劇場公開日 2023年4月7日

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「フランス映画はだいたい唐突だ」パリタクシー えすけんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0フランス映画はだいたい唐突だ

2023年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

パリのタクシー運転手のシャルルは、人生最大の危機を迎えていた。金なし、休みなし、免停寸前、このままでは最愛の家族にも会わせる顔がない。そんな彼のもとに偶然、あるマダムをパリの反対側まで送るという依頼が舞い込む。92歳のマダムの名はマドレーヌ。終活に向かう彼女はシャルルにお願いをする、「ねぇ、寄り道してくれない?」。人生を過ごしたパリの街には秘密がいっぱい。寄り道をする度、並外れたマドレーヌの過去が明かされていく。そして単純だったはずのドライブは、いつしか2人の人生を大きく動かす驚愕の旅へと変貌していく!(公式サイトより)。

フランス映画はだいたい唐突だ。太陽が眩しくて殺人を犯す文学が愛され続けているお国柄なのだから、さもありなんだが、本作も唐突に、色んなエピソードが盛り込まれてくるから油断は禁物だ。

構成としては、大好きな映画「ラスト・ムービースター」に近いが、本作は、主人公が仕事で成してきたことではなく、個人として生きてきた軌跡を振り返り、仕事についてはほとんど語られない。ふたつの作品を見比べると、どことなく男女の視点や記憶の違いのようにも見て取れるのは、勘ぐりすぎだろうか。

ストーリー展開と同じく、パリの美しい街並みも楽しい。公式サイトには作中で巡った名所のMAPが用意されている。また、主人公のマドレーヌを演じたリーヌ・ルノーは歌手とのこと。Spotifyに作品がいくつか配信されているので、鑑賞後もじんわり楽しめる。

えすけん