しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司のレビュー・感想・評価
全166件中、1~20件目を表示
敵のあり方について
初の3DCGによるクレヨンしんちゃんは、映像的にはある程度成功、内容的にはちょっと厳しいという感じか。CGによるダイナミックなカメラワークによる描写は、映画に大きなスペクタクルを創出していたし、フェイシャルの芝居もよく作っていたと思う。しんちゃんの多彩な動きと身体の変形もCGの生々しい感じを上手い具合に消していて、ダイナミックなアクションを作れていた。制作に時間はかかっていそうで、収支的にいつもの手描きと比べてどっちがいいのかわからないけど、可能性は感じさせたのではないか。
ストーリーの方は、こういう家族連れがメインターゲットの映画で、家族を持てない孤独な独身男性が悪役というのは、どういうスティグマを発生させるだろうかと気になった。ローンウルフ型の犯罪行為が社会問題であることは確かだが、やり場のない鬱屈を抱えた個人に「がんばれ」と叫んでもあまり解決にはならないのではないか。もっと、現代社会の実りのなさに目を向けないといけない気がする。
空気階段良かった!
当時上映していた時のチラシで関心を持ちました。その後予告編を観て「あれ?なんか、動きが気になるかも、、、」と、見るのをやめていました。
その後Amazon primeで視聴。
前半部分は特に動きと人物たちの行動に引っ掛かりを持ちながら観ました。とにかく物語の展開が進まないことや、キャラクターのスピードも遅い。なぜこんな動きが重くて鈍いのだろう。
ヒリヤの幼少期でしんちゃんが殴られたり辛い目に合うのは、そこまでさせないといけないのだろうか。と、疑問も出てきた。
ひろしが応援のコメントをしていた相手は30歳で、ひろしの年齢についても気になった。かなり歳の離れた雰囲気だったけど。調べたら35歳くらいの設定だった、、、うーん。
後facebookやインスタ、YouTubeなどの現実のコンテンツ名をそのまま出すのは違和感が強かった。
空気階段のお二人の演技が、かたまりは熱の入った感じで好感を持ちました。鈴木もぐらは最後のクレジットまでわかりませんでした。すごい!
ヌスットラダマス
子供向けの漫画ということは分かっていましたが、ドラエモンのSFはおじさんが観ても結構面白かったので新次元とか超能力というタイトルに惹かれ、鑑賞。ただ、藤子・F・不二雄先生と比べると雲泥の差。
冒頭からしんのすけは、お母さんのブラジャーを被って逃走、犬もあきれる親子喧嘩。やたら女性の胸にしがみつく、御尻、ウンチ、おならに足の匂いとか子供の喜びそうな下ネタ全開、笑えたのはノストラダムスをもじったヌスットラダマスくらいかな。エイリアンの超能力を授かったのなら、善悪共にもう少し派手なアクションシーンを期待したが、子供向けなので抑えたのでしょうか、スマホを壊したり幼稚園に立てこもり、運動会で活躍程度では物足りない、やがて秘密基地や、ガンダムもどきを出したものの、期待外れ、もっと暴れるべき、怪物のおなかに入っていじめっ子と子供同士のドタバタ劇に置き換えたのは意味不明。
ドラエモンと違ってクレヨンしんちゃんは野原一家総出演とホームコメディ路線、サザエさん寄りの構成でしたね。
減点した理由
童心は失ってしまった。
しんちゃんは救いのヒーロー
★ポイント
・迫力ある3D映像
・弱者男性というテーマ
・しんちゃんカッコイイ!
3Dだからこそできることを見せてもらえた一作。
冒頭のアクション感あるしんちゃんとみさえのギャグシーンなんか、作画していたらめちゃくちゃ大変だったろう。
色んなキャラや小物がヌルヌル動いており、全体を通してとても迫力のある映像になっていた。
ストーリーとしては、ダークサイドに堕ちた弱者男性のことを、優しさと心の強さで救う安心安定の野原しんのすけが描かれていました。
どんな強大な敵を前にしても、ブレないしんちゃんに感動!
3Dでヌルヌル巻かれる手巻き寿司がシュールでした。
たぶん最初で最後の3Dの試みだと思うので、クレしんファンなら見ておいていいかも!
