赦しのレビュー・感想・評価
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いじめに繋がる様々な事を考えさせられる
いじめの原因にも無数のパターンがあるにしろ、親、環境等の見直しで未然に防げる事が多々あるし、今後の学校等のいじめも何かが起きる前に対処していけたらいいなと思わせられた作品でした。
、、と同時にどうにもならない事もあるのも現実なのだとも。。。
償うとは何をすることなのか、時に感情を持ち出す裁判制度とはなんなのか。
女子高校生によるいじめが原因の殺人事件の裁判を描いた映画。被告人の女子高校生は殺人罪で決定し7年目が経過。当時未成年ということもあり弁護士の説得から釈放を要望するも、殺された現在離婚した夫婦はそれを阻止しようとする。法律に則りながらも、結局は人間としての感情や倫理観により進行していく裁判。いじめによる殺人は一つの殺人罪としては強盗などとは別の角度で考える必要があり、その償いはあまりにも広い意味合いがあり着地点がかなり曖昧であると思う。もちろんどんな理由があれ殺人は行ってはならない。この法だけは絶対なのだ。
赦し
細かい部分、否、物語の根幹を成す部分に???な所はある。観る人によっては、そこが気になって仕方がない向きもあると思う。しかし、敢えて私はそこに目を瞑りたい。
決して交わることのない、加害者と被害者の目線。そこに真正面から挑もうとした姿勢は好ましい。驚くべきは、MEGUMI演じる被害者の母の心情の揺らぎ、振幅の激しさである。それをもれなく表現する彼女の卓越した演技には目を見張った。
正直言って、加害者へは「罰」のみを与えればよいのか「更生」に重きを置くべきか、私は答えを出せずにいる。カツは一度は加害者を刺し違えようと決意した。なにが更生だ!? しかし彼にはできなかった。ここで事を成し遂げて何になるのか? やりたらやり返す。加害者と同じではないか? 短い時間、加害者の謝罪の言葉は殆ど耳に入っていなかった筈だ。
刺し違えようとした、は私の解釈の間違いかもしれない。 カツは、ただ己の怒りを噛み殺す為にガラスの破片を握りしめたのだろうか?人を殺害する心と体の痛みを実感したかったのか?
それはタイトル通り「赦し」なのである。カツは加害者を赦す事で自らの心を晴らした。いや、いくら泣いても、悔やんでも娘は還って来ない。忘れる事しかない。カツにとり加害者を赦す、赦さないなど、どうでも良い事になったのだ。
興味深い作品。犯罪被害者と加害者の双方の傷をあぶり出す演出。
前から気になっていた作品で、見応えありました。
娘(当時17歳)を同学年の少女(夏奈=松浦りょう)に殺された
両親(尚玄とMEGUMI)
7年後の再審で、当時の苦しみが蒸し返され
またもや心の傷を抉られる話し。
見応えある映画でした。
監督は来日10年以上になるインド人監督のアンシェル・チョウハン
(38歳)
写真を見るとかなりのイケ面(ポートレートが如何にも写真家が撮影した、
と分かる斜めから写した・・かなり顔に自信ありそう、余談)
外国人(インド人)が撮った映画とは思えないリアルさがある反面
ちょっと違うなぁ、とのリアリティのなさの二つを同時に感じました。
再審が進むに従って次々明らかになっていく事実。
★母親は事件後に離婚して、既に再婚している。
(一応の心の整理は出来ている・・・)
★父親は今も娘の死に心の整理がつかず、酒浸りの日を
送っている。
そして3つの新事実が明かされる。
❶両親がそれぞれ加害者・夏奈の母親から高額の賠償金を
受け取っている事。
❷賠償金を払ったのちに、母親は自殺している事。
❸更に夏奈の告白。
・・・実はクラスメイトから酷いイジメにあっていて、その主犯格が
・・・殺された娘・恵未(成海花音)だった事実、
・・・の3点が明らかになる。
ここでリアリティがないと思った点。
❸のイジメの主犯格が娘の恵未?
これは7年後に明かされる事実とは思えない事。
夏奈本人が隠していたとしても周囲
(学校・生徒への聞き込みを警察はする筈だし、
今日日のSNS警察が騒ぎ立てて、隠せる事実では無いと思います)
(SNSの反響は敢えて隠す脚本なのかも?)
