「希望の無い余生はもう結構、と。そう思った主人公が新たな隣人との交流を通して輝きを取り戻す素敵なお話です。」オットーという男 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
希望の無い余生はもう結構、と。そう思った主人公が新たな隣人との交流を通して輝きを取り戻す素敵なお話です。
観ようかどうしようか、迷っていた作品です。
たまたま観られそうな時間に上映していたので
これも何かのご縁と言うわけで鑑賞しました。
で
観て良かった。ホントに。
良い作品を危うく見逃すところでした。
◇
一人の偏屈じじい(…失礼)が長年勤めた会社を
退職する場面から始まります。
技術屋の管理者として長年活躍してきたのだが、
その頑固さと人当たりの悪さから
会社の中で次第に疎んじられるようになる。
仕事の内容も、長年携わったものから変えられ
かつての部下が上司になってしまい …と
絵に描いたように「窓際」に追いやられてしまう。
”こんな中で仕事が続けられるか”
半年前,長年連れ添った妻も亡くした事もあり
仕事への熱も失せてしまった主人公のオットー。
思い立ったのは人生の幕引きだった。 …えっ?
ホームセンターで買い物。
ロープや留め具を購入する際に一悶着を起こす。
ヤード単位で売っているロープを
フィート単位で買おうとして無理を通そうとするのだが
「ロープ」にはちゃんとした目的があった。
場面は家の中。
電話を解約する。電気もガスも解約だ。 そして
天井に留め具を取り付ける工事を始める。
ロープの先を丸くし、反対側を留め具にかけて …ええっ
”こんな世とはおさらばだ”
え? え? やんないよね? フリだけだよね?
そう思いながら見つめるスクリーンの中で
イスを蹴倒す主人公。 …やっちゃった!
と、ロープをかけた留め具が天井から外れる
未遂。 ほっ
ほっとしたのも束の間、この後もオットーは
手段を変えては自殺を試み続ける のだが…
首吊りの直前、隣の家への引越が。
メキシコからの移民一家。
夫婦と娘が二人。そしてお腹には三人目。
車の縦列駐車が上手く出来ない夫が気になり
首吊りを中断して駐車を代行してあげるオットー。
それをきっかけに、
人づきあいの悪いオットーとの交流を
積極的に図ろうとする移民一家。 特に奥さん。頑張れ
このオットーという男、今でこそ
偏屈で融通の利かない頑固な男になってしまったが
人情の分からない男では無かった。
隣に棲む黒人夫婦とも
同じ時期に引っ越してきた当初は仲良くできていた。
ささいな理由で起きたすれ違いが
今では大きな溝となっているのだが…
この黒人夫婦の家をめぐって
悪徳不動産が地上げを目論んでいることが分かる。
どうにかしてその企みを阻止したい。
その想いで周りに強力を呼びかけるオットー。
そして…。
◇
最初から最後まで、ムダと感じる場面が
一つも無かったように思います。
それなのに、
話を詰め込み過ぎという窮屈感も受けません。
そう感じるほど、ストーリー展開が匠で
過去のシーンの振り返りを交えた全体の構成も
なかなか良かったです。
次第に明かされていくオットーの人生には
共感しっぱなし。
最後まで引きこまれたまま鑑賞しました。
観て良かった。
満足です。
◇あれこれ
自動車メーカー
フォード⇒ フォード⇒ フォード⇒ フォード
シボレー⇒ シボレー⇒ シボレー⇒ トヨタ …ありゃ
フォード好きなオットー
シボレー好きな隣人がトヨタに乗り換えたことが
仲が悪くなる原因の一つだったようで…。
分からなくもないですが、困ったものです。
メキシカンレスラー
ミル・マスカラスを始め
覆面レスラーがたくさんいた気がします。
みなさん空中殺法が得意なイメージ。
OTTO
線対称になるスペル。
英語圏では珍しいのでしょうか はて。
※日本語だったら「山本山」とか「竹藪焼けた」(←違う)
◇最後に
オットーの周りに現れたネコ。
何度追われても逃げないし、
ベッドの奥さん側に乗って寝るし で、これは
オットーの事が心配な亡くなった奥さんが
このネコに乗り移っているのでは? と
そんな風に思えてなりません。
※ノルウェー・ジャン・フォレスト・キャットでした♡
北欧のとてもモフモフな猫です。 …ああ 触りたい
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
こんばんは♪
共感コメントしていただきましてありがとうございました😊
偏屈じじいとのご縁、もっと続いて欲しかったと思える作品でした。 世界のトヨタなので仕方ないですね。🚙
またレビューを楽しみにしております🦁返信お気遣いなく🌹
ペットショップで抱っこしたことあります。
喉を鳴らすと振動が伝わってきて癒やされました。映画の中でも亡くなった奥さんや飼い主を愛し続けていたと思いました。レビューをありがとうございます❀