パスト ライブス 再会のレビュー・感想・評価
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突き放す距離で
Past Lives
両側からの片思いを長く続けた。否定をしたいが、時間は経ち過ぎていた。その期間にも人生は続いていて、再会を一口に言葉に表すことは難しい。
イニョン(縁)を自分に良い方に捉えて、それ一つで挑むのは、ニューヨークで活躍する作家相手では無謀な気もしたが、少し間延びした問答でも意外と心を動かせている、と印象を受けた。思えばやり取りから文化が違う、妻の昔を良く知る知人に、夫が焦燥感を抱くのは自然だ。
テーマに比べて、いい意味で突き放した撮り方をしていると感じた。再会の絵とかつて遊んだ彫刻の一瞬の重ね合わせ、12年前ですらまだ子供だった。今は、前世の何回目だろうか。
観終わると、初恋の人やかつて別れた恋人に会いたくなる
ネット時代のお気軽ラブロマごっこ
正直、大人のラブストーリーだの共感できるだの言われてもまったくおもろないものはおもろない。小学校時代に好感をもってた女の子を、大学ぐらいになってネットで検索してやっと連絡をとりスカイプで交流していい雰囲気になるけど、お互い外国に会いにいくまでの気合なく、そうこうしているうちに女が距離を取り出す。
それで終わりの話を、男がさらにすでに既婚者となった女にあいにNYまでいくってもう半分ストーカーですね。それで話が進めばともかく、どちらも煮えきらないだけの男女が「前世の縁がなかったのよ」の結論で終わるだけのつまらん話。
あと現代の韓国の英語教育からみて、主人公の韓国人の男があそこまで英語が喋れないとは思い難いんだが。
海外で生活し、他国籍のひとと結婚し生活するアジア系のひとびとの生活実感はとてもよく表現されていたし、カメラワークや構図など映画技法的には優秀だな作品だと思うがこのプロットは呑み込めませんでした。ネット時代のお手軽再会ラブロマごっこものですね。やっぱラブロマものは苦手だ。
映像と間と秒速
まず特筆すべきは写真家ソウルライターを想起させもする美しい映像。ところどころ長回しで間を取る演出も持たせられる。筋はなんともやるせない気持ちにさせるものだが、大人が見るのに適した良い作品だと思う。
子供の頃好きだった相手をずっと引きずる男といい思い出ではあるが男ほど引きずってはいない女。新海誠の「秒速5センチメートル」を思い出したりする。二人の感情には東洋と西洋の違いや、別れた後の人生の充実度なども影響している。またそれでも女は別れたあとに、夫に抱きついて嗚咽も漏らす。一面では語れない。
ちなみに主役のグレタ・リーはAppleTV+の傑作ドラマ「モーニングショー」で顔なじみだったことも鑑賞の動機なのであった。
「視線」を見つめていた映画。 最初のシーンは、NYのバーにいる物語...
