君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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美術作品だな~って思いました。
なんとなく映画が見たくなって、やっている映画を検索していたら見つけた作品でした。え、宮崎駿作品?!やってるなんて知らなかった~と思って思わず予約。
名作を残してきた宮崎駿さんが、80代になられた今、どんな作品を通して何を伝えたいと思うのだろうかと、そんなことが気になって見に行きました。
正直、今までのように斬新でワクワクするようなストーリーではなくて、見たこともない世界観を味合わせてくれるような作品でもなくて、心温まる感じとも違うくて、「どうだった?」って聞かれても、「おもしろかった~!!」って言うよりは、「うん、よかったよ~。上手く伝えられないけど、見て、感じてきて~!」って伝えるストーリーでした。
でも、あ~どうせこんな話でしょ。と分かり切った薄いストーリーではなくて、音楽や勢いで感動させるものでもなくて、、うまく伝えられないけれど、宮崎駿さんの思いを感じられる映画でした。宮崎駿さんと対話しているようなそんなストーリーでした。
その時、自分の考えていることや、伝えたいことをストーリーに込めて伝えてこられた宮崎さんだからこそ、今のご年齢で今感じていることを伝えて終わりたかったのかなと。
私が感じたストーリーは、、
「周りからみたら変な点や理不尽なこともある世界でも、意思が積み重なってできたその時代は、築いてきた人たちには、壊したくないかけがえのない世界で、自分の大切な家族にも引き継ぎたいぐらいの世界だったりして、、自分もそうやって、与えられた世界の中で、自分なりの考えや意思を持って自分の世界を作って生きてきました。振り返ると、自分の考えと向き合い続けた人生だったな~と。あんなことを考えた日々もあったし、こんなことを考えた日々もあった・・・でも、そんな私も年をとって、私の世界もそろそろ終盤に向かっています。いつの時代も古い時代が壊れてまた新たな時代が来る。人生や世界とは、意思の積み重ねなんだなぁと改めて感じている今日この頃です。あなたの世界はあなたの意思で築かれる。あなたたちはどんな意思を持って、どんな世界を作っていきますか?」
っていうようなことを言われているように私は受け取りました。いや、、正直、1回見ただけでは細かい描写は拾いきれないし、もっといろいろ込めてるとは思うし、、そもそも私の考えとは全然違うことを伝えているのかもしれない、、、
この作品を通して、自分を見れる。自分がみたい、宮崎駿作品をみれる?美術品のような作品だと思いました。いや、実は今までもそうだったのかもしれない。
また、主人公が、塔を出た瞬間におじさんとの記憶が無くなる感じも、なんとなく、親戚が亡くなった際に、その時は、死と向き合って残りの人生について考えるのに、日常生活に戻ると、忘れてしまっている自分と重なりました。
宮崎駿さんが周りの人やファンに向けたメッセージのような映画なのかな?宮崎駿ファンにはすごくじ~ん。と感慨深い映画でした。これで終わって欲しくはないけれど。宮崎さんのなんだか心に染みわたる絵と世界観が大好きです!まだまだ、魅せて欲しい。
そして、この作品を、広告や宣伝なしで放映することを決めた、鈴木プロデューサーもさすがだなぁって思いました。宮崎駿さんのこの作品に、広告や宣伝に振り回されている世の中への問いかけの思いも乗せて、世に放った作品なのかな~なんて思ったりして。これはただの、私の願望。みなさんも、自分がジブリに期待していたもの、求めていた物、ジブリに感じていて欲しいと思う、自分の意思を確認しに、観に行ってみられたらいいと思います。
やっぱり、一番、宮崎さんの考えと向き合って、信じてきた方なんだろな~。名コンビ。
お決まりの映画だった
全米No.1になったので今更見に行きました
ジブリの映画
私達はどう生きるか?どう過ごしてきたか?自分は、貴方は?
やっぱりジブリ好き!
