シンデレラ 3つの願い

ー　例によって、この映画のフライヤーが手元にあるのだが、そこには”ノルウェー史上、最大の動員数を達成！”と記載してある。２３年３月２４日公開映画だが、時間が合わなかったのだよなあ・・。－

■森で偶然出会った王子（ジェンジズ・アル）とシンデレラ（アストリッド・Ｓ：ノルウエー出身の人気歌手だそうである。）は、すぐに惹かれあうが、2人は互いの名も知らぬまま別れてしまう。
　王子にもう一度会いたいと願うシンデレラだったが、意地悪な継母（エレン・ドリト・ピーターセン：イジワルそうな顔をしているが、ノルウェーを代表する女優さんだそうである。）から外出を禁止される。
　そんなある日、彼女は願いを叶えてくれる不思議な3つの木の実を手に入れる。

◆感想＜Caution!内容に触れています。＞

・シンデレラが手にした3つの木の実が、ポイントである。
　１．一つ目は、亡き父の猟師の格好良い服装と弓矢を彼女に与え、王子の前でその猟師としての技を披露する。
　２．二つ目は、舞踏会に行きたいのに、継母から仕事を言いつけられたシンデレラを、亡き母の美しい衣装に包むのである。
　　　そして、舞踏会で王子の眼に止まり、二人は楽しく踊るのである。だが、継母に正体を見破られそうになったシンデレラは家に駆け戻り、継母に閉じこめられてしまうのである。
　３．そして、三つめは・・、何も起こらないのである。
　　　で、シンデレラは気づくのである。”このままで良いのだわ。”

・継母は、娘ドーラをシンデレラとして王子に会わせるが、”貴方ではない”と言われてしまう。そこに、猟師の姿で現れたシンデレラは、継母により川に落ちそうになっている王子を助け、継母に弓を打ち、動けなくさせて、王子と雪原の中を楽しそうに走るのである。

＜今作は、ナカナカ観れないノルウェー映画であり、且つ独自の解釈をした設定や衣装や意匠が良き、ファンタジックラヴストーリーなのである。＞

・王子様とシンデレラの配役に好感が持てなかった。
・シンデレラは馬にも乗れるし弓も引く
・木の実が魔法使いの代役となる

ディズニーのシンデレラが有名だが乗馬や弓が得意な活発な女性、動物や自然美を盛り込んだノルウェー版シンデレラ。
チェコの作家ボゼナ・ネムコバがグリム童話の「灰かぶり姫」をアレンジした「シンデレラについて」をもとにしたチェコ映画「シンデレラのための 3 つのナッツ（1973 」のリメイクだそう。
気になったので調べてみたらシンデレラの起源は紀元前一世紀にギリシャの歴史家ストラボンが描いたエジプトの美しい女奴隷ロドピスの物語らしい。
17世紀にはグリム童話の原型とされるナポリの「ペンタメローネ（五日物語）」に採録されたチェネレントラ（Cenerentola）があり、グリム兄弟によるアシェンプテル（Aschenputtel）（ドイツ語で灰かぶり） 、フランスの文学者シャルル・ペローが現代のシンデレラのもとになるガラスの靴やカボチャの馬車を加え人気になったそうだ。日本の落窪物語や、中国にも唐代の小説「葉限」などの類話があるなど実に古くから世界に広まっているそうで驚きました。
本作もペロー版の流れですが魔法使いの妖精やカボチャの馬車は登場せずフクロウの巣から落ちた謎の木の実が魔法を放ちます、フクロウが妖精だったのかな・・。
動物に優しく王子の森での狩りを咎めたくせに自身は雷鳥を射ったり継母に弓を向けたりするのでちょっと失望、野性的で地味な印象のシンデレラでした。