オットーという男のレビュー・感想・評価
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今の自分にカオスは要らない?のかなぁ
この題材、このキャラクターならこう書くんだよ。
という、まるで脚本家養成所?の見本のような作品。
分かっちゃいるけど、まんまと笑って泣いて、最後にまたほろりとさせられる。
①小うるさい頑固者(面倒くさいけど、概ね言ってることは真っ当)
②化学反応を起こすに決まってる天然系の明るくお節介な隣人
③クセツヨだったり、事情はありそうだけど、根が良い(心の腐ってる人ではない)と分かるご近所さん
④多様性、ジェンダーなどの要素もキチンと用意
⑤富裕層の高級住宅街のような別世界の話にはしないけれど、それなりに民度の高い(この言葉自体、意味が曖昧で解釈の幅が広いのですが、ここでは一定のルールや公共性が維持されているという意味)コミュニティーを背景として用意。
冷静に考えたら、毎朝街の見回りをするなんて本当は素晴らしいボランティア活動です。この利他的精神も亡くなった奥様が、うま〜くコントロールしてやらせたのだと思います。
無愛想で、口うるさいのも、街の人に善意を押し付けてると思われないないような照れ隠しにもなるし、この辺も奥様が旦那さんの性格をうま〜くコントロールしたのでしょう。
こんな奥様が、あなたは生きて❗️と背中を押すのですから、そりゃあ、いい話になります。
フェイブルマンズとこの映画に素直に感動して、エブエブ⁈がまったく刺さってこない。
ということは、今の自分はかなりの安定志向で、現状を破壊するようなハチャメチャな混乱やカオスなどは求めていない。
それだけ、現状に満たされている、ということなのかもしれません。
ありがたいことです。
【以下、追記】
そういえば、20代の頃の自分は、村上龍さんの『コインロッカー・ベイビーズ』や『愛と幻想のファシズム』が大好きで、今ならそれテロじゃんと簡単に括られてしまいそうですが、体制が大事にしてる何かを破壊する……破壊する行為自体にとても重要な意味があるような気がしてました。
小説や映画は、当時の若者の一部(多かったのか少なかったのかは分かりませんが)にとっては、ある種のガス抜きでもあったのだと思います。
実際は何も壊してないし、その後の社会人生活やバブルの間にすっかり体制に守られる側の一員になりましたが。
今は、若い方々も政治的には保守側という方が大勢を占めているし、大衆民衆の不満も、政府を倒せ❗️という方向には向かわず、政府が守ってくれない‼️とむしろ駄々っ子のような感じです。駄々っ子なら、そのうち疲れて泣き止むさ、と政府もたかを括ってればいいのですから、そりゃ緊張感がなくて、あまりにも迂闊な失言をしたり、お金に公私の区別がつかなくなったりするわけですね。
閑話休題(それはさておき)。
オットーは、頑固者というイメージが先行してるだけで、やってることはまともだし、親切。
偏屈な人は男女年齢を問わず、いるわけですが、高齢男子だと思うどうしても頑固ということで括りたくなる傾向がある。他者のペットの糞尿処理やゴミの分別におけるマナーの悪さにムカつく人が女性だったら、頑固とは決めつけずに、ルールやマナーにキッチリした人なんだな、と思われるだけで、その人をちゃんとした人だと思うか、うるさい人だと思うかも人それぞれ。
つまり、オットーが、愛想が良くて、人を注意する時も穏やかであれば、メチャクチャ素晴らしく得難い人なのです。
というわけで、日本の中高年の男性は、みんな愛想の良いオットーを目指すといいかもです。
私は今日から心掛けていくことにします。
最愛の
優等生的に全方位に良く出来てる
原作…というかスウェーデン映画の方は観ていないので比較は出来ないが、本作は抜けやら漏れやらなく、全方位にキチンと配慮された優等生的な秀作となっている。
作劇としても非常に丁寧で、オットーの「やろうとすること」とそれを邪魔する出来事、それがもたらす新たな結びつき、と丁寧に積み重ねられてゆき、それが彼を「ここ」に繋ぎ留める。
ジェンダーや人種の配置とそれが持つ意味合いへの配慮も入念で、百点満点的に良く出来ているだけに逆に突き抜けたエモーションに繋がらないのでは、とすら思えてくる。
そういうのはある種バランスが悪い映画の方が持ちやすかったりするもんだから…
配役も含めてまったく隙がないんだが、この監督、過去作を観てもそれ程でもなかった認識。とすると、トム・ハンクスとともにプロデュースをつとめる彼の妻リタ・ウィルソンの果たすところが大きかったのかな、と邪推…
いや、良い作品が出来るのならなんでも良いんですが…
マリソル役のマリアナ・トレビーニョさん、最高でした。
彼女でなければオットーをこの世に繋ぎ止められなかったのでは、と思わせられます…
やや堅めの邦題とキービジュアルですが、
話の軸はシンプルでポピュラーだけど
くそじじい
くそじじいは嫌いだ。
観ているだけでむかついてくる。
だが、同時にどこかでシンパシーも感じてしまう。
・人間関係は面倒でバカどもと付き合うのはごめんだ。
・規則を守らない連中には腹が立つ。
・他人の家の前に糞尿をまき散らす愛犬家にはうんざり。
・でも、どこかで真のつながりはどこかで欲している。
・妻を心から愛している???