遡れば小学生の頃、友人に誘われあまり興味のなかったアニメ映画だったので、朝早くから新宿まで行くのヤダなーとイヤイヤ行って観た「風の谷のナウシカ」で
あまりにも衝撃的で号泣し、終わった後なかなか席から立ち上がれなかったのが、ジブリとの出会いでした。
小学生ながらにこんな世界があっていいのか…と
イヤイヤ来た事を心苦しく思いました。
それからジブリの映画は、必ず映画館で観てきました。
宮崎さんは、私の父と同世代なのですが
頭の硬い昭和初期の頑固オヤジだったので
同世代でこんな世界を描ける柔らかさと、
世界観、創造性に
今回も驚き、惹き込まれていました。
「君たちはどう生きるか」という問いは
「私はどう生きたいか」という、観た人それぞれの
答えがあるように思います。
きっと私も死ぬまでこの問いを自分に投げかけ続け、
いくつになってもこんなふうに豊かな柔らかさを大切に持っていたいなと感じました。
おじい様の来ていたガウンが、風の谷のばば様と同じような物だったのも嬉しいポイントでした!
今までのジブリ作品にでてきた色んなものが
隠れていたのも楽しかったですね♡
問われた課題はあまりに重い
ジブリファンとしては、久しぶりのジブリ映画を劇場で鑑賞できただけで...
ジブリファンとしては、久しぶりのジブリ映画を劇場で鑑賞できただけで嬉しかった。
でもはじまりの青いトトロが1番感動したかも。
マーニーとアリエッティと風立ちぬをごちゃ混ぜにして、哲学的な難しい雰囲気をプンプン匂わせた感じの映画。
ラストもうすこし主人公の成長が見たかった。
観てよかったけど、ジブリの中でアリかナシかだとナシ。
その後もう一度観る機会があったけど、やっぱり理解しきれなかった。
他人の内省世界。
宮崎監督作品を劇場で鑑賞するのはナウシカ以来二回目。
好きなのは未来少年コナンとナウシカだけで、ジブリだからとかそういう思い入れは全くありません。
で、本作。
宮崎駿氏の内省世界をひたすら見せられます。
何を作っても許される晩年の大御所監督が作りがちな自身を内省する為の映画で、そこに観客の為のエンタメは無いです。宮崎監督も結局そこに落着しました。
他人の内省世界なので、それは当の本人にしか知りえない世界。
それを見せられて分かった気になる人間もいるだろうし、そうでない人間もいるでしょう。
アニメ作品にありがちですが、考察して分かった気になれるファンなら楽しめる映画だと思います。
個人的に苦手だった点。
アオサギというキャラが登場しますが造形が醜くキャラ自体もウザい。主人公をいざなってしまう重要キャラで割と出ずっぱりですが、単にウザいだけなら別にそういう作品なので問題ないです、ただの嫌いなキャラで済みます。
しかしこれに声をあてている菅田将暉の声や演技が悲惨過ぎてウザさに拍車をかけている。自分には終始コレが引っかかってしまい冷めてしまっていた。やっぱり声優はプロにやってほしい。
単純にエンタメとして楽しもうとする向きには合ってはいませんが、いろいろ想像を巡らせながら鑑賞していけば普通に楽しめます。作画や動画、映像全般は相変わらず素晴らしいし。
ご本人はまだやる気らしいですが年齢的におそらく最後になりそうなので、とくにファンというわけでもなくジブリに思い入れが無いにしても、記念に見ておくのもよいと思います。
ファンタジーの醍醐味
ようやく観賞しました。レビューでは賛否あるのは知ってたが、予備知識ナシで臨みました。基本的にファンタジーやおとぎ話的な世界観こそジブリの真骨頂だと思ってますので、違和感なく観賞できました。
ストーリー展開もわかりやすく、序盤の前フリから異世界への旅立ちまで青サギでうまく興味を引き立て誘い繋いでいます。そこからはファンタジーです。次はどうなるの?とワクワクドキドキ感をもたせる展開は見事だと思います。それがファンタジーの醍醐味だと思います。
ストーリーが難解だとか何を言いたいのか分からないとの批判も一定は理解できるけど、そんなに小難しく考えなくても楽しめると思いますよ。どう解釈しようが観た人の自由です。それでいいのです。宮崎駿の脳内は宮崎駿にしか分からないですよ。
「戦争」が根底にあって、それを踏まえて上でこの先君たちはどう生きるのか?争いのない世界を夢想して生きるのか?それとも現実を受け止めて困難のなか生きるのか?戦争経験者である宮崎駿からの問いかけなのかなとぼくは思いました。
想像の世界を脳内で詳細まで構築し、それを映像化して一つの世界観をつくるなんてとんでもない凄さを感じます。宮崎駿の頭のなかどうなってるのか知りたいです(笑)
だが、しかし…。
ジブリ作品は苦手だが今作は面白かった
何故、このタイトル
考えさせられ…る?
