劇場公開日 2023年4月7日

パリタクシーのレビュー・感想・評価

全205件中、1~20件目を表示

4.0やがて怒りは消え、敬意と信頼がほとばしる

2023年4月29日
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このタクシー運転手は最初から苛立っている。それこそ世の中の全てに腹を立ててるんじゃないかと思えるほど目は釣り上がり、二言目には悪態が飛び出す始末。しかし一人の高齢のマダムとの出会いによって、彼の仏頂面が突き崩されるのだから出会いとは実に尊いものだ。こういう時、生まれも育ちも違う二人が徐々に心を引き寄せあう流れは容易に予想できるが、しかしマダムが打ち明ける「打ち明け話」には、かつて時代の風潮や性差の壁に屈することなく、母として、女性として日々を必死に戦い抜いた自負と誇りがほとばしり、聞く者を強く惹きつけてやまない。パリ市内の端から端まで。それはまるで記憶と場所を辿りゆくタイムマシンのよう。そして彼女の物語を受け留める相手としてこのタクシー運転手ほどふさわしい者はいない。いつしか怒りは消え失せ、心からの敬意の眼差しに変わる。シンプルな構造ながら、一人の男のかくも移りゆく姿にも胸打たれる一作だ。

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牛津厚信

4.0人との繋がりが希薄になりつつある今だからこそ

2023年4月9日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

幸せ

車が交通違反スレスレで街を行き交うパリ。その最たるものは凱旋門の周辺で露わになる譲り合い精神のなさだ。そんなドライバーにとってはきつい街で長年タクシー運転手をしている主人公、シャルルが抱えるストレスがいかほどのものかは想像に難くない。さらに、薄給、無休、免停スレスレという三重苦にあえぐシャルルは、しかし、ある日「終活」に向かうという92歳のマダムを後部座席に乗せたことで、きついなりにももう一度人生と向き合ってみる気になる。偶然がもたらした出会いの物語は意外な方向へとハンドルを切っていくのだ。

最初は面倒だったマダムの"寄り道リクエスト"(←ここが肝心)に応える過程で明らかになる、女性にとっては生きづらい時代の痛々しい記憶が、シャルルの挫けた心を宥め、再生させていくプロセスが実に自然だ。上手い作劇と、演じる2人の俳優がともするとパターンに陥りがちな設定を味わい深いものにしている。主な舞台はタクシーの車内だが、車窓に映るのは人間が積み残してきた苦い歴史の断片たち。このスケール感が最大の魅力だ。

人との繋がりが希薄になりつつある今、是非、見て欲しいメイド・イン・フランスの名編である。

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清藤秀人

4.0これは花の都パリの楽しい物語では無い

2025年9月14日
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難しい

男は金に困っているタクシー運転手
その日の客は上品そうな92歳の女性
思い詰めた表情にブルーのスカーフ
向かう先も分からない、謎の女性。

92年の人生、その過去
恋、家族、戦争、暴力、
女性は人生を語り始め
男は惹きつけられる

小さなパリの旅
女性の吐露は続き
過去を旅する。

数時間前の他人
深まる絆が見える

車内と街の風景の連続だが
話しにどんどん引き込まれ
最後には涙が止まらない。
予想した最後だが止まらない。

ブルーのスカーフ

エンドクレジットの映像
恐らくそれは女性の思い出
一番素敵で大切な出来事
美しいものを最後に流した。

人生はそういうもの
そう感じた。

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星組

5.0良い話

2025年8月15日
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鑑賞方法:DVD/BD

フランス映画をあまり見ない(ベッソン監督くらい)のですが、この映画は父が図書館から借りてきて「オススメだから見てみ?」と言うので見てみたら普通に良かったです
パリの街並み、話の内容・展開、ラストのダンスシーンがステキでした
特にラストの手紙が良い

ちなみにお婆さんから貰った金額は今のレートで言うと約1億8000万でした( ꒪Д꒪)

