赦しのレビュー・感想・評価
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証人、法曹など関係など関係者の多い裁判劇だが、殺人を認めた被告・夏奈の心の奥底に迫る佳作
映画「赦し」(アンシュル・チョウハン監督作品/98分/日本/配給:彩プロ、3月18日より[土]よりユーロスペースほか全国順次公開)。 17歳の時にクラスメイトを刃物で刺し殺し、殺人罪で懲役刑20年に服役している夏奈。7年後、弁護士の勧めもあってか、夏奈は殺人罪の罪状に不服はないが、初犯の未成年に情状酌量もなされず懲役20年は長すぎるとして事実認定不当の再審請求したところから物語は始まる。判決確定後も愛娘の喪失感から酒浸りの日々を送る被害者の父親。そんな夫・克と離婚し、少しでも前に進もうと再婚している母親・澄子。父親は、夏奈を殺人者として恨み続けている。母親は、事件を忘れることはできないが複雑な心境で証人席に立つ。澄子の再婚相手は、再審からの澄子の行動に戸惑い、困惑させられる。監房で今も事件当時の自分を夢に見る夏奈。再審の進展を有利にしようと努力する弁護士。それぞれの複雑な想いが綾を成し、緊迫した空気感へと展開する裁判劇。
本作の主役としては克と前妻・澄子になるのでしょう。ですが、物語の核心は服役7年を経て心の葛藤をとおして自分に向き合った夏奈の現在(いま)です。自分の行動を悔いる想い、懲役刑を全うしても再審請求が認められて釈放されても、自分は何のためにどう生きるのか…。裁判と刑期、罪と罰、悔悛と赦し…。重たい心の動きを、少ないセリフながら夏奈役の松浦りょうの演技が、独特のリアルな感性で語っています。
フライヤーと予告編に聖書のマタイによる福音書6章15節の一節が掲げられている。監督・編集者のチャレンジングな問い掛けが、観る者の胸に迫ってくる佳作でした。
公式サイト https://yurushi-movie.com/
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