「ディストピアへの道」終わらない週末 ろっくさんの映画レビュー(感想・評価)
ディストピアへの道
はじめに、これからこの映画を鑑賞される方へ、私が第一に抱いた感想はこちら。
長い!
既にご覧になられている方も似たような感想を持たれたのではないでしょうか。
ただ、それでも最後まで鑑賞しましたのでレビューをば書かせていただきます。
ネタバレ↓
長いという感想を除けば、いくつかの感想を抱きましたが、大きくまとめると視点の回帰です。
アインシュタイン曰く「第三次世界大戦でどのような兵器が使われるかは分かりませんが、第四次世界大戦はこん棒と石で戦われるでしょう」。
鑑賞後、思い出されたのはこの言葉です。アイロニーに満ちたこの言葉をまさに地で行っている映画なのだと思います。
この映画は序盤のノイズ混じりのTVを除いて、終始、近視点でストーリーが進んでいきます。パニック映画の王道とも言える手法です。
しかしながら、私達はその近視点の状態に陥る紙一重の状態で生活しているのかもしれません。
突然の通信障害でスマホが使えなくなり、ネットや電話が使えなくなったらどうでしょうか。ggrksなんて言われるくらいに、判断に使用される知識や情報のソースはネットが大半を占める時代です。gpsやiotは勿論、セックスの相手すらネットで探す時代です。
一言で言えば、私達は拡張された視野を持っている状態。そして普遍的にあるその視野に依存している状態なのです。
それが徐々に剥奪されていくのは本作の魅力だと思います。
TVやネットが使えなくなり、貨物船やテスラが突っ込み(テスラが突っ込むの好き)、衛星電話が使えないことが分かっていくなか、良くわからないビラや健康被害など、想像が想像を呼んで混乱に陥っていくのは、視野狭窄ではなく、元来の視野に戻りながらも、智慧を失ったことを露呈させただけなのではないかと思わされました。文明の崩壊です。
そして、大半が共感できそうで出来ない登場人物達の人間関係が変わっていくのも考えさせられる。家族が共同体というコミュニティになっていくのも、ある意味回帰なのかなと。
まとめると、とても長い映画ではありましたが、人間って進歩しているのか?と考えさせられる映画でした。
最後に、シェルターに辿り着いたお子様が、ドラマ鑑賞したことが皮肉めいていて、好きな終わり方でした。