クレしんはやっぱり2Dが良い!
クレしん初の3Dアニメ作品。
制作時間はなんと7年。この作品から広告・宣伝活動が活発になった印象です。
<良かった点>
・エンドロールが過去イチ好き。原作マンガ風でキャスト紹介していく流れはとても凝っていて良かった。
・クレしんの定番ギャグがてんこ盛りで、クレしん映画初心者にはわかりやすい内容だった。
・バケモノ化した充くんの姿がおぞましく、3Dもあって怖さが増してて良かった。
・水田かたまりさん、声優上手すぎないか...?
<気になった点>
・3D作画
特にしんのすけ顔系列キャラは違和感がすごかった。(みさえ、ひま、カザマくん、ネネちゃん、よしなが先生など)正面顔が普段書かれないキャラが多数登場するクレしんで、3Dを通して見慣れない角度で顔が映し出されると、どうしても違和感を感じざる終えない。そこが3Dドラえもんとの大きな違いだと思った。
・最後のひろしの「がんばれ」。
それじゃあ何も解決してないよ...可哀想。頑張っている人に頑張れって言うのは励ましになっていないし、野原ひろしは数々の名言を残してきたのもあって、ここはグサッと刺さる言葉を言ってほしかった。残念。
総評して、やはりクレしんは2Dだと改めて感じた。
一番良かった点がエンドロールの漫画風キャスト紹介で、一番印象に残った。←こう感じてる時点で2Dを求めてしまってるんだろうなぁ...
しんのすけ顔系列の3Dはどうしても違和感が出てしまう(正面顔が書かれることがほぼないため)
ストーリーは面白かったので今後の2D映画に期待したい。
大根は脚本やめてくれ
昨今のいわゆる弱者男性と呼ばれる属性にフォーカスした大根のわかってます感の内容がしんちゃんには合ってなさすぎる。というかこんなテーマを使って悪役を作るな。
ラストのひろしのセリフも感動させようさせようというのが出過ぎている。「この国には未来がない」というセリフもこれキャラを借りただけで大根が言いたかっただけなんじゃないんかと。
子ども向けにしても大人向けとしても微妙。
大根は脚本やりたいのかもしれないが別作品に置いても駄作となっているから監督だけやっていてくれ。
終始気になったのはみさえの3Dモデルのクオリティの低さ。マイナスすぎる。
こんなクレヨンしんちゃんが見たいんじゃない。もっとおバカでいいんだよ。
毎年一年遅れテレビ放送で
深キョン最高
「がんばれ」という言葉が持つ刃。
映画を観て、つまらなかった、と感じることはべつに珍しい事ではないが
不快だ、と感じたのは久々である。
シリーズ初の3DCGということで、制作期間なんと7年という歳月を経て作られた実験作。
確かに臨場感はそれなりにあるし、背景や、エフェクトなんかは迫力を感じた。
しかし致命的なのは、人物のモデリングである。
走ったりした際、ふわっとした違和感のある動きがあり、これがどうも観ていて気持ちが悪い。
しかもかと言って、じゃあ軽快な動きなのかと言うと真逆で、もっさりとした鈍重な動きに見えるのである。
「STAND BY ME ドラえもん」や「ルパン ザ・ファースト」と全く同じで、ここ10年間まるで改善されていない。
しかもこの映画、90分とは思えないほどただでさえテンポが悪く、キャラの動作の鈍重さも合まって二重にテンポダウンして見えてしまうのだ。
テンポの悪さに相まって、ギャグも全然面白くない。
焼き串が武器に見えるのも意味不明だし、方言ネタもくどいだけ。
「キミノヒトミニコイシテル」の深田恭子ネタとかほんとつまんないし、
とうてい子供には分からないネタだろうし、この時点で子供の観客を蔑ろにしている。
じゃあかと言って、大人なら楽しめるのかと言うと、センスが奇を衒いすぎていて寧ろ興醒め。ガンダムのパロディ台詞なんかまさにそう。