「視線」を見つめていた映画。
最初のシーンは、NYのバーにいる物語の主要人物3人を、たまたま居合わせた他人の視点で3人の関係性をあれこれ予想する場面から始まり、その視点は女の視線と交わった瞬間に切り替わる。
交わりそうで交わらない視線、そして一度交わると離れられない視線。
シーンとシーンの間、時間や距離を、緩やかに繋いでいくような音楽がかなり好み。
後半、男がやっとNYに来た場面のシークエンスは、ギターの音色が旅情を誘う。
男は終始女々しくて、見た目もダサいけど、くしゃっとした笑顔やその実直さが憎めない。
2人とも結論は最初から出ているのに、感情は揺れ動き、しかもラベリングできない。
ラスト2分間の長尺、たまらない緊張感。
廻る回転木馬。蛇足に見えた邦題も、込められた意味が分かると、悪くないかなと思えた。
アメリカを選んだ女
もしも経験値のある映画監督だったら、ラストあんな不粋なエンディングには持ち込まなかったことでしょう。ウディ・アレンの『マンハッタン』のように雨に濡れるNYを舞台に、24年ぶりに再会した幼なじみの韓国人男女を、リチャード・リンクレーターの『ビフォア・シリーズ』のような演出で描いてみせた本作は、アングロ・サクソン系の評論家筋にはなぜかすこぶる評判がよろしいのです。
確かに現在の韓国映画界は才能ある女流作家がてんこもり状態なのですが、アメリカ配信ドラマのシナリオに多少携わった程度のキャリアしかない本作監督セリーヌ・ソンを、それと同列に考えるのは無理があると思うのです。過去の恋愛映画から部分的にいいとこ取りをしただけで、本作にはオリジナルの演出やシナリオの捻りをまったく感じなかったからなのです
ではなぜ、他の映画祭ではほとんど無視された本作がアカデミー作品賞にノミネートされるまでの評価を受けたのでしょうか。本作が公開された2023年度は、コロナ開けをまって巨匠系がこぞって賞狙いの作品を出してきたため、アジア系の著名監督がバッティングをおそれ出品を控えたといいます。多様性を何よりも重んじるアカデミー賞にあっては、対面的にバランスをとるために仕方なく、ほとんど経験値のないアジア系女流作家のデビュー作品を無理やりノミネートに押し込まざるを得なかったのではないでしょうか。
そしてもう一つ、本作にはあざといプロパガンダが隠されているのです。本作は基本的に、韓国系アメリカ人のノラが、ユダヤ系アメリカ男アーサーと韓国人男ヘソンの間で揺れ動くメロドラマなのですが、そのヘソンのファッションのダサさ、ならびに、ヘソンがアメリカよりも中国にビジネスチャンスを見出だしていることにまずは注目したいのです。つまりこのノラに未練タラタラの優柔不断男ヘソンを北朝鮮または中国のメタファーと考えると、本作はまったく別の見方をすることが可能なのです。
つまり、過去(Past Lives)に8000のイニョンによって結ばれた北朝鮮または中国(ヘソン)ではなく、現世のパートナーであるアメリカ(アーサー)との友好関係を選んだ韓国(ノラ)のお話に置き換えることができるのです。映画としてはラスト、長い間見つめ合った2人が動いた瞬間にカットする、余韻を遺すエンディングがベストだったと思うのですが、政治的にはっきりと韓国=ノラがアメリカ=アーサーを選択したことをみせる必要があったのでしょう。
見終わった後、いろいろ考えさせられる。
女神の自由の裏側
過去は生きている。
撮り手が観客を信頼している。それが嬉しい。
後戻りできないことを確認するが如き
これは結構好きだった。
韓国、ソウル、12歳の少女ノラと少年ヘソン、互いに恋心を抱く幼なじみの二人。ノラが家族と海外へ移住し離れ離れになった。
ずっと一緒にいたんだろうなぁ。
二人でどれだけの時間を過ごしたことだろう。
12年後の24歳、ニューヨークとソウル、偶然SNSで再会したが「距離」を克服する術はなかった。連絡は途絶えた。
ノラは間もなく結婚し、ヘソンにも彼女ができたようだが、、、
更に12年後の36歳、ニューヨークで24年ぶりの再会。愛おしくもクールな再会だった。決して後戻りすることができないことを確認するが如き。
観る自分は何故か涙が流れた。
清々しい涙だった気がするが果たして?
ノラの旦那さんがナイスガイ過ぎて。そう、「ファースト・カウ」、「ショーイング・アップ」に続きジョン・マガロが美味しいところを持ってった感じ。
いろんな種類のイニョンがあるよね
抑えのきいた渋い大人な映画だった。イニョン(縁)という言葉の響きが可愛い。ラブストーリーと言われてるけど24年後の再会、すごく嬉しいけど、なんか…話すことない…みたいな空気を二人の間に感じたから今の夫アーサーに「大丈夫だよ。君が運命の人よ」と言ってあげたくなった!
