劇場公開日 2023年7月14日

「正に、君たちはどう生きるか」君たちはどう生きるか nonoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0正に、君たちはどう生きるか

2023年7月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

知的

この映画は、宮崎駿の遺言と感じました。
「風立ちぬ」の時に、そう言っていましたが、当時は、自分はピンときませんでした。
今回の映画で、本当に、宮崎駿監督が伝えたいことが、ようやくわかった気がします。

この映画は、ストーリーを追ったり、冒険を楽しむ映画ではないと思います。
主人公も、脇役も、全てがシンボル。
普通の、成長映画でもない。
では、なにか?
先行き、厳しい日本。
世界に目を向けても、環境問題、戦争、人口爆発。
まさに、これからの厳しい世界を、どう生きたらいいか?をテーマにした映画。

先に、逝ってしまう、宮崎駿が、残される我々へのメッセージを込めた映画。

何を、あてに生きればいいか?

全編、映像がとても美しい。これでもか、これでもか、登場する、懐かしくもあり、恒久的でもある美しい映像の洪水です。
どんなに、厳しい世の中になっても、それでも、世界はこんなに美しいんだよ。君たちは、そんな、美しい世界の一部なんだ。

登場人物の、生き方、成長。
キャラクターは、今までの作品のオマージュ。声優陣も、いままで宮崎アニメにかかわってきた人たち。
この映画の登場人物だけではなく、今までの、宮崎アニメの、ジブリのキャラクターをすべて象徴しているよう。
どんなに、苦しくても、人の心は、こんなに強くて、美しくて、柔軟ものがあるんだよ。
それらを糧にして生きなさい。

これからの、世界は君たち次第。さあ、どう生きる?

そして、宮崎は、更に、問いかけるだけではなく、生きる指標も示している。

自分ができることを、精一杯発揮して、自分以外の人の役に立ちなさい。

僕(宮崎)は、アニメ、映画で、頑張ってきました。こんなふうに、あんなふうに、色々見てもらって。楽しかった。こうして、生きてきて、本当に、人の役に立てたかわからないけど、僕は十分、本望でした。

君たちも、自分のできることを精一杯して、人のためになることをしようよ。

家族を作ろう。
友達を作ろう。
お互いを信じて生きよう。

そうすれば、大丈夫。

こんなに、象徴的で、こんなに暖かい。
まさに、宮崎駿の集大成の作品ではないかと感じ、心が一杯になった映画でした。
きっと、繰り返し、見ることで、もっと、見えてくることがあると思う、深い映画。

是非、見て欲しいです。

nono