丘の上の本屋さんのレビュー・感想・評価
全100件中、1~20件目を表示
ページをめくる音
古本屋、古書店はとても楽しい。
そこにある本には必ず元の持ち主がいる。
読んだかどうかよりも、それを手にすることとなった経緯が気になる。
読みグセがついていたり、背表紙が傷んでいたりページがけばだっている本を手にすると漂流物を拾ったかのような気持ちになる。
図書館でも同様の気持ちになることがある。
リベロとエシエンの交流や店の佇まいがステキな作品ではあるが、この作品で一番ステキなところは「この続きが気になって仕方ない」気持ちをページをめくる音とともに思い出せるところだ。
ここ数年、地方にいくと素敵な図書館が増えていて立ち寄ることが楽しみになっている。
新しい図書館のスタイルも素敵だし、昔ながらのスタイルだって捨てたもんじゃない。
読みたい本を探すのも楽しいが、お気に入りの本を誰かが読んだ形跡があるかどうか確かめるのが好きだ。私が昔に書いた手紙を誰かが受け取ってくれた気分になるから。
レビューし忘れ作品 良い映画でした
リベロとの読書会 君なら死ぬ前に 最期に どんな本を大切な人に託すか
····持ち主が代わり
新たな視線に触れるたび
本は力を得る
(『風の影』カルロス・ルイス・サフォン)
映画が始まってじきに提示された名言だ。
なるほど、そのような視点は持っていなかった。これは古書を扱う人間ならではの逆説だろう。古い書籍自体が生命を持ち、所有者の間を転々とする毎に読み手の力を吸収して、人間をば感化させる歴史の重みを積み増してゆく。そうして本が更に力を得てゆくのだと。
未読だが、その「風の影」の骨格を下敷きにしてこの映画も作られているようだ。《古書店の少年と謎の経歴の老作家が出会って時空と国境を超えた本の世界を旅する内容》、だとのこと。
本作の舞台としては、「パソコンでの検索と通販取り寄せ」は普及はしているが、スマホはまだ氾濫していない、という感じの時代設定。
良作だった。
コンセプトとしては、恐らく本好きの少年たちを対象とした学習教材風の作りで、その制作に当たってはUNICEFも応援してくれているらしい。そしてすべての子供たちが安心して良書に出会える環境をと願っての作品だ。
僕も若い頃は本屋に入り浸り、図書委員を務め、神田の古書店街を歩いたものだ。
書店の乾いたひんやりした空気と、紙の匂い。インクの匂い。そして古本のホコリと黴の匂い・・。
学校の図書館ならば誰がこの本を手にしたのかを「読書カード」の記名から伺い知る楽しみもあった。挟んであった私物の栞や、傍線にも読者に起こった何がしかの物語の痕跡がある。
そして
「本屋や図書館に行くと何故トイレに行きたくなるのか」という研究は読んだ事がある(笑)
本作「丘の上の本屋さん」には様々なお客が出入りする。
カフェのお兄さん、牧師さん、自著への誇りを語る先生、初版本マニア、買い取りで小遣いを稼ぐ男、そしてネオ・ナチもやってくる。
そしてその客のすべてに対して店主のリベロが実に味のある言葉で応じるのだ。
「2500年前にこの本を書いたイソップは君の肌と同じ色のアフリカ人だ」と知らされた時の、エシエンの背中と歩幅に気付いたろうか。
移民の子との読書会は素晴らしいし、選書がランクアップするごとに変わってゆく、店主の期待と少年の成長の表情も見どころだ。
著者との邂逅。ならびに書物によって人生が動かされる瞬間がスクリーンに映る。
(ただねぇ、「星の王子さま」を「天ぷらを触った手」で受け取らせるかなぁ?
あのシーンには アアアッ!と思わず声が出たし、ドン引き。
これ、監督が本をあんまり大切にしない人である事がバレているね。あり得ないお行儀の悪さですから、あそこは大変に残念。
景色も音楽も良いのに、どこかテレビドラマ風の、かつ学校放送みたいな安っぽいカメラもあって、そこ、少し星を減らした)。
でもエシエンのような年代の子たちにとっては、本への興味を沸き立たせてくれるし、本屋にも足が向く。そして本好きの大人たちが世の中にはいるって事にも出会える ―
そうしたエシエン世代のための、シンプルに徹した、しみじみとしたいい映画だったと思う。
穏やかななリベロ。
自身の過去について、彼はまったく語らないが、壮絶なものを経てきているのではないか。ユダヤ人であるとか、父親がパルチザンでナチかムッソリーニに殺されたとか。
そういう人たちはヨーロッパにはたくさんいるのだから。
そして僕はつい最近「星の王子さま」を、引きこもりの女の子にプレゼントしたこともあり、
「最後に贈る本に想いを託す」―という大人たちの祈りも、強く感じた本作だった。
(レビュー有り、ミュージカル版「星の王子さま」)。
・・・・・・・・・・・・・
追記
で、「世界人権宣言」ですか?(笑)
「ところであなたはあなたのお国の憲法は何回読まれましたか? 私は日本国憲法を3回読みました」と語る日本に住む外国の方のエピソードを読んだ事がある。
読んだ? 読んだことある? ちゃんと知ってた?
