「プリキュアから子供達へ伝えたいこと」映画プリキュアオールスターズF ゆず柴さんの映画レビュー(感想・評価)
プリキュアから子供達へ伝えたいこと
プリキュアが戦う意味、地球をどうにかできてしまうほどに強大な力をもった存在がわざわざプリキュアもどきの姿となり、自ら作り出した敵もどきを倒していることの意味。どちらもそれ相応な感情を伴う意味があると思いたいところを何とも曖昧なワードで片付ける。
プリキュアが戦う理由はシンプルな感情からくるものだからこそ熱くさせられた。ふたりはプリキュアの2人なら、またはあのプリキュアなら、ヒーロー云々言う前に体が勝手に動いてしまうだろうと想像できる。
何度ぶっ飛ばされても、絶望に打ちひしがれても、覚悟を持って立ち向かう女の子達。日常の悩みからシリアスな苦しみにも逃げずにクリアしていく姿に親子ともども勇気と元気をもらえた。
人間味のある個性的なキャラクター達は可愛いだけじゃおさまらい魅力がある。ボロボロになっても立ち上がる姿に胸が熱くなり、応援せずにはいられなかった。
敵もまた魅力的。プリキュアとの関わりや戦いの中で苦悩したり救われたりと憎みきれない。
そんなプリキュア作品らしさ、オールスターズらしさは継承されていないことを思い知った。
シュプリームがプリキュアと関わる中で気づきや葛藤する描写も、プリキュア側から敵の心理に迫る場面もない。最後までプリキュアとの対話はないままに、自ら悟る物分りの良さ。
自らが消したはずのプリキュアと再会していることに戸惑いや疑問の様子もない違和感。プリキュアの実体は消えても想いは残りビジョンとして表現しているようであるが、既に実体化しそこにいるプリキュアが自らのビジョンを懐かしげに見るサマはどう捉えたら良いのだろう。
子供向けだからこそ、筋の通ったストーリーと真っ直ぐなメッセージをプリキュアを通して伝え続けて欲しい。