最悪なのが気色悪いセクハラギャグ。よしなが先生のケツだけ星人とか、フェミニストじゃなくても不快でしかない。
完全に古臭いオッサンが考えたレベルのギャグ。
テーマの描き方も本当に適当だし、
昨今、色々と話題になっている弱者男性にスポットを当てるという適当さ、
更に政治批判や、コロナ禍の要素など、とにかく手近にあるそれっぽいテーマを適当に扱っているだけにしか見えないのだ。
まあ確かに、過去作だって強烈に大人向けの作品はあったし、百歩譲れなくはない。
しかし結果、全編にわたって非常に暗くて閉塞的な雰囲気になってしまい、
そもそも基本的に子供向け作品のクレしんで、こんな政治批判な内容にしている時点で実に不愉快ではある。
果たして監督には非常にデリケートで難しい題材を扱っている覚悟が本当にあったのだろうかと疑うばかりなのだ。
基本的にターゲット層が定まっていないのである。
先述のギャグの件もそうだが、どの観客層に向けた映画なのか焦点がまるで定まっていない。
そもそも非理谷のキャラは明らかに「AKIRA」の鉄雄だし、じゃあ「AKIRA」のような壮絶なアクションが展開されるのかと期待してみたら、
実際は幼稚園を籠城して、園児たちの弁当を横取りして、人質を超能力で宙に浮かせてくるくる回すだけという、実に意味不明でスケールの低い展開。
子供向けゆえに、無駄にセーブしてしまっているのだ。
せめて、渋谷の街を破壊するくらい派手な事はやって欲しかった。
かと思えば、暴走した非理谷の最終形態は単に気持ち悪いだけ。子供は怖がるだけだし、ますますターゲット層の焦点が分からない。
そして最悪に不愉快だったクライマックス。
恐らく孤独だった過去の非理谷に、しんちゃんが寄り添って絆を深め、非理谷の呪いを断ち切ると言うシーンを見せたかったのだろう。
だが、延々といじめのシーンが長々と続くので、とにかく不愉快なのだ。
あまつさえ、しんちゃんも殴られる始末。幼稚園児がリンチされ続けるという、これほど不快なものは無いだろう。
と言うか、いくら馬鹿な不良でも幼稚園児をぶん殴ったりはしないと思うのだが。
しかも相手が、名前すらもないどうでもいい存在の不良たちなので、
「STAND BY ME ドラえもん2」で、いったい何を見させられてるんだ感が強い。
こんなどうでもいい存在をラスボスみたいにする意味が分からないし、過去のハイグレ魔王やパラダイスキングの方がよっぽどボスらしさがあった。
と言うか、そもそも非理谷の心の闇は両親の不仲の件などもあって、べつにいじめの件だけではないのではないだろうか。
しかも、ひろしの臭い靴下を武器に勝利すると言う実にくだらないオチ。
そんなものを使わずに、しんちゃんと非理谷の二人の力だけで勝利するべきではないだろうか。
言っちゃ悪いが、このシーンで感動した、泣けた、とか言っている人は、単純に上っ面な雰囲気に絆されているだけだろう。
そしてそれ以上に大問題となった例のラストシーン。
がんばれば何でもできる、君には未来がある、可能性があるという前向きなメッセージを伝えようとしているのは分かるのだが、
メッセージ性が主張が露骨すぎて、逆に説教くさいのである。
「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」も、ラストの説教くさいメッセージが非難轟々のようだが、本作はそれ以上に説教くさい。
しかもこれを、周りも次々とがんばれ!連呼するので、もはや新手の宗教か何かに見える。
せめて頑張ったなとか、一緒にがんばろう、と言うべきではないのだろうか。
と言うかそもそも、ひろしと非理谷は年齢的にはほぼ同世代のはずではないだろうか?
