セールス・ガールの考現学のレビュー・感想・評価
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アダルトショップは薬局か
モンゴルで、怪我した友人の代わりにセックスグッズショップでアルバイトすることになった主人公が、性を通じて自分を再発見していく。物語の冒頭では地味だった主人公が、終盤には随分と垢ぬけるというか、別人のようになっている。変化そのものが克明に描かれるのが良い。
セックスショップは「薬局」と言い放つオーナーとのやりとりが面白い。店を訪れる人はみな様々に深刻で、滑稽で、何か癒しのようなものを求めているように見える。確かにそれは薬局と同等の機能を果たしている可能性がある。中盤でキノコ売りの少女からキノコを買うシーンがある。その後店のオーナーと主人公は草原に寝そべって心の距離を縮めるのだが、このシーンの解放感はなんだろう、物語的にもターニングポイントになるのだが、さりげないのにすごく良い。
性はとかくタブーにされがちだが、自分を発見する上でも大切なこと。性を考え自由になる主人公のあり方がとても良い。
モンゴルの考現学
ウランバートル。地味で童顔のサロールは、絵をかくのが好きだけどで原子力工学を学ぶ女子大生。友人の頼みでアルバイトを代わるが、それはアダルトショップの店員だった。仕事で様々な人を相手にし、店のオーナーで過去が謎のカティアに気に入られ。
草原と相撲のイメージしかないモンゴル。こんな言葉を話し、文字はロシア語と同じキリル文字と知りました。考現学の対となるのが、考古学。凝った邦題です。
やっぱり草原も出てきます。でも世界中のどこにでもいそうな少女が、カティア、犬、先生、そして自分を解放していく物語の後味が良かった。
エロいようでエロい映画でなない。
設定はポルノ販売だから何だかエロい空気。でも主人公の彼女が素朴だからそんな感じはしない。彼女はなんか堀北真希に見えた。
彼女は何度かポルノショップを辞めると言ったけど何故か毎回現れる。あれは辞めようと思ったけど、オーナーに好奇心があって辞められなかったって事かな。
エッチに挑戦する姿とかやっぱり素朴な彼女でした。
余談
彼女の初めてに選ばれた彼。
誘われたから来たのに両親が帰ってきてしまい、あの後はどうしたんだろ?
ちょっといい思いしたからいいけど、ちょっと悲惨(笑)
現代のウランバートルでアダルトグッズショップでバイトする以外特別なことのない大学生の青春映画
人生特にイベントもない生活を送っている若者に別にそんな大きな変化があるというわけでもないが、伸び代いっぱいなので確実に成長していくタイプの青春映画。
変わっているのは舞台がモンゴルだが、首都のウランバートル(都会)で、主人公か大学で原子工学を学ぶどちらかといえば地味な女子大学生ということ。この感じ知ってるという感覚と知らない情報が混じり合って心地よい。
初めて見るモンゴル
草原の遊牧民でも大都市の下水管に住む貧困層でもない、日本とさほど変わらない生活をしてるモンゴル人は初めて見たかも。カティアがとにかく魅力的。偏屈な人なのかと思ったけど意外と気安く懐に入れてくれる。酔っ払った演技が素晴らしかった。秋刀魚の味の東野英治郎に次ぐ一流酔っぱらい演技でした。サロールもいいなー。最初のヒゲの生えた小学生みたいな芋臭さからカティアに接触して垢抜けていくさまが何故かうれしい。客に迫られて怒るのは、そんな仕事してたらそれくらいの可能性考えるだろと思うしそこまで怒るほどのことされてないし、と興ざめしましたがその後の回収が心地よくて、まあ20歳くらいの女の子はこんなもんかと矛を収められました。
やや何を述べたいかわからないが…。
今年375本目(合計1,025本目/今月(2023年11月度)7本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
