君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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考えるな感じろ
2023/8 イオンシネマ 3プレミアム前
子供の頃からのジブリファンとしての感想です。
大まかにネタバレさらっと読んで観に行きました。
レビューに夢をみてるような話だったとみたが
ばったばったと話が変わるのではなく
不思議の国のアリスのようにここからが不思議な世界だよと明確になっている
ポニョよりはわかりやすく、トトロや千と千尋に近い
・最初のお母さんを助けにいくシーン、夏子さんを助けにいくシーンが特に絵の表現が綺麗だった
・集合体が苦手な人にはちょっときついかもしれない
私はなんとも思わなかったが、苦手な家族は顔を度々背けてた
・鳥がたくさんでてくる。インコは賢い🦜
異世界はインコが進化していて?人間チックな姿
・最後、感動的なシーンなのにインコのフンで皆汚れててしまいクスッと笑える
私としては面白くなかったとかつまらなかったと評価をみてからの鑑賞で期待はもたず
ただ美術品をみるような感覚で観ていて謎もありつつすっと入っていって心地よく
久しぶりの宮崎駿のファンタジー作品だし予想以上に楽しめた
もしかしたらこれが劇場での最後の作品になるかもしれませんが監督の新作に新たに出会えたことに感謝しつつ考察に捗りたいと思います
色々と気になる点が残る、中途半端な作品。
一昨日観ましたジブリファンです。
【気になった、感じた事】
●時代背景が戦中〜戦後(確か2年くらい)である理由がよくわからない。
→正直、下手にファンタジー要素を加えた時点でどの時代背景でも良いように感じてしまったし、二番煎じ感が否めない。
●ウエイト的には体感ですけど3(元の世界):7(別の世界)で、取り敢えず宮崎ワールド見せたろ感が中盤〜後半にかけて現れてくる。
→元の世界は戦中戦後で物語は進行しつつも戦の場面は無し、元の世界の舞台はほぼ引越し先の私有地。多分だが、別の世界にスポットをあてたかったのか、時代背景を活かせていない。
●主人公に物足りなさを感じる。
→元の世界でも別の世界でも、過去の作品と比べて必死さ、決意というものが感じ取りづらい。実母や愛した女性ならともかく、義母を助けに行くって設定がまた微妙にさせている。
●別の世界からの脱出→家族が抱きつくシーン→エンディング→え?この先はないの?静止画も無し?という消化不良が発生した。
●『君たちはどう生きるか』というタイトルだったのでメッセージ性溢れる作品かと思いきや、そうでもなかった。(感じ取れなかった)
以上現時点で気になった点ですが、自分的にはやはり時代背景のチョイスは間違っているかなと思っています。母親を死なせたかったからそういう設定にしたのかわかりませんが、自然と主人公の性格が堅苦しくなってしまいますし、それでやるんであれば最後までファンタジー要素抜きでやるべきだった、風立ちぬみたいに。
元の世界でも鳥や建物以外に何か別の世界の要素を加えていれば良かったのですがね。ギャップがありすぎた上に唐突にファンタジーが始まると何がなんだか…。
結果的に中途半端な作品になってしまったと自分はそう感じています。
ただ、ジブリの最新作がみれたという喜びはやはりありますね。レンタルでたらまた観てみようかと思います。
パンフレット購入前、ネタバレあり
観てすぐの箇条書きで、失礼。
悪い意味で遺作っぽい出来上がり。
って言ってたら、まだ遺作じゃ無いかもよと言われました。
ファンタジーにおいて、自分が嫌いな要素が煮詰まってました。 設定が伝わらなすぎ。
母の妹と直接言わずに曖昧にしている時間が長すぎ。 主役級と脇役の画風が違いすぎる。
ジャムパンがリアルじゃないのが残念。
何故禁忌だったのかとか、インコが王国になっているのが唐突すぎて、王様が何をしたいのかよくわからない。 唐突に主人公が悟るのは前からだけれど。
宮崎駿版未知なるカダスを夢を求めて
長文になります。
この作品は現実の話でなく、徹頭徹尾ファンタジーであるので、火垂るの墓みたいに戦中の事や現実の事と結びつけるやり方で観ると混乱します。
マヒトの戦中設定もタイトルさえも、この際ファンタジーの為の舞台装置と割り切って観ると、少年の成長や自立、愛されてることを知る王道英雄譚が浮かび上がります。
それだけでもいいのですが、私は、劇途中からSFやファンタジーの視点に頭を切り替えて観た結果、よく分かった気分になりました。あくまでも気分です。
この作品は多分、その日その時その環境で観る度に切り口を変える傑作と思います。
私の感想は視点の一例になるかと思います。こんな穿った見方があるのかと思っていただければ幸いです。
