「何のための3D作画か、誰の物語かという疑問」アイドルマスター ミリオンライブ! 第2幕 CIRROさんの映画レビュー(感想・評価)
何のための3D作画か、誰の物語かという疑問
今回の2幕では未来のアイドルとしての第一歩と、
ミリオンスターズのデビューが描かれます。
これだけ書くと順当な話の流れなのですが、回が進むにつれ下記の疑問点が積み重なって行き続く第3幕に対して不安を抱く内容となりました。
・原っぱライブの演出について
原っぱライブはオープニング映像のように全員が舞台に上がると思っていたのですが、実際に出たのは7人のみで残りのメンバーはステージ外の出店担当という形で拍子抜けするものでした。
メタ的には37人全員のライブを描くリソースが足りないのでメンバーを限定したのかなと思いました。
出店の出し物でそれぞれのアイドルのキャラの特徴は表現されているのですが、舞台に立つ事がアイドルとして何よりのアピールだと思っていたので「それでいいの?」と思ってしまいました。
・何のために3D作画にしたのか
7話の水着回について、前回までのノリとの違いやお話の流れに対する突っ込みどころはありますが、何より気になったのがアイドルが動くライブシーンが無かった事です。
この回は「ライブのお披露目」をゴールとしてお話が展開されました。ですが肝心のライブは止め絵を背景に曲を流す形で描写が削られていました。
せっかくの3Dモデルを使ったアニメなのですから、中盤のアクションシーンを削ってでもライブを描くべきだったのではと思います。
8話では、3Dモデルによる作画について疑問を持ちました。
桃子が子役時代の出演作で、今と同じ私服を着て描かれていたのです。
回想の1カットのためにわざわざ衣装を作るだけのコストを割けないという判断なのでしょう。
3Dで制作する以上そうした融通が効きづらい事は理解できます。
ですが日常描写を妥協する代わりライブシーンだけでも充実させなければ、3D作画のデメリットを背負った意味が無くなるのではないでしょうか。
まだ3幕を残しているためライブシーンが少ないと断定する事は出来ませんが、2幕を映画単体として見ると不満が残るものとなりました。
・主人公の春日未来とプロデューサーの描写
8話終了時点で未来の実績は、原っぱライブを成功させた事に止まっています。
6〜8話は別のチームの話であるため、彼女が関わるシーンはほとんどありません。(7話でチーム2nd、3rdの活躍に感化された描写はありました)
未来が主体的にお話に関わっていく描写が薄く、ドラマの積み上げが無いまま物語の終盤を迎え視聴者が感情移入しにくくなるのではないかという懸念を抱きました。
プロデューサーについても、物語への関わりが弱い事が気になります。
アイマスはアイドルと共にプロデューサーも成長していく物語なのですが、今作では未来を始めアイドル達が主体的に問題の解決をするケースが多くプロデューサーの存在が希薄になっています。
(8話ではアイドルを元気づける描写がありましたが)
アイドル39人を出し、更にアイドル同士の関係性を描く都合上プロデューサーの出番の割合が減るのは仕方ないですが、もう少しアイドルと対話するシーンが欲しかったです。
期待していたライブシーンでのアイドルの活躍が少なかった事、1幕に比べ話の描き方に対する疑問点が多く見られた事からファン以外にはお勧めできないという評価です。
3幕でこれらの懸念が払拭される事を期待しています。