アジア映画の中でも超珍しいのではなかろうかというモンゴル映画。
その数少ないモンゴル映画といえば、チンギスハンであったりであろうところが、まったく違っていて、首都と思われる大きなところで「ある種変わったお仕事」をするアルバイトの女の子のお話(なお、映画の指定自体は一般指定なので、表現上配慮されています)。
モンゴル自体の思想としてややロシアに偏っているのかな、といったところはありました。ただ、この映画自体がやや特殊な部分もあり一概にどうこうとは断定はしにくいです(モンゴル映画自体が超レアなので)。
おそらく趣旨的には「大草原を想像するモンゴルにおいても「このようなお店」は存在するんですよ」ということを述べたかったのではなかろうか…という趣旨(この点でモンゴルである点が趣旨上重要になる)とは思うものの、今度は一般指定であるという関係から、行為はおろか表現まで結構マイルドになっているので(PG12ですらない)、案外こう「何をいいたいかわかりにくい」タイプの特殊な映画です。そして当然英語などであれば一定の類推もききますが、モンゴル語か何かを話されても聞き取り率は0%ですから…。
ただ、この「わかりにくさ」はあえて生じているのだろうし、積極的に意味がわからないということもないので(一応にもモンゴルの首都?を描いた一つの風景といえるので)、減点まではしていない扱いです。
いずれにせよ「PG12でもないのに妙な話題を取り上げる」映画であることは予告編等から明らかなので、その「縛り」で「わかりにくい点が生じる」ことは確かで、それはもう仕方がなかろうというところです。
モンゴルの大平原がバックボーン
彼女を中心とした360度のドラマで、周囲の人間は、完全に脇役に徹してる。
その清々しさ!
誰もが自分の目で世界を見ている。
その目が澄んでるか、曇ってるか。
人生って、意外と単純。
モンゴル映画は意外と面白い
珍しいモンゴルの映画なのとポスターの女の子に惹かれて、フラフラと入場。
他の方のレビューにもありましたが、草原とか馬とかは全く出てこずに、日本で言えば地方都市くらいの街で、大学生くらいの女の子がアダルトグッズの店員をやることによって、性愛を知ってオシャレになって、精神的にも成長していく物語です。
ところどころに笑いの要素があって、個人的にはかなりウケました。初っ端のバナナですでに心掴まれましたね。
あと主演の名前が長くて覚えられない女の子が、モンゴル美女って感じでいいです。
演技なのか素なのかわかりませんが、戸惑う様子、ちょっと冷めた視線をする様子がすごく自然でしたね。
大草原は一切出てきません
大学内の知り合いがバナナの皮で足を骨折してしまい、仲良くもないけどバイト先の店番を頼まれた。お店の売上金は閉店後にオーナーのところに持って行かなければならない。主人公とそのオーナーの偶然な出会いにより、主人公が成長していく物語である。
オーナーとの出会いにより、専攻チェンジができ、恋も性も大きな一歩を進むことができました。
骨折から復帰した知り合いとオーナーの間には何があったのか?
カティアにとってサロールとの出会いは自分にとっても大きな変化の1歩であり、そのようなエンドロールになったのではないかと思います。
モンゴル版「プラダを着た悪魔」
原子力工学を学ぶ大学生のサロールは、怪我をしたクラスメイトから、彼女が働けない間の代理としてアダルトグッズ・ショップのアルバイトの話を持ち掛けられる。とくべつ仲の良い友だちではなかったが、高給なうえに簡単な仕事だと説かれ、一ヶ月だけ働くことに。そこは、大人のオモチャが所狭しと並ぶ、街角のビルの半地下にある怪しげなショップ(公式サイトより一部抜粋)。
なんとなく生きている主人公のサロールと、享楽的に生きるアダルトショップオーナーのカティアとの交流を、「性」「生」「男女」「愛」「人生」などをテーマに、穏やかな時間の流れ、妙にすんなり溶け込むモンゴルロック、時折挟み込まれるシュールなコメディで描く。