私はこの作品を、H.P.ラブクラフトがクトゥルー神話を作り上げたのと同じ様に、宮崎駿が宮崎駿作品神話体系をつくりあげたのだと感じました。
黒澤明の夢と比較する論説もありますが、この映画はある一貫性があるので私は比較するのは違うと思います。宮崎駿は今までの作品をすべてをオムニバスにした、と大きくとらえたならそうかも知れません。
宮崎駿作品でみた既視感のあるシーンや、おそらく得意だったり好きだったりするのではないかと思われるシーンを盛り盛りに盛り込んで、オマージュで単体の作品だけでない奥行きや作風を全面に出そうとしていました。最近のアメリカ映画にも見られる手法をアニメでジブリでやったというのは驚きです。
自分の心地よいもの、好きなもの、最低でもなにかに媚びなくていいものを全面に押し出して描かれていました。この映画は好きを集めて作品ができているとも思います。だから、エンタメでなくアートに見える。
話自体は、異界に行って帰ってくる話なのですが、千と千尋の神隠しと同じ様でいて全く違います。
千と千尋の神隠しは、冒頭で両親が飯を食わずに変だ変だと言いながら車で道を抜けていけば経験することもない、見知らぬ異界に立ち寄っただけですが、この作品は血による業のようなもので異界に行きます。
そして、異界と家が地続きになってます。ポーのような怪奇物を匂わせていると思いました。
また、私はクトゥルー神話を引き合いに出していますが、宇宙から飛来した石を扱う大叔父の様子、失踪した経緯や姿などからそう汲み取りました。
大叔父が力ある石を前に、現実が見えなくなって別の世界を創造し籠もる姿に、どうしてもラブクラフト作品のそれを見てしまいました。ドリームランド物ではないか、と。
また終始、宮崎駿の中にある異界の常識が説明なく出てきます。
説明を省いた尖ったシーンや言い回しが多く出てきますが、穢れになる血が流れる産屋に入るのは基本的にタブーとか異世界のものをもってかえるのは駄目とか、そういう迷信やお約束を知ってるとシーンに納得ができます。
もののけ姫以降、宮崎駿の世界における常識みたいなものが形成されたのかもしれません。
最後に、この作品に賛否両論として否をおされるのは悲しいです。
晩節を汚したのではなく、宮崎駿82歳の挑戦と考えるべきです。タイトルは原題小説からというより、『俺はこう生きた、君たちはどう生きるか』を略したのではないかとさえ思える大きな挑戦です。
難解なゆえにジャパニメーションと揶揄された数多のアニメ映画群の中に、この作品は入るかもしれません。しかし、他のジブリ作品のように映画からテレビへと何度も放送されて、沢山の人達がみて、その度映画の切り口が変わるタイプの名作なのです。
このレベルで魅せてくれるアニメ映画はなかなか無いです。宮崎駿恐るべしでした。生涯現役で次の作品を観てみたいと思わせる力も感じました。
君たちは何がやりたいのか
同名小説が劇中に影響を与えるような形に宮崎監督が変えて作った作品。
うーん正直全くついていけなかった。
最初から、何を言っているのか分からない。伏線となるような事を振りまくって、回収しきらないからモヤモヤする。
内容としても場面も急に変わる事が多々あるから、今誰が何をしているのかさっぱりわからない。
ただ、バケモノのデザインは流石というレベル。子供が見たらトラウマになるレベル。
自分達がこんな難しい映画作れるんだぞ!っていう自慢を永遠に見せられている感じがした。
観客に分からせようとする気が感じられなかった。
本当のジブリファンは、宮崎監督が再び作品を作ったというだけで感涙かもしれませんが、話題だから見に行こうかなと思うレベルなら、見る予定の映画を変える事も検討してもいいと思います。
少なくとも自分の脳みそでは、内容が理解できませんでした。
『地球儀』で完結する物語
一回目は初日初回、当たり前だが何の情報も持たずに観に行った。
どうにかメッセージを汲み取ろうとしたが、どうにも難解だった。
意味を得ようと約2時間、ひたすらアンテナを張り巡らせた結果、余計に分析が追いつかず、それ故ラストに正解を求めようとしていた私は、呆気ないというか、肩透かしをくらったように感じていた。
彼は、あの後どうなったんだろう?と。
何が、君たちはどう生きるか、なのか?と。
本日、2回目を観た。
今回は気楽に観ることができたので、少年が体験する不思議な出来事を、流れるままに観れたのが良かった。
だがラストシーンは、前回と同じような気持ちだった。
そんな中『地球儀』が流れ始めた。
これまでに『地球儀』は何度も聴いていた。
なので、歌詞は空で歌えるくらい覚えていたのだが、2回目を観た直後だったためか、歌詞の内容が全く違って聴こえたのだった。
『地球儀』は、おそらく、その後の主人公を描いた歌なのではないか?