「どうおもったかね」
「どこが面白かったかい」
「一言でまとめると?」
リベロはそう訊くよ。
たーいーへーんー! (焦っ)
淡々と
特に派手な演出もなく。
淡々と丘の上?の本屋さんの日常は繰り返される。
こんな小さな古書店が近くにあったら通ってしまうな〜と。
隣のカフェにも寄っちゃう笑
厳選?された本のみなのか、在庫も少ないようだけど。
こんな老後は羨ましい。
公園のシーンが何度か出てくるが、やらせっぽいのが見え見えで笑ってしまった。
リベロとエシエンの友情は◎
配信(DMMTV)で視聴。
イタリアの古い古書店で店主の男性リベロと移民の少年エシエンの
古書店内での会話から友情を築くストーリーには感動。エシエンが
本に興味を示す姿にリベロは好感したのだろう。これだけでもこの作品の
目玉。ただ、単調なストーリーは残念だった。
美しい街の景色と、本屋の主人の優しさが心地いい
イタリア映画ってなんでこんなに綺麗なんやろ
まず映像の美しさに惹き込まれた。
あんまりイタリア映画って見ぃひんけど、なんでこんなに綺麗なんやろな〜。
もちろん「イタリアの最も美しい村」のひとつに数えられるチビテッラ・デル・トロントを舞台にしてるからなんやけど。
物語は、盛り上がりもなく、淡々とした古本屋の日常を描いているだけ。
でも、暖かな日差しと細やかな人情に溢れて、いつまでも観ていられる。
ブルキナファソからの移民であるエシエンの子役が表情豊かないい演技をしていて良かった。
彼なくしてこの映画は成り立たへんと思えた。
古本屋の店主がリベロって名前、『自由』という意味なんやから結末は回収できたんかなと…。
『人にとって最も大切なのは幸せになる権利だ』が映画のテーマであることはリベロとエシエンの会話に散りばめられていた。
もう一度、
イタリア映画ってなんでこんなに綺麗なんやろ。
✱映画でリベロがエシエンに貸し与えた本をもう一度読んでみよう。
うふん、UNICEF😁!
なるほどね、“世界人権宣言” こういうクダリか… ふむ😌
美しい感受性を持つ利発な少年エシエン。
リベロは、自身が生きて行き着いた絶対なる希求、“地球上の全ての人々が平和で安全に、生きる喜びと価値を感じられる世界” を、未来に生きる若者のひとり、エシエンに託したのだ。
丘の上の古書店と、お隣のカフェだけが舞台の、善き人々が繰り広げる日常の物語。
リベロがエシエンに貸し与える本のレベルアップ。その過程は、一冊ごとに興味深い。
ただ、最後のタイトルを聞いた時、思わず苦笑い😅
優しい気持ちが余韻に残りました。
いい話
彼が少年にプレゼントした本が何だったか気になったが、多分、当てた人はいなかったでしょうね。私は聖書かシェイクスピアの本かと思った。あまりにも想定外の本であったが、ユニセフが協賛しているので無理はないかな。それ以外についてはなかなかいい話であった。
のどかな雰囲気
なるほど
オチにびっくりして、調べたらユニセフが協賛してるんですね。
全体的にイタリア映画らしい流れで、心地よく見てて、最後にどんなメッセージを残すのかと思ったら世界人権宣言。
確かに大事。しかし、ちょっと唐突感。
まあ、名前もリベロだしいいのか。
ほっとする幸せなおはなし
人生に迷える方にオススメ
小さな村の小さな本屋さんを中心に描かれる人間模様。
主役のリベロは誰からも慕われ、友人が常に訪れる。
彼は詐欺師もファシストも、かなりエキセントリックな趣味の御婦人も、落ち着いて紳士的に対応する。
彼にとっては全ての本も、目の前の人のそれも、等しく人生なのかもしれない。
本が買えない経済状況の移民の少年、少年エシエンに対しては、古本ならでは!本を貸しては返してもらい、それに対して議論をする、ということを繰り返す。
そして最後には、彼がこれから待ち受ける厳しい人生に挑んでいけるよう、世界人権宣言を送る。
主人公、リベロの言葉一つ一つがとても温かくて心に刺さる。
美しい景色にキャラクターの濃い人々、リベロの人生経験。
とても美しい美しい映画だ。
人生に迷うことがあれば、見てみると良いと思う。
Quel film fa piangere.
世界で一番大切な本
謳い文句の通り、美しい風景の中での心温まる作品だった。
主人公のリベロさんがいい。本好きで恐らく友達がいない移民の少年に次々と良書を選んで貸してやり、話し相手となって、本の読み方や生きていく上で大切なことを教えていく。その他の色々な客とのやり取りにもほっこりするし、第二次世界大戦後、貧しい南イタリアから豊かなアメリカへの移民が続いた時代の見知らぬ若い女性の日記をオルゴールをかけながら読んで行くのも良かった。さらに、隣のバルで働きながらちょいちょい顔を出すニコラはリベロさんの体調を気遣う優しい青年で、その恋を応援したり。
でもある日、次の日も営業するかのようにニコラにあいさつをして帰ったのに、書店には閉店の貼り紙TT。ニコラには何も言ってなかったけれども、検査結果を見てちゃんと段取りをしていたのが泣ける。そして、少年に残した手紙で、少年にあげた『世界人権宣言』が一番大事な本だと伝えたことにも感動した。凄惨な第二次世界大戦を経て人々が手にした権利。世界中の誰もー移民の少年もーが持っている権利。ちゃんと読んだ覚えがない私は読んでみようと思った。少年のように移民する必要のない国ばかりになれば良いのに。
やっと今なら良さがわかる
全100件中、1~20件目を表示