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天使マキ

5.0心が温かくなる

2025年7月21日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

幸せ

癒される

やさぐれタクシー運転手と少し面倒くさそうな老婆のお客さんとのやりとり。

最初は面倒だと思っていた老婆の話に耳を傾けていたやさぐれ運転手の心が、次第ににこやかに、そして目的地での別れと帰路につきながら涙目になっていく所は見ているこっちも寂しさと切なさで胸がいっぱいになった。

92年という歳月を時代の理不尽さや色んな不幸に見舞われながらも必死に生きていた彼女の最後に、この運転手と出会えたのは奇跡。
そして、崖っぷちだったこのタクシー運転手もこの老婆と出会えたのは奇跡だったと思う。

人生最後の日、たとえ身内でなくともこんな風に想い、自分のために泣いてくれる人と出会いたいと思った。

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とろり

4.5女を大事にする男

2025年7月6日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

怖い

ドキドキ

 原題は「Une belle course(美しい、道のり)」。
 本編91分。

 のんびりパリ旅行氣分のロードムービーと思いきや、回想シーンが意外に怖くて刺激的です。
 怒りっぽいタクシードライバーのシャルル(ダニー・ブーン)と老婆のマドレーヌ(リーヌ・ルノー)が、お互いを氣に入ります。

 シャルルは、交通ルールを守るタイプではありませんが、妻一筋です。その妻との馴れ初めの時のカメラと写真のエピソードは、マドレーヌの人生の中でもベストとも言える大事なもの(息子)と、直接ではありませんが重なる部分があります。

 息子を愛し、守ったように、家族を愛するシャルルを守ります。マドレーヌの情熱や迫力も、シャルルの愛情も本物でした。エンディングロール中、感動に浸らせていただきました。

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Don-chan

3.5ロードムービー

2025年6月15日
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鑑賞方法:VOD

おばあさんの過去が明らかになるにつれ美しかったパリの景色にも暗雲が…恋愛からサスペンスへ法廷から母性までなかなか濃厚だった

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ゆうき

4.0タクシー・ロードムービーというジャンルがあるのかは知らないけれどタ...

2025年6月3日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

幸せ

タクシー・ロードムービーというジャンルがあるのかは知らないけれどタクシーならではのパリの中を回る狭い範囲でのロードムービー。

最初はどちらも怪しいけれど92才のおばあさんマドレーヌがいろいろしゃべってくる。
お金に困っているドライバーは最初こそ、上の空で聞いていたけれど時間が経つにつれ二人が素敵な時間を過ごしていく。
ただ、中身は非常に重い。
見ていてつらい場面も正直あった。
50年代という背景がフランスでもえげつなかったのがわかった。
男尊女卑で離婚なんかできなかった時代やったんや。
ただ、タクシーの中での会話は穏やかで時折振り返るマドレーヌの過去がシャルルをいらだちから解き放ち優しい人にした。

信号無視で引っかかったシーンやトイレに駆け込んだシーン、ディナーのシーンとだんだん打ち解けていく様子が微笑ましかった。
ラストは予想できなく無かったけれどあまりの大金にはびっくり。
シャルル、おかげで兄貴を頼らなくって良かったね。

改めて思うのは女性や子供を殴る奴は最低や。今ならあいつこそ25年刑務所行きや。
相手を間違うとどうしようも無かった時代の話でした。

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♪エルトン シン

4.0101万ユーロ...😳

2025年5月10日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

幸せ

映画で泣けたのは久しぶり。
なんて素敵なマダムなの...
パリの街並み...素敵すぎるんですけど...
永遠とタクシー🚕の中だけど、マダムの一生の話と回想シーンと街並みと音楽で、十二分に見応えがあった。
マダム本当に素敵。あんな92歳いないよ😳
ほんでラストのなんちゅう金額よ、101マンユーロにピンとこなくてググったらおったまげた😳
マダムの家は凄い価値があったんだね🥺

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HY

3.53.5

2025年5月1日
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鑑賞方法:VOD

タクシーで走る古都のパリが美しい。
そこからは見えない過去と現在の実情の一端を見ることが出来る。
現在は高貴そうなおばあさんの過去からの変遷はなんだったのだろうか。