何と言ってもマリソルが効いている。
こういう無神経なようで実は心優しく思慮深い女性は良いね。
予告編からは老いらくの恋?かとも思ったが、そのような要素は微塵もなかった。
逆にその方が良かった。
で、何となく最近どこかで観たような・・・・既視感が・・・・
もう歩けない男のロシア人女性だ!
男を変えるのは恋人じゃなくても女性だね。
亡き妻への想いも心に染みた。
言葉少なながら、いやだからこそ一層胸に迫った。
だから、老いらくの恋は全く不要だった。
私も自分のためだけには生きられない。
護るべきものが必要なのだ。
ラストは悲しむべきものだろうか。
護るべきものができて生きる意義を見いだして、
そんな中他人に思われながら迷惑をかけずに静かに去る。
しかも最愛の妻の元に。
至福の最後に違いない。
ソーニャという女 & マリソルという女
本作は「幸せなひとりぼっち」という作品のリメイクらしいですが、そんなことは全く知らず、トム・ハンクス主演で予告もおもしろそうだったので鑑賞してきました。期待を裏切らない出来ばえで、終盤は何度も涙してしまいました。
ストーリーは、曲がったことが嫌いでルールを守らない者を捕まえては厳しく説教する、町一番の嫌われ者のオットーが、妻も仕事を失って自ら命を絶とうとしていたとき、たまたま向かいの家に引っ越してきた家族と出会い、中でも陽気な女性マリソルとの交流を通して、もう一度生きる意味を見出すというもの。
まずは自己紹介がわりに、冒頭からかなり癖のある面倒なオヤジとして描かれるオットーが、なかなか個性的でおもしろいです。言ってることに間違いはなくても、この態度では煙たがられてもしかたがない…と思っていたら、なぜかご近所からは親しげによく声をかけられます。一見すると偏屈に映る彼の本当の内面、また彼がこうなった経緯を、町のみんなはよく知っているからなのでしょう。実は本来のオットーはこんな男ではなかったことが、ここからわかります。
ネタバレになるので多くは語れませんが、本作は壊れた男の再生の物語です。オットーの人生に最初に彩りを与えてくれた最愛の妻ソーニャ。彼女を亡くしてモノクロとなった彼の人生に再び色を与えてくれた陽気なマリソルをはじめとする近所の人々。これらの人々のおかげで、オットーは幸せな人生を送れたのだと思います。でも、それは単に周囲の人々が優しかったからではなく、彼自身の人柄が引き寄せたものです。素っ気ない態度ながらも何度も面倒を見たマリソルの子供が描いたオットーの絵は、その象徴のようでした。
もはや日本でも希薄となったご近所付き合いですが、本作ではその温かみを改めて感じさせてくれます。心に空いた穴を自分だけで埋めるのは、なかなか難しいものです。頼れる人がいる、頼ってくれる人がいるというのは、誰かと繋がっている証です。そんな人がいるのは、実はとても幸せなことだと気づかせてくれます。
主演は名優トム・ハンクスで、文句のつけようのない名演です。脇を固める俳優は知らない人ばかりでしたが,どの役も上手くハマっていて、作品を盛り立てています。
オリジナルが好きだったが
こんなに愛されて幸せだなぁ
素敵なハッピーエンドなんだけど、悲しくて泣ける映画。 本年度ベスト!