❶の賠償金を受け取っていた事実。
それなら民事裁判で両親側が勝訴して受け取った・・・か、
あるいは民間の弁護士を立て交渉したか?
なので、母親の自殺を知らないのはあまりに不自然だと思う。
❹7年前に出された判決=懲役20年。
これは少年犯罪として17歳の少女に出される刑期にしては
明らかに重すぎる。
再審の裁判長(真矢ミキ)が血も涙もあるとてもバランスの取れた
人格だったのはとても良かった。
人を人が殺める事の波紋。
加害者家族も被害者家族も家庭を壊され、父親は作家として
書く意欲を失いアルコール依存症になる。
学校だってクラスメートだって心の傷を負っている。
最後に、
主役の加害者・夏奈を演じた松浦りょう。
非常にインパクトのある眼差しで、丁寧語の受け答えと裏腹な狂気や
底知れぬ闇を体現していました。
ただ上品な物腰で、「7年前の私は別人でした」
そう言われても「はい、そうですか。」
と、人の心は切り替わらない。
彼女あっての映画「赦し」だった、とも思いました。
「動機」を後付けにした是非
タイトル通り、非常に難しい問題に焦点をあてた作品
両者の言い分が真っ向から対決しているわけではないことと、事件からすでに7年が経過してしまっている点がこの作品の特徴だと言える。
この少し時間経過したことが、関係者全員に変化を与えている。
特に面白いのが、監督やプロデューサーなどがインド人だということ。
なぜ彼らが日本の法律に関する作品を表現したかったのか、そこが一番気になる。
さて、
殺人事件が起きた。
被害者と加害者はクラスメートだった。
当時の裁判の問題点を突く形で始まった7年後の再審。
争点は当時未成年だったカナに対し20年という刑を下した是非と、その補償。
冒頭から娘を殺されたことで人生が壊れてしまった父と母とその憤りが描かれるが、何故カナがエミを殺したのかという点については触れられない。
これがこの事件の根幹であり、そもそもそこが明らかにされなければ殺人事件の刑期も明確にはできないはずだ。
これについては、カナが当時からずっと口をつぐんできたことになっている。
当時から再審途中までの間、カナの動機は全く触れられることなく、争点ではない単に殺人という「項目」のみに焦点が当てられてしまっていることに違和感を拭えない。
「赦し」
このタイトルにこそインド人監督の思いが詰まっているのは確かだろう。
それをそれぞれの事情と時間によって始末をつけていくのがこの物語だ。
テーマも内容も悪くないが、このカナの殺人に至る動機を途中で挿入してきた点にはモノ申したくなる部分がある。
これは裁判ではどんでん返し的な要素にはなるものの、いまの今までそこに焦点を当てなかったことは非常に考えにくい。
牢屋で眠るカナの夢に当時のいじめの様子が描かれることで彼女の動機がわかるが、まさかそれをずっと言わないでいたとは思いもしない。
加えてネグレクトだったカナの母が、娘の犯した罪の補償をして自殺したという心境は全く理解できない。
主人公はエミの父のカツだと思われるが、彼の壊れた人生と苦しみの代償をその原因であるカナにすべてをぶつけている点がこの物語の起点だ。
思いもしなかった再審などが始まり、再び過去と対峙しなければならなくなった苦悩。
その原因はカナにあると思い込んでいたことが少しずつ剥がされていく。
最後のシーンは印象的だ。
裁判所の前の道
傍聴人もすでにいなくなり、カツは自分の後ろにいる元妻のスミコの足音を聞き分ける。
でも彼は振り向くことなく太くまっすぐな道から左の細い道へ入る。
カツとは一定の距離を置きながらも、その道筋をその通りに付いて歩くスミコ
やがてフレームアウトする。
人生は順風満帆だと思われた。
しかし突然事件は起きた。
二人は人生が壊され彷徨いながら歩く。
エマの事件が解決するまでは、自分自身が納得できるまでは、結局のところ二人は同じ道を歩まざるを得ないのだろう。
カツが法廷で再度手錠を掛けられているカナを覗き見る。
カナの特徴ある目に映るのは、すべてをカナの所為にしてきた自分自身の姿だったのかもしれない。
フレームアウトした後、二人は別々の道を歩き始めるに違いない。
カツは酒浸りの生活にケリをつけた。
そしてスミコは直樹とやり直す決心をした。
結局のところ、
苦しみとは自分で終わらせるしかない。
監督はこのことを言いたかったのだろうと思う。
カツは酒浸ることをカナの所為にしてきた。
その苦悩をすべて彼女の所為にしてそれを生きる根拠に置き換えてきた。
エマにも大きな過失があった。
他人に殺意を抱かせ殺させるほどの過失だ。
特徴あるカナの顔つきは、どこか問題があるように思えてしまう。
いじめられていても不思議はない顔つきだ。
そして、カナの目に嘘はない。