ビバ!アーサー!
この物語、僕には刺さった
映画を観る前に眺めたレビューの評価は今一つでどうかなと思いながら映画館に足を運びました。で、僕には…見事に刺さりました。
僕もそれなりに長く生きているので、自分の体験やら昔感じた心の動きやらを思い出しながら映画を観ることが多いのですが、実際この映画では過去のいろいろなことが思い出されました。過去に関わりがあった女性に会ってみたい、また相手の気持ち(自分の気持ちも)を確かめてみたい衝動(実際に行動に移したかは別として)やら、妻の元彼(夫)や初恋の人の存在が気になったり(これはアーサーの心の動き)など。また関わりのあった女性と長い時を経て再会したときの感覚、感情の高まりとか。
優等生だったはずのヘソンのあの拙い英語(韓国の人って日本人より英語に強いんじゃないの?)はヘソンという男の今を表現している。野心ある強い女のノラからすれば物足りなさを感じたんじゃないかな。アーサーはノラを深く理解しようと韓国語を勉強しているのとは対照的。結局ヘソンは韓国という枠から出ることのない平凡な男。ニューヨークで自分の人生を切り拓こうとしているノラには合わない。
最後にヘソンがタクシーに乗り込み別れるシーンで12才の二人の階段での別れの場面がフラッシュバックする(映像)、強い女を演じていたノラが泣きながらアーサーの胸に飛び込む。二人の永遠の別れ(少なくとも結ばれることはない)を暗示していて胸が締め付けられた。
✡️最後のノラの涙をどう考えるのかはこの映画の理解の仕方に関わるんじゃないかな。
久しぶりに出逢えた、大人っぽいビターなラブストーリー
ダイナミックで美しいニューヨークの街並み、そして雑多でエネルギッシュな韓国の街並みをバックに綴られる、切なくてほろ苦くて、すごくロマンティックな作品
セリーヌ・ソン監督、これが監督・脚本デビュー作でしかもオスカーの作品賞と脚本賞ノミネートとは、またとんでもない才能が生まれました、素晴らしかったです
ノラを演じたグレタ・リーさん、全身から出る雰囲気が何とも魅力的、特に表情が良くてすごく素敵でした
そんなノラが偶然facebookで幼なじみのヘソンと12年ぶりに再会するも、ニューヨークとソウルの距離は遠く直接会うことができず、想いがつのり過ぎて辛すぎて、本音とは裏腹に引き裂かれる想いで自ら関係を断ち切ってしまう、たぶん自分も同じタイプなのですごく共感できて、観ていて一番 辛かった展開です
ノラのアメリカ人の夫アーサーの存在がまた切なすぎる、演じるジョン・マガロさんがめちゃくちゃ味があって良かったです
妻の幼なじみへの想いを感じ怯えるも彼女の全てを受け止めて優しく接しようとするアーサーが観ていてとても辛かった
韓国語で寝言を言うノラに“自分には君の中で永遠に理解できない部分があるんだと不安になる”と伝えるシーンは涙ものでした
ノラとアーサー、そしてヘソンの3人がバーカウンターで話すくだりは何だか緊張感たっぷりで、観ていてものすごく疲れました・・・
本作、ノラとヘソンの関係に目が行きそうな所ですが、私はどちらかと言うとノラとアーサーの関係、特にアーサーの心持ちの方に感情移入してしまいました、やけに辛かったです
ラスト、夜のニューヨークの住宅街、ノラがヘソンをウーバーに送って行くロングショットがとても切なくて印象的
さらにノラが1人で同じ道を帰って行くロングショットがもっと切なくて、最後に家の前で待つアーサーが泣いてしまったノラを抱き締めるまでの一連の流れが自分の中で久々に忘れられない名シーンとして刻まれました
観てよかったなと思えた秀作でした
苦く切ない
グリーンカードのために結婚した女性と大人になりきれない男性の物語
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