宮崎駿っぽさ凄い、と思った
・冒頭で母親が火災で亡くなったシーンで、亡くなった母親と重なり、ぐっと来た。その後、母親の妹?と再婚する父親や亡くなった母親を忘れられない感情とを現実との並行世界っていうのか?パラレルワールド?黄泉の國?なのか、神話的な体験で解消していったと解釈したのだけど、何となく、こういったことなければ人間は本当は呑み込めないのでは?と思った。もし、死別などの体験をした際にきっとどこかで何となくの折り合いをつけたようでつけられないまま生きていっているような気がした。
・冒頭の自転車にサイドブレーキ?っぽいのがあって興味深かった。
・おばあちゃんが沢山いて、みんな違っててすごいなぁと思った。
・多数のカエルやフナ?鯉?ペリカンなどがあんなに肌に触れてきたら気持ち悪いなぁと思った。
・最終的に何がどうだったのか理解できたようで出来なかったと思う。最後に世界を動かしているのが大叔父さん?でその担い手が誰もいない世界が、今、っていうことで不安定なのかもしれないっていう事なのか、と思った。それだけ、世界が危ういっていう危機感を表現したかったのか、とか。
・主人公が母親と同年代で対峙している状況を見て、もしも、自分と同い年の母親と対峙していたら、いったいどうなっていただろうと思った。親子関係だから成立していたように思えてきて、もしも他人であったらきっと反りあわなそうだなとか思った。
・インコが大量にいて、主人公を食べようとしていた。何となく、メイドインアビスのような世界観だなと思って怖くなった。でも、現実?に飛来していったインコたちは普通のインコになっていってなんだかほっとした。
まだまだ続く宮崎駿の物語
最高
何よりもまず映像作品として心躍る素晴らしい作品だった。純粋に美しい映像を楽しむことで満足が出来るくらいに素晴らしい映像の出来だった。特に冒頭の病院へひた走るシーンは圧巻だった。シネマカメラで撮ったかのような眞人にベタピン(眞人にだけピントが合ってる状態)のスローシャッター映像は鳥肌が立った。時々挟まれるアニメではなく、一枚の画をパンするシーンもそこに動きがないからこそ掻き立てられる想像力、といった感じでとにかく心に訴えかけるものがあった。
勿論ジブリらしさも全開で眞人とヒミがインコたちの住む石塔の階段を下っていくシーン、キリコと共に魚を解体するシーン、ワラワラ?ワタワタ?が飛び立つシーンなど箸休め的に心を癒してくれる。
ノーランのTENETに感じた映画の奥深さを思い出させられた。映画の芸術媒体としての完成度は極地に達しつつあると思う。
内容に関しても非常に楽しめる良いものだった。
「夢」の設定で物語の不安定さを補いつつ、宮崎駿のやりたいことが詰め込まれた感じ。しかし、詰め込みに関して嫌な感じは少なく、比較的伝えようという思いを感じる。
・ヒミが炎でペリカンたちを焼くシーン、ワラワラ達は卵子のメタファーであり焼かれると赤い液体となって滑り落ちる。生理をやりたかったのかな?ワラワラの世話をするキリコはヒミと共に現代へ戻り、ヒミと夏子の世話をするようになるのであるから恐らくこの解釈で間違いないだろう。てかペリカンは何を意味してるの?って話だけど、分からん。でも彼らはそこから出れないし、それ以外に食料も持たない。悪意がある訳ではない。でも悪意の扉へと眞人を押し込んだのはペリカン。で、眞人が来るとワラワラは飛び立つことが出来た。はにゃ?