その後の眞人の視点に置き換えると、妙にしっくりくるのと同時に、もやが晴れたかのように安堵できたのだ。
この歌をもってして、初めて私の中で、この物語が完結した。
主人公が、この後、どう生きたか。
歌詞のそこかしこに、過去を大切にし懐かしみながらも、前へと進んでゆく主人公の姿が描かれていた。
人生とは続くもので、それぞれの道がある。
道を曲がる。ということは、曲がる前の道は振り返ることができない。ということ。
主人公は自分なりの正しさを持って進んでいるのだ。
人との関わりを持つくらいなら、自傷さえもやってのけた彼が、この道の行先に誰かが待っている。と未来に想いを馳せるようになれたのだ。
ああ、良かった。と。
私は、そう解釈して納得した。
自分が知りたかったのは、彼が(その後)どう生きたのか?だったから。
大なり小なり、人はそれぞれ何かしらの秘密を抱え、取捨選択をしながら大きくなってゆく。
それでも地球(儀)を回す=日々は続いていくのだ。
私にとって、これは、そんな誰かの物語だった。
※追記
宮崎駿監督から米津玄師へ。
それぞれの作り手の気持ちは想像しかできません。
監督の意図は分かりません。米津さんの思いも分からない。
ただ、この訳の分からない私のもやもやは、歌を通じて未来の主人公を想像をすることで、やっと昇華できた。そんな気がしました。
この曲を監督が選んだから。そういうことにします。
誰に押し付けるでもない、自分自身が納得のいくように解釈をしただけのものです。
これからも心に残り続ける作品です
たくさんのメッセージが込められていましたが、
自分が感じたのは輪廻の世界観です。
生命になぜ魂が宿るのか、なぜこの世界が存在するのか?
それらすべてが奇跡であり尊いこと、
そしてこの作品を観た人がこれからどう生きるかを
考えさせられる作品です。
他の宮崎アニメと比較するとつまらない
一言でいうなら、
不思議な国のアリス的なストーリー。
よかったところ:
宮崎監督特有の躍動感あふれるキャラクター
の動きや、クリエイティブな世界観。
奥行きと高さを感じさせる建物描写。
雲の合間の日差しや海岸線模様は
中世ヨーロッパで書かれた絵画に
よくあるシーンで、それを彷彿とさせる。
つまんないところ:
起承転結の起承のみで、転結が薄い。
監督ネタ切れにつき、盛り上げてからの
怒涛の感動クライマックスが描けなかった
といったところか。ジブリも、
プロフェッショナルマインドがあるなら、
もっとストーリー
をねってから公開すべきだったよね。
ナウシカ、ラピュタ、魔女宅あたりと比べる
はるかに話がつまらないが、
過去と比べないなら面白い映画だと思う。
面白かった!感想を伝えるのは難しい
公開初日の夜に観に行きました!
なんの予告もなかったので、どんな話か気になりながら日々を過ごしていました
10年の構想だけあって、注目するべきところが盛りだくさん。今までジブリに出てきたおばあちゃんが
10人くらい出てきました。
ワラワラも可愛かったですけど、あそこはいわゆる地獄と天国なのかなと思いました。直感的な感じだと。
鳥がたくさん出てきたのも嬉しかった
ペリカン、アオサギ、インコ
最近の、インコがたくさん発生した意味を映画で現してるかも…
不思議な話でした。
君たちはどういきるか
とりあえず考えて生きる
真理と心理
theジブリ
始まりは火垂るの墓
上の世界
森はトトロ
家はマーニー
雰囲気コクリコ坂
おばば達は千と千尋
上と下の狭間はハウル、ポニョ
下の世界の
森はナウシカ、もののけ姫
海の人達は千と千尋
家具はアリエッティ
時折ラピュタ
今までの作品を感じさせる世界観
話の内容は真理の世界
青い鳥の話に似てるって思った
良く考えれば青い鳥とアオサギと繋がってる?
