「月9」魔女の香水 R41さんの映画レビュー(感想・評価)
月9
よくありがちな型ではあるが、物語として十分に楽しめる作品
主人公若林エマの人生の転機と困難を乗り越えて成功を掴むという主軸
その手助けを担った魔女さんと呼ばれる香水屋の店主やよいと彼女の過去
香水屋に出入りするチャラい若者
そこに会社のアップダウンと恋を絡ませ主軸を盛り上げている。
少し俯瞰するとこの作品は、今では影をひそめてしまった「月9」とか言われたドラマを映画化したのかなと思う。
作られなくなったドラマを映画にしたのがこの作品なのかもしれない。
ドラマにありがちなお笑い要素を入れれば、まさに「月9」になる。
逆に、お笑い要素、息抜き場面がないことで主人公役の演技力がどうしても気になってしまう。
さて、
冒頭、「何事も楽しむ」というような言葉で、香水の1番から9番まで花言葉ならぬ香水言葉が登場する。
そして魔女は言う「世の中にある似て非なるもの」「可能性と欲望」
この言葉はなかなか興味深い。
そして泣き言をいう若林に対し「価値なんて付けられるよりつける立場になりなさい」という言葉もよかった。
何より香水というものの考え方を視聴者の提示している点は素晴らしかった。
香りが記憶を呼び覚まし、ストーリーとなるのはロマンがある。
物語は、
若林の派遣切りから始まり、やよいとの出会いで人生の岐路を成功へと導かれる姿が描かれている。
そこに挟み込まれるのが恋
そして会社 上司
対局として、昔でいうところの高級クラブの女性と彼女を指名する客の人生
ここに仕掛けた「可能性と欲望」 その行き着くところ。
物語を多角的に提示する方法もいいと思う。
そうして再度歩き始めた若林だったが、また派遣切りされる。
「面白くなってきたじゃない」
このやよいの言葉は、この作品の中で最もよかった。
まさに人生の岐路 ピンチとチャンスは同時に訪れる。
若林の心の奥底に眠っていた「夢」 それこそが可能性
やがてやよいの未完のままのプリエールNo,9の残り1%の材料がわかる。
同時にやよいの過去も解決する。
若林の会社の業績アップはまさに「月9」
様々な場所に伏線が仕込んであり、なかなか面白い物語だった。