・この物語においてヒミと夏子はあくまでも媒介者であり、当事者は大叔父と眞人である。
・夢を下の世界へと下っていく発想はインセプションに似ていた。
・ヒミが火を扱う一方で、大叔父は海にこだわる。火はヒミを焼き殺す。使い方次第で世界を変える力の存在を示したかったのでは?海の象徴もこれまたインセプションと一緒。世界の構築部の余り、みたいな感じが海なのかな?
・夏子の産屋のシーンは解釈が難しかったが、眞人の吐き出した言葉が未だ心からの言葉ではなかったから夏子を連れ出すことは出来なかった的な感じかな?岩の主みたいなやつは悪意を象徴してるのだろう。眞人が頭に傷をつけたときもそうだし、そもそも大叔父が自らの夢の世界を作り出す下地として石塔を用いたのもそうだし、眞人自身も岩には悪意があるみたいなこと言ってたしね。なんで岩が悪意なのかっていうそもそも論は分からない。
・世界が崩壊していくシーンで夏子は産屋を出て歩いてくるんだけど、あれがよく分からん。何が変わったっていうと眞人の心が固まったってくらいでそれが直接描かれてないからつわりが終わりました、くらいしか思いつかん。
・お父さんが石塔に向かってくるシーンは出征。飛び出してきたインコに立ち向かうけどウンチまみれにされる。多分お父さんが実際に戦争を体験してないことを揶揄したのだろう。お父さんは人の意見を取り入れないながらも成功してきた人。そもそもヒミが死んだからその妹とってかなりキモい。俗人ですなあ。
・宮崎駿が良くやる穴抜けは今回も健在。一番最初に塔に入ろうとするとき、夏子を探しに行くとき、大叔父に会いに行くとき。いっぱい出てきた。違う世界に行く合図。
・音楽の使いかた。最初はお母さん関連で流してんのかな?って見てたけど多分眞人の成長で流してる。
・インコの象徴は人間。大叔父が夢の世界の住人として連れてきたインコたちは自我を持ち、自分たちが優占種として暮らしていける世界が亡くなってしまうのは嫌。ヒミを解放したのだって、大叔父の跡を告げる眞人を呼び寄せられるのはヒミだから。眞人が積み石をしなかったときに自分で積んで見せて上手くいかなくて叩ききって世界は崩壊した。人間と地球の関係。やりたいことやりつくして上手くいかなくてぶち壊す。
・アオサギは眞人と最終的に友達になる。当初は眞人に興味はあるけどちょっかいをかけるばかり。でも一緒に旅をして共に時間を過ごすことで無二の親友になる。夢の話でしかないから姿は消してしまって、俺のことは忘れるよ。みたいに言うけど、眞人の心の奥底には眠り続ける。夢の世界での記憶は消えるかもしれないけど、学びは糧となり、心に残り続ける。
また思いついたら書く。
いい映画でした。
追加
・アオサギは、大叔父には作れなかった真の意味での理解者としての友達的な感じ、大叔父は自分をフルに表現しきれる相手、場所がなくて、世界に嫌気が指して夢の世界に生きるほうが幸せだって考えたけど眞人は現実世界でぶつかりながらも生きていくことを選択した的な
で、その決断の決め手になったのがアオサギという友達
・ヒミ、眞人の母の若返り顕現が歪んだオイディプスコンプレックスそのものであるというレビューを目にした。その通りだわ。そう考えると、夏子を最後認めたふうに描くことで自らはそんなコンプレックス克服しましたけどね!みたいな描き方が出来る!ということだろう。非常に納得。これで夏子の存在に意味が見いだせた
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