外面も内面も着飾らない、いわゆるリケジョなサロールが、カティアとの関係やアダルトグッズ・ショップでの仕事を通じて徐々にきれいになっていく様は「プラダを着た悪魔」のアン・ハサウェイを彷彿とさせる。そして、それと並行して、実は放埓に見えたカティアがサロールとの交歓で、囚われていた過去から緩やかに解放されていく様も美しい。
周りの大人たちから見聞きしたことを、サロールがひとりでホテルを借りて、見よう見まねでやってみたが結局うまくいかなった場面と、早い流れの川を前に、カティアが呟く「幸せとはそれだけでは存在できない」ということばが静かに符合する。自立した人間が、だれかと生きていくことで幸せを得るという、愛おしい矛盾が印象的。
モンゴルって都会なんだな、モンゴルの家ってドアチャイムがないんだな、てか、中国ではなくロシアの影響を色濃く受けているんだな、などなど、あまり馴染みのないモンゴルという国に思いを馳せられるのもおもしろい。サロールを演じた女優さんの名前はたぶん永遠に覚えられない(バヤルツェツェグ・バヤルジャルガルさんというそうです)。
Frank
モンゴルからやってきた映画、中々に珍しいのでこれは足を運ばねばと。アダルトショップで臨時のバイトをしつつ、自分探しをする成長譚です。
正直地味なタイプの大学生であるサロールが、バナナで滑って怪我をした(んなベタなと思いきやしっかりコケるので面白かったです)同級生の代わりに、セックスショップで働くという感じでゆったりしたテンポで進んでいきます。
セックスショップの玩具を届けにいったり、店頭で対応したり、その売り上げをオーナーのカティアに届けたりする日々の中で、自分の生き方や家族を投影しつつ、玩具をバスの窓に貼り付けたりするコミカルな描写も交えているのでクスッと笑えました。
カティアは全体的に面倒な女性というイメージは拭えませんでしたが、過去に自分の子供を亡くしたり、旦那と金銭問題で別れたりと、それなりの事情を抱えての現在だったので、苦労したんだなとは思いました。発言にトゲがあったのであまり好きになれませんでしたが笑
音楽がとても爽やかなので、性描写(両親に見つかる気まずさも携えながら)が描かれ後でもスッキリした気分になれます。この作品のサントラが欲しい…。
少しわかりにくいところもありましたが、ほのぼのっとしつつ、自身の性への葛藤も追体験できる作品になっていたかなと思いました。
シーンが進むたびにどんどん綺麗になっていくサロールの変化がとても良かったですし、オシャレに着飾って街に繰り出していく、そんな風に前向きに進んでいくサロールに幸あれ!
鑑賞日 5/23
鑑賞時間 18:45〜20:55
座席 G-10
いろいろツボ。
その中で、いちばんのツボは、映画音楽をやられている、
Magnolianというシンガーソングライター(モンゴルでは人気だそうで...)が
劇中でカメラ目線で、こちらに向けて歌いかけてくるところ…
失礼ながら、そこまでイケメンに感じなく、
完全に笑かしにかかってんのか!?と思っちゃって…。
これ、日本の映画で日本のシンガーソングライターやられても、
100%ツボる 笑
そこはさておき、
モンゴル映画に良くある草原メインでははない、
都会での若者の日常?的な作品は初めて観ましたが、非常に面白かったです。
サロールがアダルトショップのオーナーのカティーヌと出会い、
年の離れた経験値の高い彼女から、いろんな影響を受け、
どんどん外見も内見とも成長していく姿は、とてもワクワクしました。
とくに、外見!ものすごーく可愛くなって、女子のあの年頃って、
眉毛の形ひとつ変えただけでガラッと変わるし、
何かを経験するごとに変わっていくものねーと、感動すら覚えました!