これは物語の現時点ですでに一貫している。
正義という名のもとに補償というお金を窺う大人たちの本音
たまたま始まった再審によってカナは「正義」を押し付けられるが、自分自身の感覚とのギャップを感じる。
でもそれが彼女をこの事件を引き起こした深層心理へと誘う。
7年間で学んだこと
人と付き合うということを知らないでいたこと
やってしまったこと
取り返せないこと
もう一度自分が起こした事件を考えて出したことがスミコとの接見
謝罪と生い立ちと「人との付き合い方を知らなかった事」
話の途中で席を立ったスミコは、初めてカナの心境に触れ「動機」の一端を垣間見てしまった。
それは彼女の顔つきを見たときからすでに頭のどこかにあったのだろう。
「いじめ」
スミコが高校生だったら、きっとあの子をいじめている。そう思ったのかもしれない。
ただ、事件を起こした犯人としてしか見てこなかったことに対する「恐怖」
やがてカツも同じような心境へと変化したのだろう。
グラスの破片を袖口に忍ばせてエマの敵に一矢報いたいという思いが、寸前で思いとどまる。
河原はあの現場
娘と同じようにそこで血を洗う。
それが彼の赦しの象徴
若干わかりにくいところがあるがいい視点で作品を作ったと思う。
キャストが気になった
いくつかのレビューにもありましたが、キャストが気になりました。
尚玄はハーフかと思うほどに彫りの深い顔立ちの男前ですが、演技は上手いとは言えないだろうし、どうもこの役には合わないような…。
MEGUMIに藤森慎吾も、良い演技してたと思うのですが、なんかしっくり来ない。
キャストが違えば、映画の雰囲気はガラッと変わっただろうなと。
当然の事ではありますが、こう思わされた作品でした。
また裁判傍聴に行きたくなった。
昔、裁判の傍聴に時々行ってた。
そこにはリアルなドラマが有り、この映画でその記憶がよみがえる。
『コントラ KONTORA』が国内外の映画祭で注目を集めた日本在住のインド人監督アンシュル・チョウハンの長編3作目で、善人が出てこないと感じる法廷物。
また裁判所に行こうか?
娘はまだ生きている
2023年劇場鑑賞22本目 良作 61点
2021年の空白のような作品
空白は、娘を亡くした父と直前にコンタクトを取っていた店員とそれを取り巻くメディアと周囲の人々の構図で、今作は同じく娘を亡くした父と殺人犯の娘の同級生と元妻と現旦那と弁護士が少しの構図
空白に比べると、同級生側につく人や描きが少なく、如何にして娘を失った父と元妻が踏ん切りつけて前を向いて生きていくかのストーリーなので、必然的に構成が父よりになる
まぁ同級生の殺人に至る動機もドラマとしてありきたりながら理解できるし、全体の内容とそれぞれの心情や理屈は何回も擦られたような感じだから、映画鑑賞歴が長くない自分でも、真新しさを微塵も感じなくてお話的にも面白くない
演技もわざとなのか、そういった役者さんなのか定かではないが、主演の父役の棒読みと、コントのような腕の振り被りなどが鼻について上手く集中できなかった記憶です
こういった話は擦られに擦られただけに、捻りが欲しかったです。がしかし父の心の中には娘はまだ生きていて、それに一回蓋をすることを赦すということなのでしょう
こういった邦画ミニシアターの考えさせられる作品が好きなので、期待していただけに残念です
赦しとは
いじめられていたカナは気の毒ではあるが、殺してはいけない。7年服役したからとはいえ、釈放を願うとは、弁護士の思惑があるのか?カナも何故最初にいじめられていた事実を言わなかったのか。
殺された娘の父が面会を求め、直接会った時、彼はガラスの破片をこち込んでいたが、本当はこっそり渡して、自殺しろとでも言いたかったのかなあ?と思ってしまった。
17歳で殺されて7年後。MEGUMIが年齢的に若すぎないか?演技的には問題ないが、ちょっと合わない気がした。
カナを演じた松浦りょうさんは知らなかったが、独特な雰囲気の、目力のある女優さん、彼女の演技力あっての映画かた。
赦しとは、、、難しい。
キャストに難ありかな。
高校生の娘を殺された夫婦の物語。だが、二人は元夫婦。
この事件をきっかけに、別れたという設定なのでしょうが、
こういう夫婦は、壊れてしまう場合もあるけど、より絆が深まる場合もある。
そのストーリーも少しは描いても良かったんじゃないでしょうか。
殺した理由も、終盤になってわかってくるんだけど、
なんで今まで黙ってたの? ちょっと無理があるかな。
一番の難は、キャスティング。犯人の子、megumiさんはがんばってると
思うけど、父親役。初出演ですか? ずっと棒読みなのが
気になって気になって。素人かと思いました。
女子高生が同級生を刺殺。 被害者は一方的な被害者ではなく、加害者に...