この時点で大きなズレがあって違和感がある。
そもそも指名手配犯の非理谷にとても明るい未来が待っているとは思えない。
だから薄っぺらく感じるし、まるで何も響かない。
なお、本作はかの大傑作「オトナ帝国」と類似する要素があるため、比較されがちだが、
現代社会への辟易と、ノスタルジーへの憧憬を描きつつも、
それでも、今の現代の世界を、未来の世界の為に精一杯に生きなければならない、という果てしない熱意が伝わったオトナ帝国に対して、
散々、無駄に大人向けな暗い描写をやっておきながら、
最終的に、「がんばれ!」などという、ただの精神論的な稚拙な着地をしている時点で、
その差は雲泥の差だというのは言うまでもない。
確かに過去作のオトナ帝国やアッパレ戦国でも、非常に大人向けな描写はあったが、全体がそれに釣り合うよう徹底された高い描写があった。
しかし本作は大した描写力も無いのに無駄に重いテーマだけを提示しているだけ。
悪評は耳にしてはいたが、これほど許し難い映画とは思わなんだ。クレしんをまるでプロパガンダのように使ったのは実に許し難い。
しかもこれがなんと興行収入歴代1位の大ヒットという結果に、どれだけ多くの人の目が曇っているんだろうと絶望した。
ちなみにこの映画のストーリーは、クレしん映画では珍しく原作が元で、しかも過去にはテレビアニメでも映像化されている。
本作はそれをオリジナル要素を加味した再リメイクである。
終わり良ければ全て良し?
先ず、クレヨンしんちゃんが、3DCGアニメになる必要性は?
しんちゃんの魅力は、その素朴さであり、奇抜さであり、親しみやすさだと思ってます。あんなコジャレたCGなんかじゃなくて、暖かみの有るアニメであってほしいと・・・昭和生まれオヤジの切な願いです。
さて、本編ですが、相変わらずしんちゃんは泣かせてくれます。
一人じゃないんだよ。友情であり、家族愛であり、仲間の愛をストレートにぶつけてくれます。ホンッと面白い!
本作品では、充くん役の松坂桃李さんの存在も大きかったんじゃないかな。
ただね、感動のラストシーンへ行き着くまでの過程に難アリじゃないかな。
幼稚園ジャックなんて、あってはならない犯罪でしょ。オマケに幼稚園児に向かってお前らの未来はないなんて、宣うし。
お笑いを交えてのシーンではあったんだけど、ちょっと引いちゃいました。
この後も結構続くんだよね。
未来は無いとか、所詮一人だとか・・・
途中までは3DCGアニメへの拒絶反応もあって、こんなのしんちゃん映画じゃない!今までで一番嫌な作品だって思ってたんですが、最後では泣かされちゃいました。
やっぱり良い。大好きな映画です。最後で全てが報われるような・・・
ただ、途中の不快な部分があることから、★★★★★には、ちょっとできないかな。
深田恭子の劇中歌も可愛らしいし、おかしいし、楽しませてもらいましたが、テレビ放映だとエンディングがカットされてしまうのが残念です。
平成一桁生まれには刺さる
テレビ放映で鑑賞しました。
前半30分ほど見逃してしまいましたが、最後はボロ泣きでした。
今回の敵は他人のように思えません。
現代社会への鬱屈とした気持ちや、物語終盤の辛い過去は、我々世代の誰もが経験したのではないでしょうか。
小さい頃、しんちゃんに自分を重ねて、あるいはどこか遠くにいる友達のように感じながら、毎週テレビを観ていました。
そんな小さい頃の自分の前にやってきて、
過去の心のつまづきから立たせてくれる。
仲間として一緒に立ち向かってくれる。
そして現在の自分にまた向き合わせてくれる。
現実に打ちのめされても、未来を向けるよう、先輩が激励してくれる。
社会に揉まれるようになったあの頃の子供達の側にしんちゃん達はずっと居てくれたんですね。
3Dも、小さい頃から観ていたあの野原家が本当に存在するように感じられて良かったです。
あの頃の子供達が昔の友達に会える、いい映画でした。
キミノヒトミニコイシテル
映画クレヨンしんちゃん通算31作目になるが、通常のシリーズには含まれない“特別版”。
節目の30作を経て、“しん次元”へ! 初の3DCG。
ネコ型ロボットは3DCGになったけど、嵐を呼ぶ園児の3DCG。さらに題材が“超能力”と“手巻き寿司”って…。想像出来ないゾ~。
