「原作版ナウシカの焼き直し」君たちはどう生きるか TOSSYさんの映画レビュー(感想・評価)
原作版ナウシカの焼き直し
過去作のオマージュが随所に見られましたが、全体としては原作版ナウシカと同じテーマを扱っているように見えました。
墓の主は墓所の主であり、インコ大王はトルメキアのヴ王であり、マヒトはナウシカ。
人類を汚れなき清浄の地へと導くはずの存在を、主人公が拒否し破壊。
人間の尊厳は汚れや悪意をも含んでいる。それなしには人間とは言えないのだと。
しかし原作版ナウシカが人間社会の醜さを徹底的に描いていたのに対して、今回の映画は間接的には言及されていたとはいえ、ちょっとそこの描写が足りないと思いました。ラストのマヒトの選択のインパクトが薄くなってしまっています。
あと今回はそこに監督の自意識がかなり投影されているように見えて、そこが原作版ナウシカに比べるショボく感じた理由でもあります。
まるで監督自身がかつて酷評した、息子吾郎監督のゲド戦記の様。
それでも凄まじい作画と怒涛の場面展開によって最後まで飽きさせずに見せてしまう技量が今までの宮崎監督にはありました。
ところが今回はそれもない。敢えて宮崎ワールドを戯画的にショボく描いているのか、歳のせいなのか分かりませんが、全体的に物足りない。
千と千尋やポニョにあったような圧倒的なスペクタクルは感じられませんでした。
とは言いつつ、久しぶりの宮崎作品だったからでしょうか。序盤は結構興奮しました。
階段を昇り降りするシーンや、火事のシーン。青サギのシーンやマヒトが部屋で矢が飛ばすシーン。
人間の細かい所作も非常に丁寧に描かれていて、特に夏子さんの醸し出すオーラが凄かった。最近のアニメは作画レベルがどんどん上がっていますが、こういう部分ではやはりジブリが圧倒的だなと感じました。
コメントありがとうございます。
最後の敵が生体コンピューター! 私が最も燃える展開です。
今作のあれが○○・・という考察? 作った人に解答ほしいんですかね、書き込むだけならいいんですがね。
共感ありがとうございます。
あの漫画のラストは本当に素晴らしいですよね。
自分的にはもっと多くの人に原作版ナウシカを読んでほしいので、今回の映画は敢えてナウシカの劣化版として評価している部分もあります。