色んな環境の変化に
生きる意味を無くしかけた眞人
自分の見ているものなんてちっぽけな世界で
色んな世界の生き方、辛さ、信念があって
見えないとこで色んなものに支えられて生きている
実は色んな人に愛されていた事に気づく旅
自分の力で乗り越えて見つけたもの気付いたものは
忘れたと思っても心の奥底にずっとあるもの
終始アオサギにツボって笑いが止まらなかった
なぜ?
初めてレビューを書きますが、本映画は伏線回収などもないので観客に投げやりタイプの映画だと思いました。
(この手の作品は、私は好きなタイプではないです。)
なぜ?と思ったのは、宮崎駿さんがこの手に行き着いたのなら、正直興行収入などは気にしないのかと思ったのです。
ただ、宣伝をしないと決めた時に、鈴木さんに大丈夫かな〜と述べていたらしいですが、これは興行的に成功するか?それとも意図したいことが伝わるかどうか?はたまたその他の不安があったのか?ここが疑問に思いました。
なぜ?でしょうか〜
興行的なら物語として、駿さんの意図を汲み込んで欲しかったな〜と。
これはこれで面白い
賛否両論あって観るのは悩みましたが個人的には映画館で観て良かったです。
そんなに難しく考えなくても観れる。
昔の作品のような感動はないもののハウルよりは面白かったと思います。
テーマは少年とサギと言うよりは母と子の絆かと。
映像美、ワラワラを観るだけでもお金を払う価値はある。声優陣はとても上手。
主人公の気持ちのスイッチが変わったキッカケと言われている君たちはどう生きるかの原作(コペルとかの話)を読んでみたくなりました。
読んでからもう一回観に行ったら主人公の気持ちも少しはわかるかな。
小2の息子には受けはしない思うが中2と小6の娘を連れて2回目観に行きます。2人共原作の漫画購読済。面白いよと勧められてます。
まだよくわからないです。
鑑賞後2日目。
特に思い出すわけでもない。
みんなザワついているけれど、伏線?隠された意味?考えなくちゃいけないのかなあって。
とりあえずキャラクターはかわいいし、ストーリーはすっきりしているし、ジブリ全開だし、満足でした!
十分満足です。…それで終わりじゃダメ?
感じたことは…
母になった自分が見られたことが嬉しかった。
子どもをもっていなければ、こんなに心は揺れなかったと思う。
母は強い。無償の愛をもっている。
自分が死ぬってわかっていても、あなたの母になれるなんて幸せよ!本当にその通りです。
どんなにクソ旦那でも我が子に出会えた幸せは何事にも変えられないです。
あとまた妊婦になりてええええ!と思いました笑
プリティなコダマみたいなホワホワたちが空に昇るシーンにも涙。
インコがキモカワでたまらなかった。
ジブリの歴代ばあちゃんたちも最高。
眞人くんは真面目でキチンとしていて、アシタカに似ていて、なんでこんなクソ親父の子なのに立派なの!
と思ったけど、アシタカに似てるからクソ男の素質があるってことか。と勝手に納得しました。
別に今急ぎで映画館で見なくてもいいかな?と思うけど、見ていて楽しい作品でした!
