Disco Boyのレビュー・感想・評価
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失ったものの方が大きい。
30分ばかり見たが。筋は明解で国が移り変わって行ってもわかりやすい。例えば、ベラルー
シのリオズナ出身の主人公、アレックシー(アレックス)がスポーツの観戦チームと共に、ポーランド国境に入る。EUとの国境でもある。ここで、国境警備員が三日のポーランド滞在ビザを出すよと。主人公アレックシーは友達のミカエルとポーランドからフランスへ逃避。しかし、ミカエルは川を越えられなく、主人公は一人で、フランスに向かう。フランスでは軍の特別部隊(French Foreign Legion)に入る訓練を受ける。不法侵入者を軍で使って、ビザを与えたり、永住権を与えたりするのはよくある。ブートキャンプに耐え、5年滞在のビザと氏名(アレックス・デュポント)を変え、パスポートも取得できる。ざっと、こんな感じで、これからどこへと思いきや、部隊はNiger Deltaニジェール・デルタにと。
しかしここまででは監督の主旨が見えてこなかった。まだ全部見ていない(6/12/25)が、フィルムのインタビューする米国女性がボートで現れるあたりから、私の疑問が少し解けてきた。そして、このニジェール・デルタというニジェールの南の三角州の地域がどう、ニジェールの住民の生活を脅かしてきたかが、問題点となるようだと思った。ジョモ(Morr Ndiaye)が、演説をビデオどりする。「もうニジェールデルタを間抜けな政府や、外国資本の横暴に任せておけない。おかげで、資源は取られ、デルタは荒涼化して、魚はいないし、水質汚染だらけだ。我々の目は開かれた。You will Obey.」と逆襲に挑む。(かっこいいシーンだ。ニジェールばかりでなくアフリカ全土、それに、日本までにも外国資本の手が伸びて、日本国土が外国の土地になっていく。そこに各種の工場がたって、水源が抑えられたら。。。)
ここに出てくる頭字語(acronym)、MEND( Movement of Emancipation of the Niger Delta)の活動が重要な意味を占めてくると思う。検索してみたが、MENDは史実上存在したらしい。一つ疑問だが、ニジェールはUKの植民地だったのに(英語を話すから)なぜ、フランスの部隊が侵入するのか?クローバル化のせいで、多国籍企業がすでにニジェール・デルタを占領して公害を撒き散らしているのかもしれないと思ったが。。。
(6/14/25)
ここの戦闘シーンだが、理解に苦しむ。それは、スクリーンがあまりにも幻想的で、夢のようで、何が起きたかはアレックスとジョモは戦って、アレックスは勝ち抜いて、ジョモを土葬するという内容であると思う。
現地民の捕虜になったフランス人たちを助けに入るのがアレックスの部隊なのだとわかった!!アレックスは村が焼き払われ、女子供を助けたく軍本部に無線で掛け合うが、アレックスは捕虜を優先せよと言われ断念する。人道主義にたっているアレックスはこのシーンで表情が困惑しているようで、不本意なんだと思えた。(フランツはこういう表情が上手な役者で、観衆の捉え方で意見は真二つにわかれると思うが。)フランス軍の横暴に手が出せないが、ジョモを殺した罪や村を焼いたフランス軍の行動にアレックスは参ってしまい、ちょっと精神的にやられたように見える。
ジョモの妹の Udoka(Laetitia Ky )は捕えられて、人身売買に。
フランスに戻っても、アレックスは心が晴れないようだ。PTSのように思える。軍の友は女を連れて、デスコに遊びに誘うが、気乗りがしないようだ。彼は孤児(胸の刺青)で育ったようで、店ではフランスの流行りのワインではなさそうで、ボルドーのワインを二人分注文して、一人で乾杯しながら飲む。ベラルーシで育った彼にはEU特にフランスとの文化の違いがあるようである。それに、孤児だったから一人で楽しむことが習慣に?なっているのかもしれない。多分、川を渡れなかったミカエルと乾杯してるのかもしれない。(推測だが。字幕を読み逃しているかも。)
バーで、ジョモの妹の Udokaらしき女性を見かけて、驚き立ち止まる。そして、ダイヤモンドと人身売買で金を儲けていて、ベラルーシの刺青が読める男Gavril(Robert Więckiewicz )に会って、彼女の名前を聞くと、マニュエラだと。アレックスは彼女に会いにいくが、売春宿の彼女の部屋にはいなかった。
ここで監督の言おうとすることは『先進国の現地の人民をかえりみない経済侵略、汚染』だけでなく『非情な軍の体制の中で、培われて、人間性を失っていく悲惨さ』を表しているのではないかと。特に、永住権を取得という(この場合は五年間)条件で、アレックスのような開発途上国ベラルーシ(ロシアが北朝鮮の兵士を使うことも)の人間を使い捨てにする現実は無惨だと思う。
アレックスはここで人間の本質に返ったということだと思った。ミカエルを失ったし、軍隊を通して、憧れていたフランスに住める権利は彼にとってどうでもよくなったから、軍服を捨てロッカーに火を。ジョモの妹の Udokaとアレックスと、デスコで現地の民のダンスをするシーンは圧巻だ。ジョモの妹の目には涙がうっすらと。二人とも不法移民である。兄を失った悲しみとジョモを殺した罪の苦しみが一つになり、踊る。Udokaにとって、このダンスが兄との最後のダンスダンスだった。兄とのダンスとアレックスとのダンスは曲も踊り方も同じである。(フランスの音楽家ビタリック(Vitalic)のThe Risingという曲)
P.S.
Who knows the stranger sleeps under the immense arch?
Adding his epic glory to the proud deeds of the past, not through the blood. と書いてある標語をアレックスはロッカーの中でIDを燃やした時読んでいる。フランス軍の兵士を鼓舞するための標語のようだが、私のとっての理解は、「先進国の経済・軍事戦略で、未開発の共同体を滅ぼしていく。ジャモのような民族がそこで、生活をしてという認識を持てよ。人と人が血で争うのではなく、未開発の共同体の誇り高き功績に栄光を与えるのだ』。アレックスもこのフランス軍のため(仏軍人の理解は全く違うが。)の標語を私と同様に理解したと思う。
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