「【”女性の尊厳と未来への勇気。”男性支配の宗教コミュニティーで、長年虐げられ、尊厳を奪われて来た女性達が話し合い、ある選択をする過程を描いた群像劇。今作は現代社会に鋭い警句を投げかける作品でもある。】」ウーマン・トーキング 私たちの選択 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”女性の尊厳と未来への勇気。”男性支配の宗教コミュニティーで、長年虐げられ、尊厳を奪われて来た女性達が話し合い、ある選択をする過程を描いた群像劇。今作は現代社会に鋭い警句を投げかける作品でもある。】
■舞台は2010年(と、途中に分かり驚く。)時給自足を営むキリスト教一派の村。
この村では、若い女性が一派の男性にレイプされる事件が続くも、”悪魔の仕業”と言って秘せられていた。
だが、或る少女が犯人に気付き、警察は男を逮捕。他の男達は保釈金を払うために一時的に村を出る。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・南米のコミュニティーで起きた実話がベースと知り、驚く。
・宗教コミュニティーの男性達に虐げられて来た女性達が、文盲である事にも更に驚く。
ー 何処まで、虐げられていたんだ!-
■だが、女性達は男達が居ない間に、納屋に集まり三つの選択肢を掲げる。
1.男達を赦し、何もしない
2.コミュニティーに留まり戦う
3.コミュニティーを去る
結果、2.3が同数となり代表8人の女達が、納屋内で”自分達の未来をどうするか”を延々と議論するのである。
2.はセクハラ告訴に踏み切る勇気ある女性達の姿を想起させ、
3.はDVから逃れるために子供と家を出る母親を想起させるのである。
序でに言えば、彼女達は文字が読めなくとも聡明であり、勇気があり、仲間への思いやりがある事が会話劇の中で分かって来るのである。
・女性達の会議に唯一、記録係として招かれた教師をしている男オーガスト(ベン・ウィショー)がレイプ被害に合った妊婦オナ(ルーニー・マーラ)に地図の観方、方角の見分け方を伝授するシーンは、このシリアスな物語の中での一服の清涼剤である。
<最後までコミュニティーに留まり戦う事を主張していたサロメ(クレア・フォイ)も最後はコミュニティを去る事に同意するが、ハッキリ言ってここら辺の描き方がとても粗く、観ている側はついて行くのに必死である。登場人物も多いしね。
だがラスト、早朝にコミュニティを出ていく多くの女性達と小さな子供の姿は彼女達の新たなる未来を予感させる。
又、この作品が伝えようとしたメッセージは現代社会にも大きな意味を持つ。
故に、私は今作を3.5としたのである。>
<2023年7月22日 刈谷日劇にて鑑賞>
共感ありがとうございました。
絶望や保守性を想像させる納屋の薄暗さが、まとまっていく彼女たちの決意の強さによってエネルギーを蓄え漲るあかるい光となる流れを目の当たりにした作品でした。
その道のりにある苦しさの克服、貫いた賢明な判断により、まさか共に解かれ安らぐ自分がいるとは。。。衝撃でした。
「アフターサン」「ウーマン・トーキング」は今年、感動した作品のうちの2作です。これに加えて、「キャロル・オブ・ザ・ベル」を加えた3作は、特に印象に残ったものです。そのうちの2作が連続でレビューしてあったので、とてもうれしかったです。