「突き放してもなお、力がある。」君たちはどう生きるか kazさんの映画レビュー(感想・評価)
突き放してもなお、力がある。
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観方によっては突き放すような作品。
その一番の原因は音楽ではないか。
今作の映像に、例えば千と千尋かもののけ姫のような劇伴が付いたなら、気分はかなり上がるだろう。音楽で盛り上げるのをわざと避けている気さえする。
弓に弦を張るとか、根でまかれた石の壁をよじ登るとか、波間を割る細い舳先(コナンOP)とか。そんなこんなから集大成との印象を受ける人もいるようだ。
しかし、過去作と同ポジでも、印象は驚くほど違う。
これまで常に、前作までと異なるものが追求されてきたと思う。むしろ、過去作と同ポジでも違うものを作るという並々ならない気概のあらわれのように感じられてならない。
風立ちぬは、監督自身と重ね、才能を持つ者への隠しきれない賛歌だったと思うが、今作はいわば真逆で、ついに、主人公は、良い人でなく、自傷までして偽るヤツになった。
元々良い人でなく、悪いところもある人・・・ということは誰もが、生き方を見つける様が提示される。
いくつものことが、じわじわと心に迫る。
これが最後なのか?
そういうつもりになるとは思えない。
だがしかし、この突き放し方では、200億円とか、とても多くの人が付いていくとも思えない。
今後も作りたくなったら作れるように、収益があがることを切に願う。
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