確かに分かりにくいところはありますが…。
久しぶりの宮崎監督作品ということで、期待して観てきました。これまでのジブリ作品のように、分かりやすく、子供ももちろん楽しめるというものではなく、タイトルの「君たちはどう生きるか」に象徴されるように、幾分哲学的な雰囲気が漂う内容でした。実写映画にはよくあることだと思いますが、急に場面が変わると、なにか起こったのか分からず「?」となってしまうこと。後になって、あれはこういうことだったのかなと造り手の意図を想像して、再び感慨に浸るような映画だと思いました。映像の行間を読まないと、監督の認識を理解することができないのです。小さな子供達には難しいのかなと思います。
なつこが一人で塔の世界に行き、出産しようとしたのは、真人の前で自分の子供を堂々と産むことがはばかられたからではないでしょうか。新しい生活に馴染めず、怪我をして閉じこもり、自分のことを新しい母親とは認めてくれない真人に対して、どこか後ろめたいような気持ちになって、姉の住む世界に助けを求めたのだと思います。最後に真人が「なつこ母さん」と呼んでくれたことで、元の世界に戻る決心がついたのでしょう。感じ方は人それぞれ色々だとは思いますが、そんなふうに間を埋めながら味わうには、見終わったあとも長く楽しめる良い映画だと思います。
生きて、自分の役目を果たすべき。より良く生きるべき
最後まで見て、タイトルに「生きる」という言葉が入っている意味が少しわかったような気がする。自分も含めた生き物は「命を頂いて」生きている面があって、だからこそより良く生きなければならないのだと感じた。この世に生を受けるということは、そういう使命を背負うことでもあるし、生きて果たす役目を受け継ぐことでもある、というようなことがテーマなのかもしれない。
不思議な世界に引き込まれて、キリコやヒミにピンチを助けてもらったりする因果も、「だからこそよりよく生きなければならない」という命の尊さを表しているような気がする。
引き込まれた不思議な世界での体験は、展開として面白く、楽しめた。ここで戦う相手にも事情があるというところが複雑で、単純な悪ではないのが、この映画の見どころなのだと思う。
ラストでヒミと別れるところは泣けた。ヒミは眞人のために、継ぐ人を生むためにつらい運命に戻るわけで、深い愛に涙が出た。
なぜ久子が塔に向かったのかとか、ペリカンに押されて入った墓が何なのかとか、回収できないところもあるが、不思議な世界とは、そういうものなのかもしれない。
好きに生きたらいいし好きに解釈したらいい
人生で初めて何の事前情報も一切ない状態で映画を観るという経験をしました。もちろん、宮崎駿作品であるということと、あの鳥(青鷺ではなく敢えて鳥と書いています。だって最初はただの鳥としか認識できなかったし)の顔は事前に接していたので厳密には一切ないわけではないのですが、それでも映画館で映画を観ようと思ったら少なくともこれ以上の情報に触れてから観るかどうかを決めて映画館に行くわけで、これはかなり新鮮な体験でした。スラムダンクも事前の宣伝殆どなかったとよく言われますけど、あっちはもうスラムダンクってわかってますからね。
タイトルとなった「君たちは〜」はかなり以前に読了済だったのでこれが「原作」だとすると説教臭い話になるのかなという警戒は少しありました。序盤の時代感も近かったのでもしかしてそのまま映画化したのか?とかも思いましたがその思いはすぐに払拭されました。結果的には原作自体は宮崎駿でタイトルの借用と劇中に本が出てきた程度でしたね。
その後はこの映画がどう転ぶのか全くわからないまま話が進んでいき、それは主人公が巻き込まれていくのとシンクロする様に、不安や期待感、様々な予想や予感といったものがないまぜになって没入感を高めて行く様な錯覚を覚えました。それに加えて宮崎駿だからファンタジーなのだろうか、それとも風立ちぬみたいな戦争をテーマにしたものなのだろう、といった主人公には感じ得ないメタ的な視点の想いも絡み合いそれが没入感ある錯覚に対して一握りの現実みのある制限を加えている様な、そんな不思議な感覚を味わいました。
途中から話はファンタジーな方向に転がっていきなんとなく安堵するわけですが、ある意味で宮崎駿監督への信頼みたいなものがないとこういう映画の見方や体験というのは出来ないよなとも思いました。三池崇史監督とか園子音監督とかがこのスタイルで映画やるって言われても警戒するでしょ。
そこから先の展開はなんというか正直宮崎監督が何を言いたかったのかよくわからなかった部分もあるのですが、個人的には好きに解釈したらいいんじゃないかなと思いました。あえてどうとでも受け取れる様にしてあるんじゃないかなと。
自分自身の解釈に自信はありませんが、なんとなく今までの宮崎映画のアニメ表現の総集編かつ集大成の様な印象も受けたのでもしかしたら遺作というか遺書のつもりで作った面もあるのかなと思ったりもしました。
宮崎アニメの好きな人は観て損はないしできればなるべく情報を入れずに一切の先入観なしに観て欲しいとは思いますが、こういったレビュー読んでる人はそういう体験は出来ないのでここに書いても余り意味がないのかもしれません。
すべての人にお勧めしたい。本当に見事な芸術作品
全く宣伝もなく上映されていることをネットで知り「君たちはどう生きるか」を観てきた。観終わって「本当に見事な芸術作品」だという感慨が残った。母親を亡くした少年が自身の置かれた家族や生活・社会環境の中、不思議で様々な体験をしながら生き抜いていく物語り。観る者は人生経験の多寡にかかわらず問われることだろう。「君は(過去)どう生きてきたか」「君は(現在)どう生きているか」「君は(未来)どう生きていくか」と……。
もちろん作者がテーマやシーンの意味を言葉で伝えているわけではない。しかし次元が異なる世界と融合しながら、迷いながらもダイナミックに人生を生きているのが人間であるということを知らせている。善も悪も、光も闇も、賢さも愚かさも混然一体となって「境地の物語」を奏でている。私はこれまで様々な芸術作品に出会ってきて、楽しや美しさや驚きや怪しさなどで満足させてもらったことはあった。しかし鑑賞後にこれほど自身の人生に眼を向けさせ、体験の意味を想い、幸せを感じることのできた作品に出会ったことがない。
この作品は宮崎駿監督の愛と創造力につつまれている。ありがとう宮崎駿さん。ありがとうスタッフのみなさん。すべての人々にお勧めしたい!
