「ほとんど会話しているだけで終わったので驚いたけど」ウーマン・トーキング 私たちの選択 世界のメガネさんの映画レビュー(感想・評価)
ほとんど会話しているだけで終わったので驚いたけど
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色を抑えた映像のなか、暗がりの部屋でぼんやりと浮かぶ女性たちの不安げな顔。途中、国勢調査の車が走ってくるところで、現代が舞台だったのを思い出した。
宗教のコミュニティで生活するなか、自分で選択して選んだのではなく、生まれながらにしてここで生きることを選択せざるを得なかった人たちがいる。自分と同じ目に合わないよう、娘を守ろうとする母親の姿がいたたまれない。
しかし、結婚と、公然と行われる性的暴行と、どう両立しているのかが不思議だった。
江戸時代まで、日本では性に慣用で、誰の子供かよくわからなくても、コミュニティ全体で子供を育てるという意識だったようなことを聴くが、少なくとも暴行が横行していた訳ではないだろう。動物用の麻酔で眠らせて行為を行うというのは、どういう感覚なのだろうか。
美しい映像は直接的な暴力や悲劇は映さないが、この悲惨な状況でも、何度言葉を重ねても、ここに残ろうとしてしまう人の姿が悲しい。彼女たちの、他では生きていけない、という絶望感が伝わってくるからこそ、ラストの大勢での旅立ちのシーンには大きな希望が感じられた。
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