アンダーカレントのレビュー・感想・評価
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湯船の底で深層が開ける。
心の深層でその人を支配する出来事。それに普段気づいていない主人公。気づいてしまい逃げた夫。深層を意識しながら生きてきた男。どうすれば深層の傷を乗り越えていけるのでしょう。まず自分の深層に向き合って、傷になっていたら止血をし、次を考える。近くの人を大事にする。そういうことでしょうか。
映画は、今脂が乗っている名優の皆さんの過去作(たとえば真木よう子なら「さよなら渓谷」)の続編、集大成を見ているような不思議な感じがしました。
しかし、リリーフランキーが「裏切り者の旅」を歌うところは、笑いを取るところだったのでしょうが、まったく笑えなかった!
ところで、水に沈むシーンは、ビルエバンスとジムホールの名盤「アンダーカレント」のジャケ写真と関連があるのでしょうか?
あと、細野晴臣の音楽はタルコフスキーみたいで最高でした!
その笑顔は本物ですか
常に自分を全てさらけ出して生きている人などいない。意識的、または無意識に、誰でも何かしら心の奥底に抱え込んでいるもの。
かなえは失踪した夫の事を思うと辛いが、いつまでも落ち込んでいる訳にも行かないので、父から継いだ銭湯を再開した。周囲の人もそれとなく気遣って穏やかな日常を取り戻したかに見えたが、ふとしたきっかけで、自分の心の奥の感情に向き合うことになる……
サスペンス調ではなく、人の心のひだを丁寧に描いた映画です。人のさりげない思いやりが素敵で、無垢な赤ちゃんや犬が良いアクセントでした。最後の余韻も好きです。
(でもちょっと離れすぎ。あれじゃ尾行だよ)
人の心の中はそう単純ではなく、相手に必ずしも本心を全て打ち明けなくても、誠実に向き合っているならば、それは噓では無いのだ、と思えました。
ちょっと長い映画なんですが、無駄なシーンがあるという訳ではなく、夢の部分や余白をもう少しコンパクトにまとめればスッキリしたのかなと思います。
本当のことなんて誰も知りたくないんだよ
雰囲気がとても好きでした。
ただなんかしっくりこないというか、なんか違和感があってそれがなんなのかは、最後までわかりませんでした。
まあそういうこともあるでしょう。
このレビューだって嘘かもしれないのですから。
人の深み
誰もがあの人が何考えてるのかわからないけど、そもそも自分がなにものなのかすらわからない、そんなもんな気がする。そんな漠然とした感じを表現してくれた感じがする。
舞台挨拶つきでした。真木よう子さんは顔ちっちゃくて、しゃべりがいい意味で雑で素敵な女性でした。それに対応する瑛太も同じ感じで素敵でした。そして今泉監督やはり好きです。
心の奥底に潜むのは、封印した記憶と忘却したい過去
父親が遺した銭湯を夫と営んでいた
『かなえ(真木よう子)』は、
ある日夫の『悟(永山瑛太)』が突然失踪したことにより、
一時営業を中断していた。
が、再開したタイミングに合わせるように
組合から斡旋された寡黙な男『堀(井浦新)』が現れ
住み込みで働くように。
二人の息は思いのほか合い、
手伝いの叔母との三人による営業も順調に見えた。
しかし、友人に紹介された探偵『山崎(リリー・フランキー)』に
『悟』の調査を依頼したことから、
知ることの無かった夫の過去が浮かび上がる。
『山崎』が発する「人をわかるって、
どうゆいうことですか?」との言葉が象徴的。
主人公に向けて発せられたそれは、
とは言え実は多くの人に当てはまるだろう。
いや、他人どころか、
人は自身のことさえどれほどわかっているのか。
まさしく冒頭に示される
「心の底流(アンダーカレント)」は言い得て妙。
失踪した人間が抱える秘密とのプロットは
かなりありきたり。
ましてや本作で吐露される中身は
本人にはいざしらず、傍目からは軽めに思えるもの。
一方、その結果として炙り出される二人の過去の方がはるかに強烈で、
他作とはやや構成が異なる仕組み。
『かなえ』には幼い頃から繰り返し見る悪夢があり、
それは彼女の意識の底に押し込められた忌まわしい記憶から来るもののよう。
また『堀』にしても凄惨な体験をしており、
それへの強い思いが彼を突き動かす。
〔湯を沸かすほどの熱い愛(2016年)〕と近似の設定。
しかし主人公に子供はおらず{ファミリームービー}でもない。
主要な三人にまつわるエピソードが積み重なり明らかにされるたびに、
観ている側は陰鬱な気分に。
落ち着いた語り口も、展開される世界観はダークミステリー。
淡々と描写されるため強烈な衝撃はないものの、
彼女や彼等が背負う過去は
あまりに救いのないもの。
とは言えラストのシークエンスは
