「絶望と希望が同時に襲ってくるスリリングな会話劇」ウーマン・トーキング 私たちの選択 yookieさんの映画レビュー(感想・評価)
絶望と希望が同時に襲ってくるスリリングな会話劇
同名小説の映画化であり、ボリビアにあるキリスト教一派の村で実際に起きた連続レイプ事件を基に描いた作品。その事件が「悪魔の仕業」や「作り話である」と、男たちによってうやむやにされてきたが、ある日犯罪だったことが明らかになり、家族を捨てて村を出るべきか、それでも残るべきかを女だけで話し合う2日間のお話し。
驚くべきなのは これが2010年の出来事だということ、そして、非暴力を信条とするキリスト教宗派の信徒である彼等は、人としての尊厳を奪われ続けているにも関わらず、暴力による抵抗をしないこと、赦すこと、という選択も議題にあがるのだ…。
それでも続く彼女たちの日々の暮らしや農村の風景がとても美しく描かれていて、それがかえって起こっていることの悲劇性や「この場所を捨てる」という選択肢の重さを増していた。
タイトル通り「話し合う女性たち」の物語だが、教育を受ける機会がない彼女たちは文字が書けないため、唯一の男性キャストとして私の好きなベン・ウィショー演じるオーガストという男が書記担当として登場する。彼は村を出て大学で学び、村の学校の教師として戻ってきた男。村の男子を正しく教育することで変えられるかもしれない未来を一身に背負わされたオーガストの行く末は…
最終的に女たちがとった選択とその未来はどうなったのか…
絶望と希望が同時に襲ってくるとてもスリリングな会話劇だった。
当たり前のように「教育」の機会が与えられている私たちは、その重要性を忘れてはいけない。
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