ほっぺがぷにゅぷにゅの質感たっぷりと言うより、2D手書きアニメーションを立体化したような映像。
それがまたしんのすけの作風や世界観を大きく逸脱する事なく。最初は違和感あったが、見ていく内に。
勿論3DCGを活かした映像や演出も。
冒頭、しんのすけとみさえの追いかけっこ。3DCGならではのスピーディーさもさることながら、3DCGになった事で倍増しになったみさえのデカケツ。確かに“ケツデカオババ”だ…。
超能力発動は手書きアニメーションでは出せない臨場感やユニークさ。
クライマックスはまるで怪獣映画のような迫力とスケール。
しんのすけにとって3DCGは楽しいおもちゃの一つのよう。
しかし、他にこれと言って3DCGを活かした新味があまり感じられず。
初3DCGに挑戦した意欲は買うが、躍動感やテンポやギャグも従来の手書きアニメーションの方が上手だった気がする。
これは監督のセンスの問題かな…。いつものアニメに携わった監督ではなく、実写畑から起用された大根仁。
『モテキ』『バクマン。』『SUNNY』など冴えた良作あるが、ちと今回その冴えを発揮出来ず。
唯一センスを感じたのは、超能力を高める奥の手として、深キョンのあの曲のチョイス。確かに不思議と超能力が高まっていきそうな(笑)、このチョイスにはウケたね。
時々ムラはあるが、大人をも魅せる映画しんのすけ。
せっかくの3DCGの特別感に乏しかったので、超能力×手巻き寿司のユニーク題材の話に期待だったのだが…、
あ、脚本も大根だった…。そういやこの人が以前脚本を手掛けたアニメ映画『打ち上げ花火』もビミョーだった…。
かの預言者ノストラダムス…の隣の町に住んでいた預言者ヌスットラダマス。
その預言は…
20と23が並ぶ年、天から二つの光が降るであろう。
一つは黒い光、一つは白い光。
黒い光は強大な力を放ち、世界はごっつ大変なことになるんやでぇ…。
ヌスットラダマスというネーミング。何故に関西弁…?
メチャ胡散臭いが、ホンマやった…!
天から降り注いだ二つの光。それらは当たってはならない人物に当たってしまった…!
白い光はしんのすけに命中。
おシリが熱いゾ…!
超能力が使えるように…! でも、チョコビやものを浮遊させてキャッキャッ遊んだり、運動会で活躍したり、まだまだそんなもん。
野原家手巻き寿司夕食中、突然上がり込んできた初老の男と若い女性。国際エスパー調整委員会というまたまた胡散臭い肩書きの池袋教授と超能力者でもあるネギコ。
彼ら曰く、真に超能力が覚醒すれば、黒い光の力に唯一対抗出来、世界を救う存在に…。
その黒い光は…?
派遣でティッシュ配りのバイト中の青年・非理谷。
周りから見下され、いちゃもん付けられ…。
唯一の生き甲斐だった推しのアイドルの結婚を知ってショック…。
さらには近くで起きた事件の犯人にも間違えられ、警察から追われ…。
とことんついてない。どん底。
世の中に対してあるのは怒りや憎しみだけ。
そんな人物に黒い光の力が備わったら…?
この超能力を使って、自分を見下した世の中に復讐してやる…!
超能力覚醒や発動は『AKIRA』イメージだろう。
また個人的には、世の中に対して不満を抱く男が突然強大なパワーを手に入れ…というのが藤子・F・不二雄のSF短編の一つ『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』を彷彿。
そんな非理谷の暴走に、しんのすけが立ち向かう。サイキックバトル!…というより、しんのすけはヘンタイなお兄さんと超能力で遊んでいる感じ。
今回のキーキャラである非理谷。
夢も希望もナシ。世の中はクソ。社会の底辺。
似たような境遇や思いの人も多いのでは…?
そんな彼を通じて、世の中の傲慢や不条理を訴える。
しかしこれまでのような笑いの中に風刺たっぷりは今一つ効いておらず。
原因は非理谷のキャラであろう。
かなりひねくれて屈折していて被害者意識。あまり共感や同情を感じられない。
非理谷がふたば幼稚園の敷地に入り込んで、よしなが先生や風間くんたちを人質に立て籠ったシーンはゾッとした。現実にも起こりうる事件だが、いいんかい、『クレヨンしんちゃん』でこんな怖い事描いて…?