女子高生が同級生を刺殺。
被害者は一方的な被害者ではなく、加害者にも事情がありそう。
しかし、被害者の両親にとっては娘を殺された事実には変わりはない。
被害者の両親は加害者を赦せるのか。
特に父親の葛藤は見応えがあった。
判決は懲役20年から1年に変更。
加害者は既に7年間服役していたから、6年間余計に刑に服していたことになる。
それに対する補償が一切ないというのはそれでいいのか。
殺された女の子の父親がややお酒に溺れてる設定なんだけど、部屋の一番...
殺された女の子の父親がややお酒に溺れてる設定なんだけど、部屋の一番目立つとこにCINZANO(イタリアの養命酒みたいなお酒)のポスターをおしゃれな感じで貼ってるにの笑ってしまった、酒乱キャラがもし部屋にいいちこのポスター貼ってたらやっぱ笑いどこかなっておもっちゃうし…
あと父親の葛藤が「娘がそんなことしてしまったのか(受け入れ難い)」ではなく真っ先に「娘は絶対にそんなことするはずない」っていうある種おめでたい親心でちょっと呆れてしまい感情移入できず
裁判モノとして見る映画
娘を殺された元夫婦が、娘を殺した犯人である娘の同級生の裁判に挑む話。
重いテーマの割にすんなりと見られたのは、裁判シーンが多いからか。
MEGUMIも藤森も良かった。
ただ尚玄のセリフが、どうしても片言の日本語っぽく感じてしまうのは残念。
そこのキャスティングが一番重要やないの?
もう少し、なぜ娘は殺されたのか?イジメは本当にあったのか?というところでドキドキしたかった。
「本物の裁判物」
今年127本目。
最初の夫婦2人登場で面白いの確定と感じました。裁判の映画たまに見ますがここまで本気の裁判物初めて。女子高生殺害をテーマに原告、被告、特に弁護士のやり取りが凄い。被告の弁護士が最初憎たらしいのかなと思っていたが彼の演技の上手さにどんどんハマって行く。MEGUMIがキャリアハイの演技。あう言うクールな所、男が追いかけたくなる女性だと思います。
重そうに見えてうすっぺらい
見ていていくつか疑問が沸いてその疑問が疑問のまま終わりました(僕の鑑賞力がないことも原因です)
①加害者はもとの裁判でなぜいじめのことを話さなかったのか、そして、7年たってなぜ話す決断をしたのか。心の動きが全く分からない。
②藤森さんが家族を失った悲しみを理解できると言っていたが藤森さんは過去に何があったのか、そして、MEGUMIさんとどういう経緯で結ばれたのか。
③いじめがあった裏付けはどうやってとったのか、加害者の供述だけで認定するはずがない。いじめについて軽く扱いすぎでは?
その他、司法考証ちゃんとしたのでしょうか。
もちろん裁判を忠実に再現すればいいというわけではありませんが、あまりにも現実からかけ離れていると大きな違和感になります。
ベテランっぽい弁護士のバッジが若手弁護士ばりにピカピカに光ってるのは明らかにヘン。
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