も当人と全く等しく複製されているというのがミソです。ギトギト・ネチョネチョの気持ち悪い映画を作らせたら超一流のデビッド・クローネンバーグの息子ブランドン・クローネンバーグの作品です。この人もヤッパリエグい映像がお好みの様で、本作もスケベシーンは大した事ないのに、恐らくグロ場面が強烈なのでR18指定です。
富裕層は刑罰さえも金で逃れる事が出来るという社会的アイロニーが込められているのでしょうが、金持ち達は「どうせ死刑判決を受けても、金でクローンを作ればいいんだ」と犯罪を意に介する事がなくなり、自分が死刑になる瞬間に立ち会い歓声を上げるほどのデカダンス。その殺し方がまたキツい。
でも、そうなると「殺されているのは本当にコピーされたクローンなのだろうか。あれこそ本人で自分がクローンなのではないだろうか」という倒錯を掘り下げねばならないと思うのですが、そこはサラッと描かれただけでした。折角の深いテーマが浮き彫りになったのに勿体ない。この監督にとってはギトギト・ネチョネチョしか興味がないのかな。
それにしても、こんな親子が揃って食事をしている時は一体どんな話をしているのでしょう。恐る恐る覗いてみたいです。そのドキュメンタリー映画の方が興味あるなぁ。
鑑賞動機:ミア・ゴス6割、監督3割、暑さにあてられて1割
この2年くらいでのミア・ゴスのえげつない変容を改めて実感する映画。『マローボーン家の掟』がすでに懐かしい。
ひねりはあるのかないのか正直どちらでもいいけど。ただ基本設定は、こじつけでもいいからもう少し説得力があるものにして欲しかったかな。中米かカリブ海の大人向けリゾートのイメージだけど、それこそリゾート会社が秘密のアクティビティとして…とか、技術の第一人者がタックスヘイブンとかで移住してきてるとか、ならまだ納得できたけど。
ミアゴス
INSANITY FOOL
あり得ないながら興味深い設定に惹かれて鑑賞。
クローン技術はあの島の人間ならではの発想であり、貴重な収入源のため門外不出とのこと。
無理があるとはいえ、一応説明あるのね。
今まで自作を褒められたことがないであろうジェームスは、ファンを名乗るガビにアッサリ陥落。
それどころか、成されるがままに手コかれる。笑
すぐそこに自分の嫁と相手の旦那がいる中での倫理観や危機意識は理解不能です。
ガビの狙いからも外れたところで勝手に罪を犯してからが、さぁ本番。
司法取引ならぬ経済取引により、自らのクローンが処刑される様を見て、ジェームスの何かが目覚める。
エムに嘘をついてまで島に残り、ガビたちに合流するのだが、仲間あんなに要るかね?
キャラも立っておらず、一人も名前憶えてない…
自らの処刑は楽しめるが自分で手を下すのは耐えられない、という線引きは分かるような分からぬような。
基本的に悪趣味な金持ちの道楽なのだが、その費用が一切明かされないのはちょっとモヤモヤ。
自分は本物か問題も台詞で触れられたのみで、入れ替えがあったとしてもどうとでも取れるつくり。
最後も空港にいたジェームスとビーチにいた彼が同一とも言い切れず、麻薬の幻覚説も併せると何が真実やら。
法に裁かれずとも私刑がくだるオチを期待していたが、そんな真っ当なハズもなく。
だったら“犬”を前に自ら喉を掻き切る方が好み。
クローン作成中やトリップ中の映像は面白いが、長い。
最後のキャストクレジットの出し方や、徐々に背景色の変わるエンドロールは良かった。
ジェームスによる文字通りの“バブみ”は必見。
道徳心の欠片もない金持ちたちの道楽
ブランドン・クローネンバーグ監督の作品は初挑戦です。
今作は、アレクサンダー・スカルスガルド(ジェームズ)とミア・ゴス(ガビ)の出演が
鑑賞したいと思ったきっかけです。
リゾートエリアから主人公ジェームズが出てしまったことから、
彼の転落が加速していく話なのですが、
インパクトがあったのは最初のクローンがつくられるエピソードですね。
クローンを死刑の身代わりになってもらうことを目的にクローンをつくるわけですが、
この国ではどうもそれが当たり前になっていて、警察?の収入源にもなっているという
なんかとんでもない話です。
そして処刑シーンは緊迫感があって見応えあり、非常に痛々しい表現で
クローンの切なさをも感じてしまいました。
その後、ジェームズのクローンを勝手につくって、ジェームズのクローンで遊ぶ鼻持ちならない金持ちたち。
他人の家に押し入りそこの主人に頭から袋をかぶせ、文字通り袋叩きにしたはいいが、実はジェームズのクローンだったり、
ジェームズのクローンを犬に見立てて、ジェームズを襲わせたりと、まあ、とんでもない奴らなわけです。
その中でもミア・ゴスの演技の狂いっぷりは凄まじく、さすがホラー女王とも言える吹っ切れ方の演技でした。
もう圧巻でしたね。ミア・ゴスが一番恐ろしかったです(笑)
これだけでも見応えがある作品ですね。
それからラストのジェームズ。金持ちたちは自分の国に帰国するわけですが、
ジェームズだけは残って、プールサイドで雨に打たれるシーンで映画は終了です。
結局、彼は小説も書けないし(才能がないというのは本人も言っていて、おそらく他人にも言われて初めて自覚したのでしょう)
何も残っておらず、お金持ちの彼女エム(クレオパトラ・コールマン)のすねをかじり倒して生活していたわけですから
エムにも頼らずに生きていこう的な境地の終わり方なのかな?と何となく前向きに捉えました。
あとはやっぱりビジュアルのエッジが効いていて、圧倒されましたね。
気持ち悪い仮面とか、ドラッグ後のエロ・グロ表現とか、クローネンバーグ監督ならではなのでしょう。
これは好き嫌いがはっきりするところだと思います。
映画的深みは感じられませんでしたが、娯楽映画としてはなかなか楽しめる作品でした。
※クローンネタはもっと国家の陰謀とかに繋げられると思うのですが、まあ、そういう監督じゃないんでしょうね(笑)
自分かクローンか
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