「ほぼワンシチュエーションだが、世界や時間の広がりを感じられる」ウーマン・トーキング 私たちの選択 moroさんの映画レビュー(感想・評価)
ほぼワンシチュエーションだが、世界や時間の広がりを感じられる
納屋での話し合いのシーンがほとんどで、ほぼワンシチュエーションのようですが、不思議と世界や時間の広がりを感じられます。
ボリビアで起きた実際の事件を基にした小説が原作だそうです。
2010年の出来事であることは作中でも言及され、観る人に衝撃を与えます。
決して遠い昔話ではないと明示されています。
本作では男性と女性という構図ですが、人種であるとか身分であるとか、さまざまに置き換えて考えられると思います。
パンフレットの表紙には、村の女性が固く結び合う手が描かれています。
本作の見どころはいろいろありますが、固く結び合う手に象徴されていると感じます。
村の女性たちはみな被害者で、痛みや苦しみを共感しています。
女性たちは、怒りに染まるサロメの激情を受け止め正気に引き戻し、暴行の恐怖からトラウマを抱えるメジャルを労わり慰め合い、無力に打ちひしがれるマリチェに根気よく語り掛け勇気づけ合います。
彼女たちは教育を与えられていなくとも無能ではなく、知性と慈愛にあふれていることがわかります。
信仰の祈りや歌から、善き人たりえるものを知っているのです。
そして彼女たちは、未来への希望をも抱かせてくれる決断をします。
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