宮崎駿監督が粉骨砕身して本気で遊ぶフルアニメ!
原作、脚本、監督は宮崎駿。
ゴールデングローブ賞アニメーション作品賞受賞。
アカデミー賞長編アニメ映画賞受賞。
【ストーリー】
時は太平洋戦争末期、空襲で母が亡くなり、田舎に疎開した少年眞人は、そこで奇妙な屋敷に住むことになる。
屋敷には、好奇心を隠しもしない妖怪のような老婆が8人、使用人として住み込んでいた。
家では新たな継母となった叔母・夏子とギクシャクし、学校へゆけば皆と毛色の違うと集団で乱暴を受ける。
苛立つ眞人は、大きな石を拾い、それで自分のコメカミを傷つける。
学校へねじ込むと息巻く父親にも、それをやめさせようとする継母に何も話さず、眞人はただベッドで寝込む。
何よりも眞人を苛立たせたのは、まるでこちらを監視するかのように姿を現しては嫌な鳴き声を聴かせる、一羽のアオサギだった。
夢うつつに眞人はそのアオサギと対決するが、そいつはまるで人間のように言葉を巧みに話し、眞人を誘い込んで手の木刀を粉々にしてしまう。
眞人にまとわりつく手強いアオサギを、手製の弓と矢でどうにか追い払うも、夏子が森に姿を消してしまう。
眞人は夏子を追いかけて、大叔父が遺したという塔に入ってゆくが、そこは魔術のような世界だった。
監督自身の記憶、思い出、心象風景、トラウマをごった煮にした塔の世界を、主人公・眞人が次々と冒険します。
時に乗り越えられないような大きな危険も、そこは宮崎主人公、苦痛を顧みずに突破をはかる益荒男ぶりは皆の知るところ。
クライマックスに提示された選択にも、悩むそぶりなど見せず、自分の弱さ愚かしさを受け入れます。
……というような見れば誰でも分かる内容は置いといて、出色なのはアニメーションです。
動画のモーションがツボを押さえていてまたいいのなんの。
流石です、宮崎監督。
しかもフルアニメ!
