「ある意味でもっとも宮崎駿らしい作品」君たちはどう生きるか Ko Fuさんの映画レビュー(感想・評価)
ある意味でもっとも宮崎駿らしい作品
宮崎駿といえば冒険譚、楽しい作品!というのは宮崎駿の望んだことではない、などと書いてしまうと誤解があるのだが、宮崎駿が「売れる作品」を作ることに対して一定の歯がゆさ、もどかしさを感じていたのはよく言われるでことで、それから脱却すべくポニョや風立ちぬが生まれたのは今更言うことではない。結局、どちらもうまく行かずに監督引退宣言を繰り返すことになったわけだが、本作は本当に引退を考えての内容となっており、売れる売れないをそもそも考えていない、宮崎駿が描きたいものだけを詰め込んだ作品になっている。
言ってしまえば宮崎駿の我儘につきあわされる数時間であり、その覚悟がないとなかなか厳しい内容となっている。
だが、黒澤明から続く名監督とは総じてそういったエゴの塊であり、我儘で自分の世界に周りを巻き込むものであり、だからこそ素晴らしい作品が作れるのだと思う。スポンサーや監修の言いなりになって簡単に脚本を変えるような人物は秀作は作れても名作は作れない。
本作は宮崎駿の、そんなエゴや我儘を大スクリーンで鑑賞するものである、くらいの気持ちで挑んでもらいたい。
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