「テーマが重く、地味な会話劇だけど」ウーマン・トーキング 私たちの選択 CR7さんの映画レビュー(感想・評価)
テーマが重く、地味な会話劇だけど
中世ヨーロッパの暗黒時代の話かよと思うような内容だったけど、唐突にモンキーズで現代の話と分かり、「えーっ!」となった。米国にはアーミッシュみたいな人たちもいるし、実際にボリビアで起こった事件をモチーフに原作は書かれている。後で調べたら、メノナイトという超保守派のキリスト教の一派の事件であることを知った。
この作品を見ると、キリスト教の支配する中世ヨーロッパの迷妄の中から、近代の人権思想や司法制度が生まれてきた背景が分かる気がする。
地味な作品なので、おそらく興行的にはヒット作にはならないと思うけど、作品としては素晴らしい内容。アカデミー脚色賞を取っただけあって刺さる台詞が多い。
それに、夕暮れや夜のシーンの撮影が見事。ランプの光の作り出す陰影や夕暮れの空の黒や紺のグラデーションが美しい。ほれぼれするようなシックな色合いで統一された画面に引き込まれる。
また、どの役者の演技も良いのだけど、その中で特筆すべきは007でQ役を演じたベン・ウィショー。レイプされた女性たちに寄り添う中性的で繊細な記録係を好演している。
でも、実際のメノナイトのコミュニティは、近親相姦やキリスト教原理主義が蔓延する激ヤバカルトらしい。
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