希望を持たせるものととらえたい。
膿を出し切った後の傷は生々しくとも、
次第に痕がふさがって行くように。
川の底流と共に渦巻く人間の感情に浸る作品
真木よう子演じるかなえが銭湯を昔からの
従業員のおばさんと2人で経営していた
ところから、日常のありふれた生活に見える
序章でした。
しかし、夫である永山瑛太演じる悟が失踪していたと言う事情を知って喪失感や寂しさを感じ始めて見ました。
線を描くようなコントラスト、人間の表層心理と深層心理、2つの感情があるように
思いました。
かなえが水に沈んでいくシーン。
同じ夢を見て、苦しくうなされるシーン。
小学生のときにあった心的外傷となった大事な人の死。
銭湯に突如として訪れた井浦新演じる堀は
かなえに亡くなった妹を重ねて見ていたと
感じました。
髪を束ねた赤い糸。
ガラスに映った2人の姿。
あやとりを手にしながら遊ぶ2人の女性たち。
乗りかかった船だと最後まで探偵の仕事を
やり遂げたリリー・フランキー演じる山崎。
抑えた演技のなか、静けさと激しい感情が
混在しているように見えたストーリーでした。
かなえの家から失踪していた悟は、偽りの人生を生きていたとかなえは既に知っていた
けれど、何故、失踪したかについては
悟自身も分からなくなっていたように
思いました。
初夏の季節から始まり、最後は晩秋の季節になっていました。
海辺の店で2人で話した後に、かなえが悟の首にマフラーを掛けるシーンは、かなえ自身、悟を恨んだりしてない気持ちが伝わってきました。
かなえもみんなも死にたいと思っても
孤独や哀しみを乗り越えて、生きていく
水面に射し込む光が、未来を表現していました。
堀はかなえを近くで支えながら人生を歩み出すのか?
2人に温かく寄り添う気持ちで観終わりました。
よく分からなかった。リリー・フランキー主演で「探偵ヤマサキ」をシリーズ化してほしい。
<アンダーカレント>低流、下層流→人の心の奥底、
「人の心の奥底をわかることが人を分かることなのか?」
「人を分かるとは」 何か?どういうことか?を突き詰める映画であることまでは分かった。
そのあと、「人は人を分かれるのか?」「人はおろか自分のことは分かっているのか?」
そして、「そもそも ”わかる” とは何か?」という辺りでほぼ降参。
「わかると理解するは違うのか?」。「わかる」を国語辞典で調べて何となく「そうか」と思った後、和英辞典で「わかる」を調べて、「わかる」の意味が多岐にわたることを知るに及んで万事休す。頭から湯気が出始めたところで考えるのを諦めて終了。
脳みその容量足らなくて沸騰して蒸発してまうから「アンダーカレント」の考察は皆んなのレビューに任せるヨ。
それよか気になったのは、探偵の山崎。喫茶店の待ち合わせで登場したとき、あまりの胡散臭さに思わず吹いてしまった。彼は海辺のテラスでコーヒー煎れていたが、実は広尾でPIANOという名前のカフェもやってる。
ウサン臭くてこんな魅力的なキャラクターを今回限りで終わらせるなんてもったいない。
僕がお気に入りの江口のりこさんは、山崎に怪しげな案件持ち込む役で。
ワンコを忘れていた。
「薪割り」
今年185本目。
薪割りの銭湯珍しくていい。何十年続いている銭湯だとリニューアルする所もありますね。昔ながらの銭湯も木のぬくもりがあって何年かに1回銭湯に行きますが、足伸ばして入れるのは気持ちいい。リリー・フランキーが昨日「アナログ」見て今作も。落ち着いた雰囲気が好き。
人をわかるということ
人当たりが良く、優しく、家庭でも良きパートナーだった夫が突然失踪したことから始まる物語。
約2時間半という長尺で語られるのは、相手を知ることの難しさ。少しずつ明らかになる夫の「本当の姿」から、主人公も自身の根底にあった感情を思い出していく。
ゆっくりじっくり淡々と進んでいく作品ですし、特に大きなハプニングやサプライズが起きるわけでもない。登場人物も、普通の人がほとんど。だからこそ、繰り広げられる会話ひとつひとつに、自分はどうかな…と反芻したり余韻を楽しんだりできました。
ラストはどう捉えれば良いのかな。味わってみます。
あと、ワンコが可愛かったです。
かなり特殊な見方ではあろうと思うのですが…。
今年341本目(合計991本目/今月(2023年10月度)6本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
今日(7日)は本作品を含め4本見たのですが、その最初の作品になります。
まず結論から先に書くと、「気になる描写もあることはあるが、その点どこまで突っ込むのかが微妙」という点に大半つきます。
