「力作だと言うのは理解してます」世界の終わりから bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
力作だと言うのは理解してます
紀里谷和明の最後の作品とのこと。日本映画界では奇才ってことになるんでしょうか。キャストは結構な豪華布陣です。話題性より実力重視の伊東蒼起用。カメオで岩井俊二が登場したりしてます。真面目に時間を掛けて撮ってます。色々とチープ感はあるけれど、ちゃんと知恵を出して工夫して頑張りました、なロケーションだったりセットだったり。すごくポジティブに感じる点が多いということは、最初に言いたい。
けれどけれどけれど。
微妙過ぎだす。とにかく、微妙w
まんずですよ。テンポ悪すぎですよ、長すぎますよ、枝葉が太すぎですよ、その枝葉に時間かけすぎですよ。もう、たるいったらありゃしない。
物語の方も、訳が分からんです。世界観が特殊すぎかも知れません。そもそも設定が2030年と言う、微妙な10年以内の将来になっている理由も分からない。ユキはアイヌっぽい、いや中国とかタイの少数民族っぽい恰好してるんですが、戦国落ち武者みたいなサムライが表れて無差別殺人なんかやってます。どうやら、これは「戦」らしいです。我が国の邦画界によくある、イメージだけからの設定。そもそも、ユキの世界は、同じ次元なのかと言う話であったりしますが、ここも微妙にゴマカシが入ってそう。から、いきなり2030年の世界で「祠」が発見されたりする。
さらにさらにさらに。
これが未来と一続きに繋がってたり。一人だけの地球人類が、どっからともなく、何の前振りもなく、伏線もなく、いきなり表れて救世主。ん?いや。救世主と言えるかどうかは微妙なんだけど、まぁ、そういう設定。
グダグダ過ぎるわ、これ。
生きる意味とか、勇気をもって戦うんだ!とか、世界を愛して。とかとかとか。
そんなんを言うがために、壮絶なハチャメチャお笑いSFにしてしまったエブエブは、ノリノリで楽しめたんですが。これは、なんかテンポ悪すぎ、暗すぎ、深刻感が仇となり、全く楽しくなかったし、ほぼ全く沁みるものもありませんでした。このテーマと流れから、2作品か3作品に切り分けることはできなかったんでしょうか?
唯一。
トンネルの中から手を振る「無限」と「輪廻」、と言う画はジーンと来ました。
それとですよ。
一時期、「全面核戦争」と言えば、世界が焼き尽くされる・人類絶滅、ってのが当たり前でしたが。
リアルには、そんなことにはならない訳で。
そもそも大陸間弾道ミサイルは発射準備に時間がかかります。燃料注いだ状態で、スタンバってるのは全体の10%未満。核弾頭もメンテが必要。敵地攻撃する標的は、敵のミサイルの方が人口密集地よりも先。よって、核ミサイルのほとんどは、発射前に敵の手によって破壊されます。世界レベルで、核爆発による直接の犠牲者は、最大3億人以下。日本も2,000万人だって言われてるしね。お。コレは米国が中朝露の核ミサイルを破壊してくれるという前提のもとの話です。よって、リアルには、あんなことにはなりませんし、2030年まにでにはわが国独自の、米国に頼らない敵基地攻撃が可能な装備が配備されているでしょうから、最悪数万人、ってところじゃないでしょうかね。
と、無駄なツッコミを心の中で入れながら見てました。