実はジブリ作品は、ここぞという場面以外の日常シーンはコマ落とし、つまりリミテッドアニメであることが多いのですが、この映画は全編フルアニメーションを実現しています。
手描きにこだわる宮崎駿監督ですから、人物のアニメは中割りソフト(という物があるんです)を使っていないのではないかと思われます。
これはもう非常に手間と時間とお金のかかる制作方法で、かつて大友克洋が監督したAKIRAが、それで11億円もかかったという恐ろしい前例も。
背景の精緻なる美しさも目を見張りますが、塔の世界が崩壊するシーンは背景動画ではなくCGを使っていて、これまた猛烈に手間のかかるクオリティ。
ラピュタもここまでやりたかったんだろうなあ、と過去作の無念や妄念をこれでもかと手をかけて鎮魂しています。
ジブリでCGといえば『もののけ姫』のイノシシ、乙事主の身体を侵したもの凄い数のワーム形タタリ神が有名ですけれど、あれを専属でやっていたアニメーターさんは、2年間もあの冒頭シーンに費やしたとか。
監督ほんと無茶苦茶させるよなあ……。
タイトルの説教くささと「宮崎さん本物の左◯だから」と某アニメ監督から言われるような、私生活における思想的言動の多さ、パワハラぶりも伝えられる宮崎駿。
これはもう人生最後に言いたい事全部行ってやる系の、全力かつ渾身かつ粉骨砕身の老骨滅却の大パノラマお説教作品に違いない、自分のような田夫野人(でんぶやじん)は、心砕けるまで説教タイムされるのだろうか……ああ、今から自分はお金を出して説教されにゆくのか……と悲しい気持で劇場に向かいましたが、ご安心ください、上級のエンタメです。
よかった。
隣に座った母子も楽しんでいる様子でしたので、お子様を連れていっても、きっと大丈夫ですよ。
スタッフロールにはなかよしこよし庵野秀明のいるカラーなどの制作スタジオの中に、しれっとスタジオ地図も混ざっていました。
宮崎監督、細田守監督に、ちゃんとごめんなさいしましたか?
ちゃんとしないと、没後に非道が伝えられて、ジャニー宮崎とか言われちゃいますよ(言いすぎ!)。
いやあ、面白かったですよ。
尻込みしましたが、見てよかった。
二の足を踏んでいる方はぜひぜひどうぞ。
宮崎駿の終活ノート
映画というの大前提として面白くなければなりません。
楽しいのか、興奮するのか、泣けるのか、恐怖するのか。
ジャンルは何でもいいですけど、各々のジャンルに応じた映画としての面白さを担保されていなければ、それは駄作です。
監督からのメッセージや考察することの面白さというのは、あくまで映画を楽しく観るオマケの存在でなければなりません。
決してそちらがメインになって出張ってはいけません。
普通に鑑賞して面白く、何度も観るうちに隠された監督からのメッセージに気づき、さらに作品を考察して作品に深みを感じて、楽しむ。
それこそが素晴らしい映画なのです。
かつての宮崎駿作品はメッセージや考察なんか抜きに鑑賞しても楽しく、考察するとより楽しく観賞できる素晴らしい作品ばかりでした。
ナウシカも、ラピュタも、魔女の宅急便も、もののけ姫も……。
その観点からすれば、「君たちはどう生きるか」は紛うことなき駄作と言えます。
この映画の面白いところ、宮崎駿のメッセージ性とか考察とか抜きにして語れます?
純粋に物語として面白いですか?
絶対にそんな人はいません。
今この映画を絶賛している人は「宮崎駿」の最終作だからとやたら考察し、評価している人たちばかりです。
考察ありきの作品は駄作です。
物語中に出てくるオブジェクトは、ほとんどが意味を成していません。
考察すれば意味があるのはわかりますよ?
ただストーリー上意味がない「異物」でしかないのです。
船の墓は? 墓の主は? 迷うと出られなくなる庭の設定は必要か? わざわざ積み木の数を13個とした意味は? 住民が鳥ばかりで、尚且つまんま鳥なのとファンシーな鳥と分けた意味は?
考察すれば意味は通りますが、ストーリー上では意味が全くありません。
監督の伝えたいメッセージを表現するうえで必要なのはわかりますが、これらを出したいのなら物語上で何らかの意味を持たせるべきなのです。
ジブリ映画には必ずある、ハイライト的なシーンが無い。
内容の面白さはともかく、ジブリ映画には漏れなく印象に残るシーンというのがあります。
ナウシカやラピュタは言わずもがな、駿作品ではないゲド戦記やコクリコ坂ですらタイトルを聞けば何となくシーンが思い浮かぶかと思います。
ですがこの映画にはそんなシーンは無いです。
このシーンが印象的!ってシーンありましたか?
自分には思いつきません。
米津玄師は反則だということが今作でよくわかりました。
映画を観ているときはツマンナ過ぎてイライラしてましたが、スタッフロールが流れ出すと「あれ? なんかいい映画だったんじゃね?」と錯覚しました。
全ては米津玄師の歌が素晴らしすぎるからなのです。
この映画の価値はスタッフロールに集約されています。
というか、わざわざこんな回りくどい作品なんか作らず、ストレートに宮崎駿の人生を映画化したり、スタジオジブリの歩みを映画化した方が絶対おもしろかったでしょ。
今から作り直して?
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