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トシ

4.0場面展開が楽しい

2025年3月22日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

楽しい

設定は至ってシンプル。
タクシーの運転手と客の高齢マダムが
施設に行くまでの物語。

しかし、このマダムには壮絶な人生を
過ごして来られたことが少しずつ分かってくる。

現実世界に戻され、過去の続きが始まる。
過去の話が気になり、どんどんにめり込んでいく。
この辺の展開がとても上手く
気づいたらエンディング。
知らぬ間に涙が出てくる。

制作費を殆どかけず、登場人物も少しだけ
しかし話は良くできている。
こういうのを良作というんだろうなー。

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竜

4.04.5よりの4

2025年3月9日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

笑える

幸せ

高貴なおばあちゃんと思ったら結構ムゴイことするのね
あそこ焼かれると思ったのかな
何であんなにお金持ってたのかな?
オチは読めるけど、それまでの物語が笑いあり涙ありで飽きずに見れた、1.6億すげー
タクシーからの景色も所々名所を映してて良い
ブリシュルマルヌパリから車で30分だが…そこから施設までも30分くらい

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くっきー

3.5「最強のふたり」ではなかった

2025年2月23日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

フランス映画というコトで「最強のふたり」のような、笑って泣けるハートフルな作品だと思ってたら、ちょっと違いました(^_^;)
それほど笑えないし、それほど感動できない。ラストはちょっとウルッときたけど、終わらせ方は個人的にはあんまし…
まぁ、ある意味フランス映画っぽいと言えば、フランス映画っぽいかなぁ~

さて、山田洋次監督がリメイクすると発表したけど、まるっきり同じ内容は無理だろうから、どう変えてくるか楽しみですわ。

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n.yamada

3.5知らない異国の道をドライブしてるような気になる素敵な映像。 これと...

2025年2月5日
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鑑賞方法:VOD

知らない異国の道をドライブしてるような気になる素敵な映像。

これといったストーリーは無く乗客の婆さんの昔話を聞くだけだがこれがなかなか面白い。

色々なことに絶望してしまっている現代の日本人のような主人公が徐々に心開いていく様が心地よく描かれている。

エンディングはなんとも切ないが温かい気持ちになれる作品。

音楽がすごくよかった。

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さしみしょうゆ

4.5パリの街並みは美しい

2025年2月5日
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鑑賞方法:VOD

パリの街並みはやはり美しい。昔、仕事でちょっとだけ行ったことがあるが、生きててるうちにヨーロッパに行けるならパリだけはもう一度行きたくなった。
上映時、映画館では見逃していて、やっとアマプラで観れました。
ほっこりしたコメディ映画を想像していたが、マドレーヌの波瀾万丈の人生の出来事にふれるうちに、最初は迷惑顔だったシャルルがだんだんマドレーヌに寄り添っていったように、観ている自分もシャルルと同じ気持ちになって行った。
第二次世界大戦中、ナチスに父を殺され、援軍であるアメリカ兵との恋と別れと出産、DV男との生活と意を決しての逆襲の反撃、その罪を問われての不平等な投獄、出所後の息子の困惑と戦場カメラマンとしてのベトナム行き、そして息子の死亡。辛い過去がこれだけあってもマドレーヌは92歳まで生き、女性解放の活動家として人生を駆け抜けた。シャルルは年齢でいえば40代。まだマドレーヌの半分しか生きていない。金なし、休みなし、免停寸前。ちっちゃな悩みであると猛省したことでしょう。マドレーヌから奇跡のようなプレゼントがラストシーンにシャルル届いたが、それはそれとして自分の生活は自分できっちり稼ぎ、家族と穏やかな日々を過ごしてほしい。
人生は捨てたもんじゃない。パリの街並みは人々を癒してくれる。

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アベちゃん

4.0人との触れ合いの良さ

2025年2月1日
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だんだん柔らかくなっていく運転手さんの表情がすごくいい
彼の硬さを和らげられたのは、92年の人生の重み
人と人が出会って人生が交差することの奇跡が素晴らしいね
奇をてらった展開ではないけど、見たかった景色が見られる素敵な映画でした

