光る校庭のレビュー・感想・評価
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2人の母親役に救われた。
実在する学校、病院を舞台にしている。出演する子ども達は校名の入った体操服を着ている。リアル感を出したかったのだろうけれど、ならばもう少し地元の子ども達、教師を丁寧に描いて欲しかった。私は元小学校教員ですが、翼のような長期入院が必要な子どもの場合、院内学級に転校させます。義務教育の機会が病気などによって奪われないようするために行政の責任で行うものです。関係者や当事者でないと意外と知られていないことであるけど、少なくとも学校の管理職や養護教諭(保健の先生)なら絶対知っているはずです。調べてみると、撮影の舞台となった病院はあまり大きい病院でないため、院内学級はないけど、市内の一番大きい病院にはあるようです。
また結構キツイいじめ場面もあるが、今の時代、物語の中でそのあとのフォローも入れておくべきではないかと思います。担任教諭の余りの無能ぶりや特に学級の男の子達のいじめ加害者の様子は見ていて辛くなります。今を生きる子ども達や教師の名誉の為に言うと、いじめがダメというのは、幼い頃から繰り返し指導されていますし、指導してきました。小学校の高学年の子どもなら、どんなことがいじめになるかまで承知していると思います。こんなある意味分かりやすいいじめはないと思いたいです。制作側の思い込みによる表現ではないかと思ってさえしまいます。T市の教育委員会は台本のチェックはしたのでしょうか。地域の絶大な支援があっての制作なのだから全て受け入れ側の意向に従えとまでは言わないが、下手すると地域のイメージダウンに繋がりかねないと思いました。
智哉の母親役、安達祐実さんオーラがすごいです。流石です。「家なき子」で大ブレーク以来、クセの強い女性という勝手なイメージを持っていましたが、この作品では違いました。男の子の母親役としては最適任だと思います。翼の母親役の里園侑希さんも良かったです。全国的にはほぼ無名の方(失礼)ですが、存在感では安達さんに負けてないです。
ま、確かに光ってはいた。
比嘉監督の舞台挨拶付き上映。
人が死ぬということがどういうことなのか理解できない小5の智哉が転校先で出会った病気の同級生、翼を通して死生観を育ててゆくって話なんですけど、ラスト15分くらいがものすごい謎展開。なんかファンタジーで終了しちゃって結局智哉の成長を感じることは私はできなかった。
翼に対して異常に気を遣うクラスメイト達。それが逆に翼のストレスになっているというのはリアリティがあったし、実際そうなんだろうとも思った。ただ担任を毒キャラにしてしまったせいでそっちに目が行ってせっかくの空気感が台無しになってしまった印象。どっちのお母さんもあっけらかんとしてるし、なんか周りがみんな変だった。
舞台挨拶はコロナ禍の撮影で大変だった話、安達祐実のお母さんは当て書きだった、終盤はあえて曖昧な表現にした、撮影場所は必ず横に川が流れている所を選んだ、おじいちゃんのスポーツカーは監督の知り合いの物を貸してもらったなどなど。裏話面白かったです。
担任無能過ぎ
ハンディのある者との距離の取り方というのは本当に難しい。憶測に基づく過保護は責任逃れの裏返しなのだが、当事者は善行を為しているつもりになっているので、ありがた迷惑だったり場合によっては侮辱になりかねない事に気付かない。解らない事は解らないと割り切って本人の希望に沿うのが一番であると会得した智哉が迫害の対象になるのは何とも痛ましく、やりきれない。
「善意」(←括弧付き)の押し付けだけは厳に慎みたいものだ。
智哉が同級生達より一足先に大人に近付いたのが救いか。
また、子供が死を受容するのに親の支えが不可欠だが、母親たちを皮肉抜きの善良な人格者に設定したのと、一見能天気な祖父を登場させたことで深刻すぎない風味に仕上がっている。
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