ストーリーとしては、公衆浴場を営むある家で失踪する事件が昔あり、その失踪している方を探そうとする方、探されようとする方との関係、また公衆浴場に関しての描写もあるなど、割とジャンルとして何なのかが微妙(2月だったか3月だったか、公衆浴場ばっかりずっと描いていた映画があったと思うのですが…←何だっけ?)な映画ではあります。
どうしても法律系資格持ちは一定の語(この映画だと、探偵業や公衆浴場といった反応するような語)が出てくると頭の中を切り替えてみるのですが、そうしてみると逆に調査不足なのか明確に変な部分もある一方、ストーリーを優先させたと思われるフシがある点、また、「そこまで突っ込むの?」というようなところもあったりとこれまた採点が難しい印象です。
この3連休、映画の数自体はかなり多く、本映画は実は2.5時間枠で(3時間はいかないが、2時間は超える)、どうしても他の映画との「接続」が難しい実際上の問題もあり、対抗以下の評価なのかな(競馬新聞ではないけれど)といったところです。
ただ、以下の採点/評価は、法律系資格持ちの立場という特殊なところからくる点は先に断っておきます。
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(減点0.4/探偵業と戸籍について)
探偵業者は探偵業法で一定の縛りを受ける特殊な職業ですが、戸籍の開示や取得について何ら特例を与えられているものではありません。戸籍の取得請求ほかは本人であれば本人の身分証明書など、依頼を受けていれば委任状などが必要で、そこでその本人の印鑑が入った書類が求められますので、ここの点でアウトです(映画内では勝手に持ってくる)。
もっとも、この点を厳密につつくと映画が進まなくなるという別の問題を抱えるので(しかももとが2.5時間と妙に長い)仕方なしかなという気はしますが、戸籍の問題はセンシティブな部分もあり、誰でも彼でも(勝手に)開示されてしまうんだということではないので注意です。
(※) 弁護士を頂点としたいわゆる「法律隣接職」(行政書士も含む)は、その職務の範囲でのみ戸籍の取得請求ができますが(職務上請求という)、これにはちゃんとした理由を示したものが必要で、勝手にやると各種業法でアウト(かつ、戸籍関係の不正取得は基本的に一発レッドカード・退場扱い=廃業勧告ほか)です。
(減点0.4/公衆浴場に関する考察が雑に過ぎる)
日本では職業選択の自由が憲法で定まっていて(憲法22条の1)、そのうえで例外として「資格がないとなれない」(弁護士、医師など)のほか、「道徳観からくるもの」(たとえば、助産師は女性でないとなれない)ほかはありますが、基本的には自由です。
しかし戦後の混乱期には職業選択においていわゆる「重なり合い」が生じたのも事実で、その一つがこの「公衆浴場」です。現在でも各都道府県の条例で、地域ごとにおいても違いますが、「既存の公衆浴場から何m以内だと新規開業できない」というものがあり、しかもこれは現在でも有効な最高裁判例です(平成元年ほか)。
※ 薬局の距離制限ほか違憲判決で確定してなくなったものとは異なり、「公衆浴場」については現在(令和5)でも規制は受けます。
しかもその最高裁の判旨は「既存公衆浴場業者の経営の安定を図ること」ですので(平成元年3.7)、かなり「既存業者に寄った」判例であるのものが今も生きているわけです。
すると、そのように現在(令和5)においておよそ「経営の安定を図る」ことのメリットが見出せない現在においても有効な現在の規制において、既存業者は最大限の努力をするべきなのであり、そこで失踪するだのしないだのという「身内の話」であれこれもめるというのは、新規開業者の邪魔をするだけの存在になりさがるのであり、最高裁判例の趣旨を没却するにほかならないという点において明確に描写不足ではあります。
※ もっとも、こうした論点も特殊で、しかも「公衆浴場」というある意味特殊な職業をわざわざ描くというのはそれなりの理由もあるわけで、ちゃんと調べると「原作小説によるもの」ですので、仕方なしと思う部分はあるものの、ちゃんとフォローは入れておいてほしかったです。
最後は感動させられてしまった。たいしたものだ。
洋画ばかり観ていたので、反省の意味を込めて(日本映画に頑張って欲しい)この邦画を鑑賞した。勿論、高評価のレビューが多かったからでもある。
淡々とした日常生活の描写が続き、寝てしまった。しかし、3分の2を過ぎたあたりから、物語が急に動き始め、タイトル通りとなった。それまでが我慢の映画だ。監督、役者の演技に感心した。その後、これは原作の漫画が映画以上に素晴らしいのではないかと思えてきた。電子書籍の試し読みだけであるが、私の直感は当たっているように思える。一度、読んでみよう。
ほんとうの自分はどこにいるの?