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毛糸

5.0何があるか分からない

2025年1月30日
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どんなに優しそうなおばあちゃんでも人生がとても濃いのかもしれない、何があるか分からない人生だからこそ一期一会しなければ!と思わせてくれる作品でした。パリの美しさが心に染みたーっ😭

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いちご

4.5人生はあっという間の一期一会

2025年1月12日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

単純

幸せ

アマプラにて、何の情報もないまま何気なく気軽な気持ちで見始める。そういえば、自分で今までに住んだ街などをドライブしながらまわってみたいと思っていた。そう、ちょっとした思い出なんかを思い出しながら。

そんなことをふと考えながら、映画というよりは綺麗なパリの街並みを眺めていたら・・・いや、マドレーヌ、めっちゃ激動の人生やん。シャルル、どんどん人柄変わっていくやん。なに、この1日。座席の位置も変わっていたディナー後。そのときの2人の表情で涙。最後の手紙に号泣。あり得ない奇跡。
お婆さんを施設に送っていくだけの映画なんだけど、なんか凄いものを見させてもらった。

改めて、人生はあっという間なんだということに気づかされながら、大切にしたい一期一会。

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tigerdrver

5.0理不尽な自信の境遇を受け入れながら生きている人々の心に沁みる

2025年1月8日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

楽しい

幸せ

「鑑賞後に流れる涙の理由を理解するのに苦慮」
小見出しが率直な筆者の感想だ。直ぐにレビューを書けた人に嫉妬してしまいそうだ。筆者は書き始めるのに二週間要した。何故か止まらない鑑賞後の涙の理由。決して自分に起こることはないだろうと想いながらも幸せのお裾分けをいただいた気持ちになれたからだろう。本当に幸せな時って笑顔じゃなくて涙になるんだなぁ。

「浮世に生きる人々の境遇を運転手として表現」
映画のイントロにあるとおり「金なし、休みなし、仕事はギリギリ状態(免停目前)」という境遇のなかで日々を乗り切る主人公に自分の今の姿見を重ねるのは筆者だけではないだろう。不満の責任の矛先がなく、そんな心境をひた隠しにして平気な素振りを見せながら生きるタクシー運転手の姿は、はじめは受け入れがたいものがある。そんなタクシー運転手に舞い降りたのは終活に向かう壮絶な人生を生き抜いた老婆。終の住処に寄り道しながら向かう姿は、死期を悟りつつ目に浮かぶ走馬灯を表現するかのように神々しい。

「単に『壮絶』と表現するだけでは言葉足らずな老婆の人生」
ドン底にいる気持ちの運転手の心を解きほぐしていく老婆の身の上話。最愛の宝を守ろうとしたのにその宝物までも奪われてしまう。その後は、タクシーでは語らなかったが、同じ境遇の女性たちの権利を守るために力強く生き抜いた。下衆な表現をすれば、自分より不幸な人生を生き抜いた老婆に励まされた、という言い方もできるかもしれない。浮世に生きる誰もが本来持っている優しい気持ちが、荒波の中で崩壊寸前だった。それが老婆との交流を通して少しずつ解きほぐされていくのが、表情や行動で表現されているのが観ていて心地良かった。

「飽くまで最後のプレゼントはおまけ」
ほとんど一日メーターを動かし続けて生活に困っていた運転手。その報酬さえ要らないと思えるほど、老婆との交流から得たものは計り知れない。家族で生き抜いていく気持ちを取り戻したことが最大の報酬だったのだろう。この映画を鑑賞した後の気分が2024年に話題になった役所広司氏主演の「パーフェクト・デイズ」に通じるものを感じたのは筆者だけだろうか。

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ブログ「地政学への知性」

4.0出会い

2025年1月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

幸せ

評価の高い作品だったので、前情報なしに鑑賞しましたが、予告からは想定できないような内容でした。
なんせ、おばあさんの人生がものすごくハードだったので、その点でびっくりしました。
この作品を見て思ったのは、出会いっては大事にしないといけないなと思いました。
自分の人生に嘆いたり、怒ったりしても仕方がないし、前向きに真摯に生きていこうと思います。

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たけお
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