非理谷が今のような性格になった理由。暗い過去。それが明かされるクライマックスの重要シーン。
両親の離婚。同級生からのいじめ。殴られ、蹴られ…。
幼稚園籠城でも超能力で風間くんらを浮遊させ壁に叩き付けるなど、暴力描写がちと気になった。
もうこの時点で異常者であり犯罪者であり、これまでの『クレヨンしんちゃん』のヴィランでは明らかに異質。
ハイグレ魔王とかナイスキャラだった。『オトナ帝国の逆襲』のケンとチャコも現代世の中にうんざりしているが、哀愁あった。
そうか、非理谷が先兵で、彼を利用しようとする真のヴィランが現れるんだな、きっと。
ヌスットラダマス二世登場。人の負の感情を利用し、世界征服を目論む。“令和てんぷく団”!
非理谷、危うし…!
が、パワーが増大し、非理谷は巨大化。さらに、モンスター化…!
噛ませ犬なヌスットラダマス二世。
結局は何の捻りもなく非理谷がヴィランで、巨大化&モンスター化が安直…。
宇宙から突然やって来た未知なるものや平凡な話がビミョーだった『襲来!!宇宙人シリリ』を彷彿。
怪獣映画風もユニークだった『爆発!温泉わくわく大決戦』に及ばず、これまたビミョーだった『3分ポッキリ』とどっこい。
超能力ともう一つの題材の手巻き寿司。
これ、家族を象徴している。
野原一家では団らん。非理谷の過去では、家族の崩壊。
その対比が印象的。同じ手巻き寿司でも、片や幸せや楽しさ、片や悲しく苦い思い出…。
終盤、モンスター非理谷に飲み込まれてしまったしんのすけ。
その身体の中で、幼い頃の非理谷=充と出会う。
孤独な充に手を差し伸ばすしんのすけ。
いじめられる充を庇う。オラの“仲間”だゾ!
これがちょっと引っ掛かった。しんのすけなら、“お友達”や“おシリ合い”の方がらしいのでは…?
愚かな事をしてしまった者に手を差し伸べるが、お友達にはなれない。案外、シビアなメッセージだったのかも…?
松坂桃李は声だけでも怪演。
それ以上に、空気階段が上手くてびっくり!
曲げられるのはスプーンだけじゃないわ。多分“アレ”を曲げた今回ちとSな禰豆子。
今回のひろしの名言は…
自分を幸せにする事より、誰かを幸せにしようと思え。誰かを幸せにすれば、自分も幸せになれるんだ。
また、しんのすけが書いた“将来の夢”。ただの真っ白な画用紙…。
真っ白なご飯を書いたもので、食べるのに困らない大人になる。
これ、実はとっても深いかも…?
悪くはなかったが、まあまあだったかな…。
話的には近年の『花の天カス学園』や『ラクガキングダム』や『失われたひろし』や『ユメミーワールド』や『ロボとーちゃん』の方が面白かった。
初なら3DCGの特別版の今回より、今夏の通常新作の“初恐竜”の方がずっと気になるゾ!
鈍重なクレヨンしんちゃんなんて…
野原ひろしの魅力が大爆発
公開から2週間後くらいに家族で観に行きました。
最近また観る機会があったので改めてレビュー。
新たな試みの3Dが非常にマッチしていて安定した綺麗さで気持ちよく観れました。
ストーリーも素敵で超能力を題材にしつつ緩急つけた展開が熱くハラハラと笑いを提供してくれて非常に面白かった。
今回の敵役は今までと違ってちょっと質の悪いタイプで彼自身も不幸ではあるんですがやる悪行が生々しくてかなり「リアルなヴィラン」が登場。それと戦う事になるんですが、まあ野原一家の優しさと言ったら無い。
散々迷惑を掛けた嫌悪感しかないであろうヴィアンに対してひろしは彼の不幸や悲しみを汲んで「頑張れ」と言ってあげるんです。感動しました。
まさに往来の野原ひろしらしい言葉と言えます。制作の理解度が素晴らしい。
文句なしの満点でした。
全166件中、1~20件目を表示