今泉力哉監督らしい静かな演出は本作もにじんでいて、寄りと引きのカットのバランスは好きです。対話も妙、セリフの味わいもあって、実生活にじんわり余韻を残しそうな感じの対話もありました。今回は一連の作品よりもさらに静かな演出で、落ち着いて入り込める展開は好みです。カットを切るタイミングももう少し聞きたいというところで暗転するときもあって、余韻を感じます。
真木よう子も演じる女性は勝気なようで繊細、トラウマを抱えた女性を自然に演じているし、井浦新の演じる男性もなぜここに来ているのか?という点も少しミステリー感あり。
夫がなぜ失踪したのか?というところもそれほど具体的な理由があるわけでもない。本当のことを話すことがいかに難しいか?夫婦という一番近いような存在でさえ、本当の自分をみせていないのではないか?いやそもそも本当の自分をみせながらでは人間関係は築くことは難しいのではないか?お互いいいところを見せあって生きていっている部分が多いのではないか?そんなことをいろいろと考えるきっかけになる映画です。
といっても、最後辺りのカットで、真木よう子演じる女性が有言実行で、思いっきり永山瑛太演じる男の頬をひっぱたくシーンがみたかったです。
皆んな嘘つきなので感情が爆発しない。
真木よう子演じる、かなえは夫婦で銭湯を営んでいたが、突然永山瑛太演じる旦那が失跡してしまい、一時休業していたが、おばさんと2人で営業再開。すると、そこへ銭湯組合に紹介されたという、井浦新演じる堀がやってくる。
この話、ラブコメかと思ってたのに全然違ってました。真面目な話で、スクリーンは対面の会話ばかり、それも本当の気持ちや事実を話さない人ばかりのせいか、会話の内容が中途半端で、メリハリ無し。あ、何か話すかと思ったら、シーンが変わってしまう繰り返し。ずっとモヤモヤ。旦那は何故?堀は何故?かなえは何故?伏線回収がなくはないんだけど、半分も納得できなかった。最後も、こんな終わり方!?ま、リリーフランキー演じる探偵はソコソコ楽しかったけどね。
ちょっと
だらだらしてるなぁ、ここ2、3本とのキャストかぶりもちょっと・・でもリリーさん最高! あと真木よう子さんは新鮮、ちょっとコメディ成分も有って良かった。原作はコミックだそうで、思いの外静かだし、難しいなぁ。
これまでのこと、これからのこと、薄日が差してくるような静かな希望
セリフも音楽もそれぞれのカットも、物足らないと言えば物足らない。つまらない、というのではなく、どれもこれも素材としては抜群なのに、何もかもが塩をかけたくなるほど薄味で慎ましやかなのだ。
過剰な演出とは無縁(リリー・フランキーの探偵さんだって、あれほど面白いのに、雰囲気はあくまでも、ふんわりとしている)。
それなのに鑑賞後は、これまでの人間関係のあれこれ、特に配偶者との関係性に思いを馳せることになる。
オレは妻のことを本当に分かっているだろうか。
分かろうとする努力をしてきただろうか。
こういう人だ、と自分にとって都合の良い解釈で決めつけていないだろうか。
(職場の同僚や友達には、実際以上に〝怖い妻〟として印象づけて、付き合いを断る時の理由にしてますが、それとこれとは別のこととして🤭)
来し方(つまりこれまでの接し方)については、ほろ苦さを感じるとともに、行く末(リタイアから死ぬまでの長いのか短いのか分からない老後の生活)については、まだまだやれることはたくさんあるかもな、と相手を思い遣る時間があることに気付かされ、暖かい気持ちになりました。
もし、製作側がこの映画を、〝泣かせ〟狙いでいこうぜ❗️
と安易に流れて作ったのならば、どのシーンも、もう二言三言会話を加えたり絡ませたり、或いは、ハグや泣き顔などの肉体的な感情表現を演じさせたりしたと思います。
敢えて、それをしないさせない脚本と演出に徹し切った監督やスタッフの覚悟と実力を心からリスペクトします。
自分のことすらよく分からないのに、人のことが本当に分かるのか?