オーナーのちょいちょい挟み込む人生の教訓みたいなセリフも響きましたし、
彼女、少しポッチャリさんでも、オシャレでとても魅力的。
パンフレットに記載のあった
モンゴルの若者の自殺、男女の差別的なこと、性に対しての解放、
貧富の差などなど、いくつかのテーマを取り入れ、
面白さも真面目さも、音楽も上手くブレンドさせた良い作品でした。
監督の次が観てみたい。
観たい度○鑑賞後の満足度◎ 『さそり座の女』(美川憲一)と『狂気』(ピンク・フロイド ) in Mongolian
①珍しいモンゴル映画ということで興味津々で観に行ったけど、当たり前の事ながら、人間社会であるかぎりどこの国でも大体似たり寄ったりですわな。(モンゴルの家には呼び鈴は無いのか?とは思ったけれど)
②これまた当たり前の事ながら、人間が生きている限り(人間じゃなくてもそうだけど、映画の中のピムみたいに)、「セックス」とそれにまつわるアレコレはどこの国でもどの人種・民族でも同じなわけで、“大人のオモチャ”(世代的には“アダルトグッズ”なんてスカした呼び方より此方の方が親しみがあります)店を舞台にしたことが、世界の誰でも共感(?)して観ていられる映画になったと思う(モンゴル映画に馴染みがないのは、実はアジアで日本だけかもしれないけれど)。
③よく正体がわからない不思議なシニア(男女を問わず)とふれ合うことで若者が成長していくという話はよくあるし、サロールが最後に自分の好きな絵の道に進むかとは予定調和的だけれども、カティアという不思議な且つ魅力的なキャラクターをサブ主役にする事で愛すべき作品となっている。
④少し長いのが玉に瑕だけれども(もっと刈り込めると思う、時々出てくる歌手/バンドのシーンをカットするとか)、初めて観たモンゴル映画で(失礼ながら想像以上に)「映画」だったので点は嵩上げしてあげましょう。
⑤ウランバートルの街はそんなに珍しさを感じなかったけれど、果てしない草原のシーンには、やっぱりモンゴルだとウットリした。
⑥行ったことのない国(そしてこれからも行くことはないだろう国)でも、その国の空気、その国で生きる人たちの生活・考え方・どんなものを食べたり飲んだりしているか等を肌で感じることが出来る事も、色んな国の映画を観る楽しみの一つだ。
また、国や人種・民族が違っても人生の根底にあるもの・真実・真理への考察は万国共通・普遍的なものであることを教えてくれるこたも映画を観る幸せの一つだ。
セックスに全く興味のない女の子が無理矢理性に芽吹いて行くのが可愛い。しかし…
モンゴル映画と言ってもウランバートルなんだからセックス産業は御多分に漏れない繁盛のようだ。
そんな裏経済とも言える社会構造の一端に関わることになって、ハラハラさせられ通しだったが、
授業中にスケッチ?イラスト?ばかり描いている女の子が、
このバイトでセックスビジネスではなく、
絵画やデザイナーに進路を変えて見違えるぐらい綺麗ウキウキしてくるのは嬉しくなります。
やっぱり、金縛りの除霊が効果あるようですね。
丑三つ時過ぎが良いのかな?
^^
アダルトグッズショップで働くことになった女性の成長をユーモアたっぷりに描き、
第20回ニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルでグランプリに輝いたモンゴル映画。
モンゴルの首都ウランバートルで家族と暮らしながら大学で原子工学を学ぶ素朴なサロールは、
ひょんなことから怪しげなアダルトグッズショップでアルバイトすることに。
人生経験豊富な女性オーナーのカティアが営むその店には大人のオモチャが所せましと並んでおり、
毎日さまざまなタイプの客たちがやって来る。
サロールはカティアや客たちとの対応を通して、
日がな何となく過ごしている自分のことが、
何かに気づき奇行を始める。
オーディションで300人の中から選ばれたバヤルツェツェグ・バヤルジャルガルが映画デビュー作にして主演。
^^
ピンク・フロイド
幸福とは言い難い半生を送り、それを取り戻そうと足掻いているようにも見えるカティアが、去り行く者のつとめをきちんと果たしているのがかっこいい。この、バトン(たすき?)を渡す感じが「パリ・タクシー」に似てるかも。
「自分がもはや与える事が出来なくなった喜びを他人が与えていることに嫉妬する」は言うまでもなく性的な事柄に限らない。肝に銘じておきたい。
何にしろ、がんばれサロール!
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