予告編から推測されるストーリーだったけどオットーがそんなに嫌な人じゃ無い(笑)
そしてラストで泣かされるとは全く予想も出来なかった。
妻に先立たれ仕事も定年となり、妻の元へ自ら旅立とうとするオットー。
何度も試みるも周りに邪魔され妻の元になかなか行けず(笑)
真面目な性格から周りから煙たがれるものの何故か憎めない。
近所に引っ越してきたマリソルの家族。
お節介な感じのマリソルと交流を深めて行く中、オットーの気持ちに変化が生まれる展開が良かった。
これに加え、仲違いした近隣の人やトランスジェンダーのビラ配り、そして野良猫との関係が変化して行くのが印象的。
オットーの現在と過去の出来事が水平して展開するストーリーが良かった。
ラストが呆気ない感じなんだけど、オットーが残したメッセージに泣ける。
ラストは泣けるけど幸せを分けてもらった感じの素敵な作品だった感じ。
オリジナル版があったと観賞後に知る。オリジナル版も観たくなりました( ´∀`)
「君を想い、バスに乗る」を思い出してしまい、、、
妻を失った夫の哀しみ、回想シーンと現在の心理状況・出来事とがパラレルに明かされていく構造、あずかり知らぬところで主人公が遭遇したハプニング動画がSNSでバズってしまうところとかがいろいろと「君を想い、バスに乗る」に被るような気がした。比較すると、一つ一つのトピックスがあまり必然性や因果関係なく付け足されていく感じがして今一つのめり込めなかった。何度も試みる自殺も狂言ぽくて、同情できず。シリアスなのかギャグなのか、脚本の軸がわかりにくい感じ。(現代アメリカ社会の問題点を詰め込みすぎ??)
「今度のトム・ハンクスは嫌われ者」みたいな予告が盛んだったけど、もともと彼なりに地域に溶け込んでいたと思う。かたや日本のリタイアおじさんたちは、嫌われてはいないにても地域の見回りなんてしない人の方が多いんじゃないかな。
男女逆転でこの手のストーリーは成立しずらいように思うけど、それは私がジェンダー的な固定観念に染まりすぎてるのかしら、、、とか、まあいろいろと考えさせられる意味でも良作であったのだろう。
アブエロ・オットー
妻に先立たれ死にたがる頑固ジジイが向かいに引っ越してきたメキシコ人家族との交流で変わって行く話。
曲がったことが嫌いで地域の見回りをし、頑なにルール違反を咎め嘆く爺さん…どうみてもロープはあんたが間違ってるけどね。
そんなオットーのお向かいに少しトロい旦那と2人の娘とバカじゃない妊婦のメキシコ人家族がやって来て始まって行くストーリーで、概ね「幸せなひとりぼっち」と同様の展開だけど、演出の違いか、トム・ハンクスだからか、どうも疲れた偏屈ジジイという感じが余りなく、ハキハキ快活な男という感じがしてしまう。
つくりもこうすれば感動するんだろ?的なアメリカ映画という感じが滲んでいるような…とはいえ、これもメチャクチャ面白かったけど。
個人的好みの問題だろうけれど、自分はスウェーデン版の方が好み。
あの猫ちゃん、妻の生まれ変わりじゃね。
トム・ハンクス演じるオットーは会社を退職して、自宅の電話や電気などを解約する。何でそんな事するんだと思ってたら、自殺する為だったのね。半年前に妻を亡くして生きる意欲が無くなり死を選択していたのだか、出会った頃の妻を思い出したりして、生きる事の大切さを考える。そんな時、隣に引っ越してきたメキシコ人家族。ユルユル旦那にキレキレ奥さん、可愛い娘2人。外国に住み始めだからいろいろあるよね。そして昔からの友達夫婦。前は仲良かったのにある時から対立中の旦那。
話としてはでかい事件のないご近所付き合いがメイン。退屈と感じる人も多いんじゃないかな。でも自分的にはオットーの性格がカッコよくて楽しかった。毎日、パトロールをして分別ゴミを整理するなんて偉い。頑固な感じのトークだけど優しさと誠実さが伝わってきます。トム・ハンクス、流石です。フォードとシボレーの対立も面白かったし、トヨタが出てきたのも楽しかった。なにより猫ちゃんが可愛かった。最後は予想通りでウルッ。エンドロールもとても綺麗で良かったです。
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