いわゆる〝自分探し〟に迷ったり、時間を使ったりするくらいなら、まずは、身近な人のことについて、分かっているのか、分かるとはどういうことなのか、と
立ち返ったほうが、きっとたくさんのことが見えてくる。
ありふれた日常に、静かな希望が満ちてくるような素敵な映画です。
嘘なのか、本当なのか、そもそも本当のことを知っているのか?
嘘をつく。
本当のことを知っている。
嘘は本当でも良くない?
嘘のままが都合がいい。
あれ、本当って何なんだろう?
本当のことを知っているのか?
そんなことを考えさせられた映画です。
役者さんがいいので、時間を感じさせないで鑑賞できました。
出てくる人が皆いい人です。
皆まっすぐな人です。
だから、嘘と本当を真面目に考えさせられた。
あの二人には幸せになって欲しいです。
いや、幸せになれます。
あれ? 幸せって何なんだろう。
幸せと感じることが、幸せである。
本当と感じることが本当で良くない?
「私は嘘つきです」
という言葉は言えないことになっています。なぜならば、嘘つきは嘘をつくので「私は正直です」と言うはずですし、正直者はもちろん「私は正直です」と言うはずですから。
井浦新さんは、今までずっと苦手でした。(できれば出演している映画は見たくないくらいには) しかし、この映画の井浦さんは、よかったです。(これはほんとです)
真木よう子さんは少しふっくらとなっていたように思いました。(これもほんとです)
最初の話にもどりますが、実際には嘘つきは常に嘘をつくわけではないので、嘘つきが「私は嘘つきです」と言うことは普通にありえます。(正直者は決して嘘をつかないわけですから、正直者は常に「私は正直です」というのはまちがいないでしょう)
タイトルなし
しょっちゅう暗転するのは、今泉監督だからかと思った。
瑛太さんはこの手の役が多すぎかな。でも、他の監督だともっとうまく使える気もする。少し単調。
よう子さんは、先日、NHKの番組見て、極度の天然だと知り、動物的な勘で演技して、人にグイグイ入って行くんだろうなあと思う。リリーさんとタイを張ってる感がすごい。
リリーさんは、カラオケシーンが一番良かったんだけど、今日はアナログのマスター見たあとだったので、ちょっとつらかった。無償で仕事してあげちゃうあたりの描き方はすごい。喫茶店のナプキンを名刺代わりとか、今泉さんじゃないと書けない脚本? この、最初のリリーさんの感じと、最後にコーヒー運んでくれる感じの(しかも海の見えるサイコーの店を貸し切りで借りてくれたり)多重性は、リリーさんでないと演じられないかも。
井浦さんが泣くところで終わるあたりは、今泉さんの根性のなさかな。いつも描ききらないし。
今回の映画の優れているところは、幼い頃の友達の犯罪被害に同化した主人公の、精神分析的な表現にあるんだろう。私を殺してというセリフは本当に難しい。でも真木よう子ならやれる。しかも、それでも、強さがある。とはいえ、物語の主人公はもう少しナイーヴなのに、真木よう子さんは強すぎる。他の映画のよう子さんはもう少し女っぽく描かれていたりもするので、今泉さんの趣味か。
探偵と会うとき、とびきりおしゃれして来るあたりがちょっと何なのかなと思ったり。
井浦さんは喋らないで演技する人だと思う。犬を撫でるシーンとか。タバコ屋のおやじもサイコーだ。
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