「妖怪が蔓延る日本」妖怪の孫 映画人さんの映画レビュー(感想・評価)
妖怪が蔓延る日本
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安倍政治の点検と総括を一本の映画に収めたものは珍しい。タイトルの妖怪の孫は安倍晋三の祖父、岸信介のあだ名でその孫にあたる意味と、人々の間に巣食う不寛容や攻撃性をもたらす妖怪の2つの意味が含まれている。この2つは暗に安倍晋三が亡くなってからも妖怪の如く背中を引きずり、現実政治に投影されていることの不安へと映画は続けて問いかける。
批判的検討が政治を健全なものにする、共通不変の原理に貫かれた作品だが、故安倍氏の不気味な権力の部分と以後の政権の大胆な改革は延長上であるという認識の試みには概ね同意するも、多少の議論の余地がある。それは単純に人が変わっているから重きを置く政策も理念も変わっていることがひとつにある。
しかも、妖怪と表現した正体は倫理の欠如であり、その不気味で生きにくい世の中を安倍政治が生んだという構図と意図が透けてみえる。エゴを通した政治がモラルのない妖怪を生んだとも考えられるが、安倍政治だけで排他的な風潮の説明がつくはずもない。
これだけ問題点を並べてみたが、全体的にこれまでの安倍氏に関わる争点をまとめて一つにした良い作品で
学ぶものがおおいにあるものだった。
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